人事領域のエンゲージメントとは?意味や高めるべき理由・方法を解説!

近年さまざまなビジネスの場面でエンゲージメントという言葉が使われるようになりました。人事領域でのエンゲージメントとは、従業員と会社のつながりの深さを意味し、これを高めることは離職率の低下などにつながります。本記事では人事領域におけるエンゲージメントの意味・向上させるべき理由や方法について解説します。

【ビジネスシーンにおけるエンゲージメントとは?】

エンゲージメント(engagement)とは、従事すること・婚約・約束・雇用などと訳され、二者間の結びつきや関係性に用いられる言葉です。ビジネスシーンでは大きく分けて以下2つの意味で用いられます。

●会社と顧客の関係性におけるエンゲージメント:主にマーケティング領域

主にマーケティング手段によって顧客をひきつけることによってできる顧客と企業のつながりの強さを意味し、「顧客エンゲージメント」と呼ぶこともあります。 

●従業員と会社との関係性におけるエンゲージメント:人事領域

従業員の会社に対する思い入れや愛着心などの絆を意味し、「 従業員エンゲージメント」と呼ぶこともあります。

ここからは人事領域におけるエンゲージメントである「従業員エンゲージメント」について説明します。

【人事領域におけるエンゲージメント:従業員エンゲージメントとは?】

ここでは、人事領域におけるエンゲージメントについて解説します。

●従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントは、会社と従業員とが相互に影響し合い、共に成長していくような対等な関係の中で生まれる親密性の度合い・絆の強さを表す言葉です。明確な定義があるわけではないので、「従業員満足度」「モチベーション」「ロイヤリティ」といったよく混同される言葉との違いを以下で説明します。

●従業員満足度との違い

従業員満足度とは、仕事内容、仕事環境や上司などに、どの程度満足しているかを表す指標です。

従業員エンゲージメントが高い状態では、従業員は会社に対する自発的な貢献意欲がある状態であるといえ、企業の業績向上にプラスとなります。一方で従業員満足度が高い状態であっても、自発的な意欲には必ずしもつながるものではなく、業績向上にもリンクしません。

●モチベーション・ロイヤリティとの違い

モチベーションは個人の中で生まれて完結するものです。意欲や前向きな姿勢という点では重なる点がありますが、個人完結という点で違いがあります。

ロイヤリティは愛社精神や帰属精神などを意味します。どちらかというと主従関係的なものであるという点でエンゲージメントとは異なります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

【従業員エンゲージメントを高めることが必要な理由・背景】

従業員エンゲージメントの向上が必要な理由を背景から解説します。

●人材の流動化が進んでいるから

終身雇用制度が事実上崩壊し、実力主義による報酬体系が主流となりました。大半の社員が1つの会社に留まっていた時代から、優秀な人材であるほど、より良い待遇が用意された環境に流出しやすい時代になったのです。そのため、報酬や待遇以外の面での従業員とのつながりとして、従業員エンゲージメントが重視されています。

●個人の価値観が多様化しているから

昇給や出世よりも、自分が働くことの意義や仕事のやりがいを重視する人が増え、仕事以外のことを大切にし、入社した会社や仕事の内容が合わないと感じたらすぐに辞めることも珍しくなくなりました。
さまざまな価値観を持つ従業員に、やりがいを持って高い生産性を保って働いてもらうには、これまでのような「会社が従業員を従える」ようなマネジメント方法では限界があり、会社と従業員双方向の信頼関係である「エンゲージメント」の考え方が重要となっているのです。

【従業員エンゲージメントを高めるメリット】

従業員エンゲージメントを高める主なメリットを3つ紹介します。

●離職率の低下

従業員エンゲージメントが高くなれば、会社に愛着を持つ社員が増え、会社に留まりやすくなるため、優秀な人材も流出しにくくなります。

●生産性が向上し、業績が上がる

会社の発展が従業員のやりがいにつながり、会社に貢献したいという意欲が自発的に生まれる状態のため、生産性が向上し業績も上がります。

●優秀な人材が採用しやすくなる

離職率が低下し、会社の業績が上がれば会社自体の評判が上がるため、優秀な人材が集まりやすくなるという好循環が生まれます。

【従業員エンゲージメントを向上させるための施策・方法】

ここでは、従業員エンゲージメントを向上させるにはどんな施策や方法があるのかを解説していきます。

●現状の従業員の意欲、価値観や深層部分を定量化して把握

従業員エンゲージメントを高めるためには会社と従業員の信頼関係を醸成し、従業員の成長を後押しすることが重要です。会社側は従業員の意欲やもともと持っている性格、価値観を正確に理解することで従業員が活躍できる業務担当や環境へ配置することが可能になります。

・社内アンケートで現状把握を

現状把握のために社内アンケート調査が有効です。このような従業員エンゲージメントの調査をエンゲージメントサーベイと呼びます。詳細は以下の記事をご覧ください。(新規作成中のこちらの記事へ内部リンク)

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1uILZ0TeoSYjyXBwsemYp6T4rP0IyCmTZa3QsOfUDnD4/edit#gid=0

・把握が困難なヒューマンスキルの理解にはHYOUMAN BOXを

一般的なアンケートでは内面などの深層部分を可視化するのは困難ですが、弊社のHYOUMAN BOXは、意欲などの深層部分や経営層から一般階層まで等しく必要とされるヒューマンスキルを定量化できます。多様な分析機能で従業員エンゲージメントを高める戦略人事の実行を容易にします。

意欲が高い従業員には成長の機会を与えることで、本人の意欲を後押しし、企業への信頼も高めることができます。

●企業理念やビジョンの発信、浸透

従業員エンゲージメント向上のために、自社の目標、価値観、ビジョンなどを全ての社員と共有することが必要です。個人と組織の成長の方向性が一致してこそ、従業員エンゲージメントが成立します。企業理念やビジョンは正確に従業員に伝わっていなければなりません。

先に挙げた社内アンケートの際に社員の理解度を把握し、不十分であれば発信の強化、あるいは伝わりにくい言葉を使っていないかを見直すことも必要です。

●社内コミュニケーションの活性化

人は同じ職場で働く人のことをよく知らないと、会社や仕事に対して愛着を持つことが困難です。そのため社内コミュニケーションを活性化させ、従業員同士、上司と部下の関係性を良好にしていくことも求められます。

従業員エンゲージメントで求められる会社と従業員の関係性が一方向性でないように、上司と部下の関係も上司が部下を押さえつけるような一方的な関係性ではないようにしなければなりません。社内コミュニケーション活性化のためには以下のような方法があります。

  • 社内イベントの実施
  • 社内報の発行
  • 社内SNSの活用
  • 1ON1ミーティングの実施
  • フリーアドレス制の導入

●マネジメント層の教育

上司のマネジメント力によって部下の「職場に必要とされている」、「正当に評価されている」などといった従業員エンゲージメントにつながる感覚が左右されます。

マネジメント層に必要なマネジメント力については以下の記事に詳しく記載しています。

●タレントマネジメントの活用

タレントマネジメントの活用により、社員それぞれのレベルにあった業務や、キャリアプランが提供できます。社員と業務を適切に繋げることにより、社員の仕事に対する意欲が高くなり、従業員エンゲージメントの向上につながります。

タレントマネジメントについては以下の記事に詳しく記載しています。

【まとめ】人事領域におけるエンゲージメント向上は会社の発展に貢献する

終身雇用制が崩壊し、個人の価値観が多様化した現代で会社を発展させるためには、優秀な人材を定着させることが重要です。従業員エンゲージメントを高めることは、離職防止や従業員のモチベーション向上など、企業・従業員双方にとって重要な要素に好影響をもたらします。

従業員の定着や成長に課題があるのであれば、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

弊社『HYOUMAN BOX』は、他社にはないヒューマンスキルの定量化によるAI分析と定期的な適性検査により、早期離職を防止、変化した個人の特性に合わせたキャリアパスを提示することで従業員エンゲージメント向上に寄与できるツールです。ぜひ導入をご検討ください。

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