マネジメントの意味とは?業務における役割と仕事内容を解説

マネジメントの意味とは〜業務における役割と仕事内容を解説

組織を統制するためには不可欠なスキルといわれるマネジメント。半世紀以上前に経営学者米ピータードラッカー氏の著作である「マネジメント」が発表されて以降、日本でもマネジメントの概念が広まりました。

しかしマネジメントを実際の業務に落とし込み、成果に繋げることに難しさを感じる管理職の方が未だ多いのが現状です。

今回はマネジメントの意味や役割、マネジメント業務を成功させるポイントをお伝えします。

【マネジメントの意味とは?】

マネジメントとは何か、意味の確認から始めましょう。

●マネジメントの意味

マネジメント(Management)の日本語訳は経営または管理ですが、ビジネスでは経営管理や組織運営が、マネジメントの意味です。

組織の成果を上げるために経営資源(ヒト・モノ・カネ)を有効活用し、リスク管理を行いながら組織の成果を最大化させ、目標達成を目指すことがマネジメントといえます。

・管理職との違い

マネジメントと管理職の意味は同一ではありません。日本企業や官公庁での伝統的な管理体制は社長から始まり、一般社員まで縦につながった構造となり、その中での管理職とは部長や課長などの中間管理職という意味です。その仕事とは企業の定めた目標に従い、自分の組織全体の業務管理を行いながら、経営陣など上層部の考えをメンバーに伝え、さらにメンバーの行動が基準から外れないよう統制すること。

マネジメントとは中間管理職だけを指すのではありません。上からの命令に従うだけではなく、最善の環境で仕事ができるように効率的な手法や資源を活用し、メンバー各人が適切に判断して仕事を進め、その進捗をマネジメントの遂行者であるマネージャーが管理しながら、組織として成果を上げることを目指すことです。

・リーダーシップとの違い

リーダーシップの意味もマネジメントと類似しますが、リーダーシップとは組織の先頭でメンバーの意識を一方向に集め、目標に向かってメンバーを導いていくことであり、リーダーシップを取る人が必ずしも管理職ではありません。

マネジメントは配下のメンバーそれぞれの力量や経験を把握した上で、各人に成果をあげさせるための現実的で具体的な計画を立て、組織の機能を十分に発揮させ、組織全体で目標達成をめざすのです。

以上のことからリーダーシップが取れる管理職がマネジメントを行うことが、企業にとって大きな利益になるといえます。

●マネジメントの必要性

技術革新が急速に進み、また少子高齢化による人手不足が深刻な今、同業他社との競争は極めて厳しい状況です。効率的な組織運営ができないと、競争に勝ち抜くことはできません。競争で優位に立つには、マネジメントが不可欠なのです。

【必要なマネジメントスキル・能力とは】 

あらかじめ備わっていると望ましいマネジメントスキルや能力として、目標設定力、進捗管理力、コミュニケーション能力、業務遂行力の4つがあります。それぞれ解説していきます。

●目標を設定する能力

マネージャーは適切な目標を設定する能力が求められます。そのために、まずは現在のチームミッションの把握が大切です。その後にメンバーそれぞれのスキルや意欲をベースとして「ミッションの実現にどのような力を発揮してもらえるか」を見極め、一人ひとりに対して目標設定を行います。

目標設定のポイントは現実性です。非現実的で高すぎる目標の場合、メンバーのモチベーションに支障が生じるリスクがあります。といっても低すぎる目標設定では、向上心が阻害される可能性があるため、メンバーが努力次第で達成できる現実的な目標を設定しましょう。

適切な目標設定によって、メンバーの信頼を得る効果も期待できます。

●目標への進捗管理能力

メンバーが設定した目標に対して、マネージャーは進捗状況を確認する必要があります。主体的に動くにはエンパワーメント(権限移譲)も大切ですが、育成を放棄して意思決定を丸投げしてもスムーズに機能しません。

マネージャーはメンバーの特性に応じて、細かく管理したり、任せたりといった臨機応変な対応能力が求められます。例えば、過度に失敗を恐れるタイプは「細かく管理されたい」と考えるものですが、そのようなメンバーにアバウトな進捗管理を行うと業務が滞る可能性があります。一方「自由に仕事がしたい」と考えるタイプに対して、進捗状況を細かく管理しすぎるとモチベーションが低下するリスクがあるでしょう。

●コミュニケーション能力

マネージャーにはメンバーとの円滑なコミュニケーションスキルが求められます。話しかけづらい雰囲気があると、メンバーは報告・連絡・相談をせず、全て自分で対処しようと考えた結果、ミスが発生するリスクが高くなります。さらに、ミスをしても報告がなければ発見が遅れ、組織に大きな損害が起こる可能性もあります。

そのような状況を未然に防ぎ、メンバーの能力を最大限引き出すには、マネージャーは普段から話しかけられやすい雰囲気を作り、積極的にコミュニケーションを図ることが大切です。場合によってはコーチングスキルを学ぶ必要もあります。

●業務を遂行できる能力

マネージャー自身に業務遂行の専門知識やスキルが備わっていることが重要です。時にメンバーに見本を見せたり、トラブルが発生した際は対応が必要なケースもあります。具体的な専門知識・スキルとして、例えば営業職なら交渉力、プレゼンテーションスキル、クロージング力、事務職ならPCスキルや正確性・スピードなどが考えられます。

仮にマネージャーが業務遂行力を備えていない場合、質問を受けても答えられない事態が考えられますし、その結果メンバーの信頼を失うリスクがあります。「この上司は仕事に詳しくない」と判断されれば、その後のマネジメントに支障が出ることも十分に考えられるので、マネージャーや管理職にとっても専門知識やスキルは必要です。

【マネジメント業務とは】

経営陣の意向をメンバーに伝えるだけでは、マネジメントにあらず。マネジメントの具体的な業務を確認しましょう。

●マネジメントの具体的な業務とは

企業としての数値目標(売上や利益率など)を鑑みた上で、組織および各メンバーにあった目標を設定し業務を実施。各人の仕事の進捗管理を定期的に行い、必要であれば軌道修正を行い組織全体の業務を管理し、最終的には組織および企業の成果に貢献することがマネジメントの重要な業務です。

マネジメントの重要な業務の二つ目は強い組織を確立させること。それにはメンバーのやる気を持続させることが必要です。各人の特性を伸ばす支援を行い、適材適所に割り当て公平な評価をすることで、メンバーのモチベーションが保持でき、組織全体の生産性を向上させます。

●マネジメント業務で目指すものとは

マネジメントがさらに上を目指すために考えられる業務とは、現状の活性化だけではなく企業の明るい未来の実現に貢献することです。つまり短期的、長期的な目標を立て、達成するために必要な人材の育成や新規事業を開発し、全社を巻き込んで成功させるといえます。

【マネジメント業務を成功させるポイント】

次にマネジメント業務を成功させるためのポイントをあげてみましょう。

●企業の変化を受け入れる

変化の激しい現代社会では、変革し続ける企業でなければ生き残れません。マネジメントには企業のいかなる変化でも受け入れられる柔軟性が必要です。経営陣が非現実的に見えるプロジェクトの遂行を命じてきたとしても否定的に構えるのではなく、成功する方法を前向きに考え、その施策を進めていくことが大切です。その姿勢がメンバーにも伝わり協力体制ができればより多くのアイデアが生み出され、成功の道筋ができるというものと考えられます。

●企業の課題と解決策をチーム全体で共有する

マネジメント業務を進めるうちに、解決すべき課題がさまざまな場面で出てくるもの。これは現場で解決すべきであるとか、上層部だけの話などと周知の範囲を制限することなく、課題はできるだけ企業全体で共有することが大切です。全社メンバーが企業の課題を自分の課題としてとらえれば、解決策が早期にみつかるかもしれません。

●メンバーに寄り添い適切な評価をする

マネジメントを成功させるためには、メンバーに対して適切な評価は必須です。自分が行った仕事の成果を、誰もが正当に評価してもらいたいと考えますし、ほめられて怒る人はいないでしょう。

評価を正しく行うにはメンバーとコミュニケーションを定期的に取ることが必要です。業務の進捗を確認し、必要に応じてアドバイスをするだけでなく、メンバーの特性を把握し、各人の考えを知ることもできるので評価する目的に加え、個々のキャリアプランを考える上でも有効といえます。

●マネジメントにITを活用する

マネジメント業務の効率化のため、ITの活用を検討するのも有効です。例えばルーチンワークはできるだけRPAに任せる、営業管理にはSFAを利用する、人事管理にはHYOUMAN BOXをはじめとした人事DXツールを導入するなど。

ツールを導入すれば最新情報の共有も迅速になり人的ミスも防げ、マネジメントが戦略や計画をじっくり考える時間をも確保できるようになります。

【マネジメント業務を行う上での注意点】

マネジメント業務を行う際の注意点に「モチベーション」と「現場への顔出し」があるのでそれぞれ解説します。

まずモチベーションですが、マネジメント業務を行う上でメンバーのモチベーションアップはとても重要です。しかし、マネージャーが一方的に前向きな言葉を押し付けても喚起されません。

モチベーションは自発的な動機付けなので、メンバー個人個人が能動的に動いた結果、チームの成果がアップすることが大切です。そのためには、メンバーにとって必要な行動を明確にアドバイスする必要があります。

次に現場への顔出しですが、中にはマネジメントに専念すると現場に出ない人もいます。しかし、成果を上げるためにも現場に顔を出し、時には自ら結果を残すことが大事です。マネージャーが定期的に現場に携わることで、メンバーからの尊敬も得やすくなります。

【マネジメントの遂行者(マネージャー)に向く人とは】

年功序列時代には相応の年齢に達し、在職年数が十分あれば、ほとんど全員が中間管理職になりましたが、マネジメントの遂行者であるマネージャーには、全てのメンバーが就く必要はありません。

終身雇用が前提のメンバーシップ雇用から、業務内容や責任範囲、必要なスキルや勤務場所などがポジションごとに明確に定められ、それに見合う人材を雇用するジョブ型雇用に変更する日本企業が最近増えてきましたが、ジョブ型雇用で候補者を見極めるための一つの指針が、その人物がマネージャーに向くかどうかということなのです。

果たしてマネージャーに向くのはどのような人なのでしょう。

●マネージャーに向く人

年齢や性別が関係することはありません。コミュニケーション力や指導力があり、自ら率先してマルチに動け、組織およびメンバーの目標をより世の中の流れに即した形に立てられ、さらには企業の未来を的確に描ける人がマネージャーに向きます。

●マネージャーに向かない人

マネージャーに向かない人とは、他人を管理するために時間をとられるより、特定の分野で自分の技量を高めることに注力したい人、もしくはその道を極められる力があると企業が判断できる人で専門職と呼ばれる人です。

管理職になれない人は出世街道から外れた人と以前はみなされましたが、今その考えはナンセンス。無論そういった偏見は未だ根強いために、社内の意識改革はあらかじめ必要がありますが、専門職という立場の人はマネージャーと同等レベルという共通認識ができれば、企業では社員を全員マネージャーにする必要もなくなり、無理にポストを増やす必要もなくなります。

【マネージャーを育成するには】

マネージャーを育成する主な方法として、研修、他部署や支社の仕事経験、勉強会への参加・自己啓発支援、業務負担の軽減の4つがあります。それぞれ解説していきます。

●研修を行う

研修によって、マネージャーは通常の業務を離れて能力を高めることができます。基本的には座学がメインですが、マネジメントに必要な理論を効率的に学べるというメリットがあります。

社内に育成ノウハウが構築されていれば、内部講師を立てて研修を実施します。体系化された育成ノウハウがなければ、外部機関に委託することも可能です。その際は、対面型だけではなく、通信教育・eラーニングなどを活用した方法もあるので、自社に最適な方法を検討しましょう。

なお、研修に参加したマネージャー同士、悩みや不安を共有する機会を得られるため、自主的な成長も期待できます。

●他部署や支社の仕事を経験させる

自社内の部署や支社にマネージャーを異動させることで、さまざまなタイプの人材のマネジメントを経験できます。一般的に部署や支社が違えば雰囲気も異なります。

他部署から異動してきた人間に対して、必ずしも全ての社員が良い印象を抱くとは限りません。中には露骨に嫌悪感を示す社員もいるでしょう。そのような環境で経験を重ねることで、どのようなタイプの部下にも育成・対応できる力が身に付きます。

マネージャーとして場数を踏むことは、危機管理能力の向上にもつながります。

●勉強会への参加をサポートする

マネージャーが学びやすい環境を作るため、勉強会への参加サポートや自己啓発支援を行うことも効果的です。そのためには社員同士で気軽に学べる場の構築が重要になります。

例えば、週に数時間、通常業務とは別に勉強会の日程を組み込んだり、自主的に学べる映像コンテンツを用意したりといった手段が考えられます。

金銭的な支援には書籍購入補助制度の導入があります。マネジメントに関連した書籍購入費用の一部、または全部を会社で負担する制度です。就業時間中は実践的な経験を積み、帰宅後や休日に書籍を読んで理論を深めてもらう制度ですが、社員に強制はできないので注意してください。

他の金銭的な支援として、外部のマネジメントセミナーへの参加費用補助などもありますが、書籍購入同様、強制的に参加させることはできません。金銭補助はあくまでも、サブ的な支援として考える必要があります。

●業務の負担を軽減させる

普段の業務に加えて、研修や勉強会に参加すると負担増につながります。そのため、学ぶ場を用意すると共に、普段の業務負担を軽減させる仕組み作りが大切です。

具体的には、業務範囲を見直した上で、緊急度の低い業務を他の社員に引き継がせたり、業務フローの効率化を考えたりすると良いでしょう。従来の仕事内容を維持したままマネジメント業務を追加すると、社員が心身ともに疲労し、離職率がアップする可能性があるので注意が必要です。

【まとめ:マネジメントの意味を理解し、業務に活かすことで組織の成長に貢献しよう】

組織を正しい方向に導き、企業の成長を後押しするために必要不可欠なマネジメント。今回確認したマネジメントの意味や必要なマネジメントスキル、マネジメント業務で成功するポイント、注意点、育成方法をとおして、自社にあったマネジメントスタイルを確立してください。

企業間の競争に打ち勝つためにも、メンバーへの業務分担は的確に行いたいものです。

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