「VOCをマーケティングに活かす具体的な方法は?」「なにから始めて、どこまでやればいい…?」といった疑問を抱いていないでしょうか?
VOCは、クレームの減少や社員の離職防止に貢献するだけでなく、マーケティングにも役立ちます。
しかし、VOC分析の優先順位や具体的な施策を理解しておかないと、手間ばかりかかってしまいがちなのも事実。
そこで今回、VOC分析の必要性の見極め方や具体的な手順、効率を上げる方法などをまとめて解説していきます。
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【マーケティングにVOCが必要かを見極めるポイント】
まず、マーケティングにVOC(Voice of Customer)が必要かを見極めることが重要です。
VCOはあくまでも手段であって、目的ではありません。
売上アップや商品改善などのマーケティングの目的を達成するために、VOCが役立つかを見極めなければいけません。
具体的な見極めのポイントとして、以下2つがあげられます。
- 売上・利益アップのボトルネックが不明
- 継続的に入ってくる顧客の声を活かせていない
それぞれ具体的に解説していきます。
なお、VOC自体について詳しく知りたい場合は、「VOCとは一体なに? 分析するメリットや導入ポイント、活用事例を徹底解説!」の記事をご覧ください。
本記事はVOCをマーケティングに役立てる方法に特化した解説をしています。
●売上・利益アップのボトルネックが不明
自社の売上や利益が予測よりも伸びず、その理由が不明な場合は、VOC分析をすべきといえます。
ボトルネックの答えは現場にあります。
そして、営業担当者の所感よりも正確にボトルネックを把握できるのがVOCだからです。
VOCを多角的に集めて分析することで、よりよい顧客へのアプローチ方法や商品の改善点、新商品開発のきっかけなどを発見できます。
●継続的に入ってくる顧客の声を活かせていない
すでにコールセンターなどがあり、継続的にVOCを収集できているなら、VOC分析ができる体制を整えるべきでしょう。
折角コールセンターで顧客の声が継続的に集まっているにも関わらず、潜在的な売上を出したり、クレームや返品を減らしたりしてコストカットする機会を逃してしまうことは得策ではありません。
この場合はVOC分析が必要になります。
また、それにより変化の早い昨今の市場に対して即座に対応できるメリットも得られます。
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【マーケティングのためのVOC分析の手順】
マーケティングのためのVOC分析の手順は、基本的に以下の3ステップです。
- VOCの収集方法の決定
- システム導入の検討
- PDCAによる商品や体制の改善
各ステップをわかりやすく解説していきます。
●ステップ①VOCの収集方法の決定
まずは、複数あるVOCを収集する方法の特徴を知り、収集方法を選びます。
具体的なVOCの収集方法としては、以下の5つが代表的です。
- コールセンター
- インタビュー
- アンケート
- SNS
- ECやHPのアクセス解析
各方法で収集できるVOCの特徴が違うため、できれば複数の収集方法を実施すべきです。
とはいえ、労力やコストがかかるため、すべてを実施するのは現実的ではありません。
各収集方法の特徴を解説するので、収集方法の決定に役立ててください。
・コールセンター
最も有力なVOCの収集方法です。
コールセンターにクレームを寄せてくれる人は5%以下で、不快感を持った人の95%以上は、なにも意見を寄せずに他社商品に移行するといわれています。
クレームを少数の意見と切り捨てず、対応すべき情報があると考えて、VOCを収集すべきでしょう。
なお、ひと口にコールセンターに寄せられる声といっても、チャネルはさらに細分化できます。
具体的には以下の4つです。
- 電話
- チャット
- メール
- SMS(ショートメッセージ)
詳しくは後述しますが、最も効果的といえるのはSMSです。
電話は最も一般的で追加コストなどもかかりませんが、マーケティングに役立つ部分を抜き出し、文章化するという大きな労力がかかります。
電話で寄せられたVOCを分析したために、他の収集方法をなにも実施できなかった、などという状況は避けたいところです。
・インタビュー
自社商品を購入してくれた顧客に対して、インタビューを実施するのも効果的な手段です。
顧客の属性ごとにVOCを収集でき、自社商品を選んだ定性的な意見を収集できます。
競合との差別化や改善、新商品の開発などに役立ちます。
ただし、インタビューをする手間以外にも、会場の設営や集客、集計といった労力がかかることは事前に理解しておくべきでしょう。
・アンケート
アンケートは、VOCの代表的な収集方法です。
昨今は、自動音声やチャットボットによるアンケートも可能で、効率的にVOCを収集できます。
電話やインタビューに比べると顧客が気軽に回答しやすい一方、一般的に回答率は低いとされています。
また、回答があいまいになったり薄くなったりしがちなので、工夫が必要になります。
欲しいVOCが得られるアンケート項目を考え、ノベルティの配布などの回答率を上げる方法を考えましょう。
・SNS
SNSマーケティングという概念ができるほど、TwitterやInstagramといったSNSは率直な意見の宝庫になっています。
自社や商品名、関連サービスに言及している口コミなどを大規模に収集すれば市場調査もできます。
ただし、顧客の属性や商品への理解度などを明らかにするのは難しい場合が多くあります。
VOCに偏りが生じている可能性があることを念頭においておきましょう。
・ECやHPのアクセス解析
ECサイトやホームページを持っているなら、顧客のレビューやサイトにたどり着いた経路などを分析することでVOCを収集できます。
レビューは顧客の声そのものであり、検索エンジンから流入した際のキーワードには、顧客のインサイトを反映している場合も多々あります。
また、同時に購入されているケースの多い商品や、特定ページの情報を見た後に商品購入にいたっているケースなどを発見できれば、マーケティングの見直しなどにも着手できます。
●ステップ②システム導入の検討
VOCの収集や分類をすべて人力でおこなうのは可能ですが、一大プロジェクトになってしまい、多大な労力がかかります。
VOC専用システムなどの導入を検討するのが一般的になります。
コールセンターでVOCをする場合は、SMSも合わせて導入するのがおすすめです。
テキストにおこし直す必要がなく、顧客からの返答率も高いといったメリットが得られます。
また、電話内容からVOC分析をする場合は、通話録音機能などがついているシステムを導入し、オペレータが本来の仕事に集中できるようにしましょう。
●ステップ③PDCAによる商品や体制の改善
VOCが集まれば、ボトルネック解消といったマーケティング上の仮説が立てられるはずです。
改善とVOCのさらなる収集によって結果を確認し、さらに仮説を立てていくというPDCAを繰り返して、VOC分析の成果を最大化していきます。
逆にいえば、VOCは継続的に取り組んでこそ、成果の出る取り組みといえます。
昨今は顧客のニーズの変化が激しく、過去のVOCはすぐに陳腐化してしまう時代です。
市場の変化に対応したマーケティングをし続けるためにも、継続的にVOC分析に取り組んでください。
【VOC分析のコツ3つ】
マーケティングのためのVOC分析のコツとして、以下3つがあげられます。
- 過不足なくVOCを収集し分類する
- ロジカルに改善の仮説を立てる
- VOCをテキストデータにして残す
いずれも、実践できていないと的外れなマーケティングにつながってしまう恐れがあります。
それぞれ具体的に解説していきます。
●過不足なくVOCを収集し分類する
まず、複数の収集方法を使って、さまざまな角度からVOCを収集するのが重要です。
あいまいなVOCを闇雲に収集したり、絶対的な量が足りていなかったりする場合は、正確なVOC分析ができません。
そして、収集したVOCを主観で分析してしまうと、間違ったマーケティングにつながるリスクが出てきます。
得られたVOCは以下の3つのカテゴリーに分類して、定量的かつ定性的に分析していきましょう。
- 不満要因
- 満足要因
- より高い満足を与える要因
●ロジカルに改善の仮説を立てる
収集したVOCからロジカルに改善の仮説を立てることが重要になります。
何故なら顧客の声は重要ですが、「なぜそのような要望があるのか」ということを把握した上で、適切な施策を打てないと売上や利益につながらないからです。
たとえば、価格が高いという声に際限なく対応していくと、薄利や品質の低下につながり、ビジネスとして成立しなくなるリスクが出てきてしまいます。
また、顧客は潜在ニーズを把握しておらず、最適な答えを出すのはマーケティング部の仕事です。
自社と顧客がwin-winの関係になれる商品はなにかを、ロジカルに考え続ける必要があります。
●VOCをテキストデータにして残す
VOCは、テキストデータにして管理する必要があります。
何故なら、電話などで収集した音声は管理に向いたデータではないからです。
また、商品や体制を改善する以上、社内全体で情報を共有する必要もあります。
社内でデータを共有するには、具体例を交えた図表や資料にする必要があり、音声データのままというわけにはいきません。
したがって、VOCはテキストデータにする必要があり、最初からテキストデータが得られる収集方法は省力化につながります。
もっとも、電話やインタビューといった音声データの得られる収集方法には、濃厚なVOCが得られるというメリットがあります。
コストはかかりますが、テキスト化できるツール導入と合わせて実施するのがよいでしょう。
【手法に迷ったらコールセンターとSMSの組み合わせ】
限られた予算と時間の中で、採用すべき手法に迷ったら、コールセンターとSMS(ショートメッセージ)を組み合わせる方法がおすすめです。
理由は以下4つの大きなメリットが得られるためです。
- コールセンターの業務効率が上がる
- テキストデータとしてVOCを収集できる
- 回答率などが高く効率がよい
- VOC以外にも活用できるため投資効果が高い
各メリットの詳細を解説していきます。
●コールセンターの業務効率が上がる
日本ではこれから普及するといわれている段階ですが、SMSはコールセンターの業務効率を上げてくれる手段です。
たとえば以下のような使い方ができます。
- あふれ呼や待ち呼発生時にSMSで対応する
- IVR、FAQと組み合わせて単純な問い合わせを減らす
- 電話に出ない顧客に要件を文章で伝える
- 英数字などの電話でやり取りしづらい内容を送受信する
コールセンターの業務効率を上げてくれるため、VOC収集の業務にもよい影響があると考えられます。
コールセンターの業務効率をSMSが上げる理由などは、こちらから確認できます。
●テキストデータとしてVOCを収集できる
SMSは文章によるやり取りであるため、テキストデータとしてVOCを収集できます。
電話対応の音声データを文章におこす必要がないため、VOC分析の効率も上がります。
また、電話対応の終了時に、許可を得てアンケートのWebページをSMSで案内するといった使い方もできるでしょう。
●回答率などが高く効率がよい
まず、SMSには到達率と開封率がほぼ100%という特徴があります。
メールやDMなどと違って、自社からのアプローチはほぼ成功すると考えてよいでしょう。
また、返信率も比較的、高い特徴があります。
6割ほどの返信率を達成して、3~5割あった無断キャンセルを2件まで減らした企業もあるほどです。
この事例について詳しくは、こちらから確認できます。
●VOC以外にも活用できるため投資効果が高い
SMSはスマートフォンに標準で備わっている機能ですが、顧客数が多ければ基本的に配信ツールが利用されます。
ツールの導入コストがかかりますが、SMS配信ツールはほぼ100%という到達・開封率から、プロモーションや支払いの案内などにも応用できます。
そもそも、コールセンターの業務効率を上げてくれるツールでもあるため、VOC以外にも活用できる投資効果の高い選択肢だといえます。
【まとめ:VOCをマーケティングに役立てて売上・利益をアップしよう!】
VOC分析は、マーケティングに役立つことは間違いありません。
しかし、VOCは継続的に行わなければならず、偏ったVOCの収集などをしてしまうとマーケティングを誤るリスクもあります。
なるべく自動的にVOCを収集でき、テキスト化や分類の手間の少ない体制を構築することが重要です。
効果的な方法として、コールセンターとSMSを組み合わせることがおすすめです。
ぜひ、検討してみてください。