携帯電話の主流がガラケーからスマホとなった今、SMSとともにMMSという用語を目にすることが増えましたが、キャリアの提供するメールアドレスを使うコミュニケーションなら、何でもMMSと認識してはいませんか?

実はその認識は正しくありません。MMSに対応するキャリアは限られているのです。今回はMMSとは何かを明らかにし、MMSを正しく理解しましょう。

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【MMSとは何か】

MMS(Multimedia Message Service=マルチメディアメッセージサービス)とは、現在は2002年設立の携帯電話の企画策定を行うOMA(Open Mobile Alliance)が中心となり、標準化されているメッセージサービスのことです。

MMSでは画像、動画、音声、リッチテキストを含むメールの送受信が可能で、キャリア(通信会社)が提供するキャリアメールアドレスを使い、メッセージアプリ経由でやり取りします。

同じキャリアの携帯電話同士ならば、MMSは携帯電話番号でも送受信が可能です。MMSについては、こちらも合わせてご参照下さい。

●MMSと他メッセージサービスの違い

メッセージサービスとしてよく知られているSMS、Eメール、+メッセージと、MMSとの違いを比較してみましょう。

・SMS

SMS(Short Message Service=ショートメッセージサービス)は、メールアドレスではなく携帯電話番号を宛先として、メッセージの送受信を行うものです。テキストと絵文字のみ送ることができます。

MNP(Multi Number Portability=携帯電話番号ポータビリティ)が可能になってからは、携帯電話番号が変更されにくくなったので、携帯電話番号あてのメッセージの到達度はきわめて高いといえます。

以前は全角70文字が遅れる文字数の限度でしたが、現在は全角で最大670文字まで送受信可能です。受信は無料ですが送信は別途料金がかかります。MMSは動画や画像など送れるデータが豊富で、また、データ通信を使用して送受信するので料金は実質無料という違いがあります。

SMSについてくわしく知りたい方は、こちらもご一読下さい。

・Eメール

EメールではMMS同様に画像、動画、音声、リッチテキストを含むメッセージの送受信ができます。ビジネスユースでは企業名がメールドメインに入る、インターネットプロバイダーが有料で提供するメールアドレスを使うのが一般的。

GmailやYahooメールなど無料のサービスも多く、メールアドレスが無料でいくつでも作れるため、プライベートユースでも使い勝手がよいのが特徴です。

MMSとの違いは送受信の方法。Eメールでは、送信されたメールは他の人々と共有するメールサーバを経由して相手に届くので、多少のタイムラグは否めません。一方、MMSはキャリアメールアドレスあるいは携帯電話番号を使うため、メッセージはEメールより迅速に届くといえるでしょう。

・+メッセージ

日本3大キャリア(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI)提供の、RCS(Rich Communication Service)規格に準拠したメッセージサービスが「+メッセージ」です。SMSを代替するものとしてリリースされました。RCSについてはこちらもご一読ください。

+メッセージはSMS同様にメールアドレスではなく携帯電話番号を利用し、専用アプリが必要となります。なお、最近のAndroidスマホには+メッセージのアプリがプリインストールされていることが増えているようです。

画像、動画、音声はもちろんのこと、位置情報やスタンプの送受信もできます。ただし、送受信可能な文字数が無制限のMMSに対して、+メッセージはテキストなら全角2,730文字までという制限があります。

また、相手が+メッセージを使っていない場合には自動的にSMSへ切り替わってしまうので、相手が専用アプリをインストールしているかの事前確認が必要です。

●MMSに対応するメールアドレス

間違えがちですが、実はMMS=キャリアメールではありません。MMSに対応しているキャリアは、現在ソフトバンク、Y!mobile、KDDI (au)だけ。つまりMMSが使えるのは、これらキャリア3社の携帯電話(スマホ)だけなのです。

NTTドコモは独自規格のキャリアメールを提供し、MMSには非対応で、今後も対応しない方針であると考えられます。楽天モバイルも2022年7月から「楽メール」の名称でキャリアメールの提供を開始しましたが、現段階ではMMSに対応していないようです。

Y!mobile、UQモバイル、BIGLOBEモバイル以外の格安スマホは、一般的に独自のキャリアメールサービスの提供がないので、当然のことながらMMSに対応できません。

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【MMSを設定する方法】

ガラケーからMMSに対応するスマホに機種変更したとしても、MMSの利用設定を有効にしておかない限りMMSの送受信は不可です。スマホのメッセージアプリでMMSを有効にする設定方法を確認しましょう。

●iPhoneの場合

キャリアがKDDI(au)かソフトバンク、Y!mobileなら、iPhoneの設定アプリを開き「メッセージ」を選択します。表示される画面に「MMSメッセージ」の項目があるので、そちらをオンにし、「MMSメールアドレス」の項目にキャリアメールアドレスを入力すれば設定完了です。

●Androidスマホの場合

MMSの送受信にはAndroidの公式アプリである「メッセージ」を標準利用し、キャリアメールアドレスを設定します。また「標準のメッセージアプリ」でMMS送受信専用のアプリを変更すれば、サードパーティのアプリでもMMSが利用できます。

●MMSメールアドレスが不明の場合

MMSで使用するキャリアメールアドレスが不明の場合は、キャリアのウェブサイトで確認しましょう。Wifi接続では照会できないので、モバイル通信に切り替えてから確認します。

たとえば、ソフトバンクの場合には、My Softbankにアクセスしログインすれば「メール管理」で確認可能です。

●使わない(使えない)ならMMS機能をオフに

MMS機能を使わないのであれば、MMS機能はオフにするのがおすすめです。先述したとおりNTTドコモのスマホなど、MMSに対応しないキャリアのスマホでは、メッセージアプリでMMSは利用不可です。

独自規格のキャリアメールを使う場合は、メールアプリを使います。

【MMS利用のメリット、デメリット】

MMSを利用する上でのメリット、デメリットも確認しておきましょう。

●メリット

Gmailなどのフリーメールに比べ信頼度が高いことや、文字制限がなく、画像や動画も送信できるので、メッセージを作成する上で、SMSより柔軟性がある点がメリットといえます。

●デメリット

キャリアを変更してしまうと使えなくなる、キャリアや機種によってWi-Fiで送受信できないものがある、といったデメリットがあります。また、先述したように格安スマホではMMSに対応していないものが多い点も、デメリットといえるでしょう。

【MMSで使えるメールアドレスのドメインは3つだけ〜ビジネスシーンではSMS配信サービスとのコンビがおすすめ】

MMSはガラケー時代から使い慣れて愛着のあるキャリアメールアドレスを持っている方には、引き続き使えて便利といえますが、MMSに対応していないスマホのユーザーには余計なものといった感もあります。

プライベートユースであればMMSの信頼度はSMSに並んで高いものですが、単独でのビジネス活用は不向き。ビジネスシーンでMMSを有効活用するなら、SMS配信サービスを導入し、併用するのがベストです。
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