最近タレントマネジメントという用語を、頻繁に耳にすることはないでしょうか。
デジタルトランスフォーメーション(DX)や、経済産業省が定める人的資本経営が重要になってきた今、日本でも導入する企業が増えているタレントマネジメント。
しかしその一方でタレントマネジメントとは何かわからないけれど、いまさら他人に聞けない方も少なくありません。
今回はタレントマネジメントについての知識を身につけ、タレントマネジメントの効果を最大限に引き出し成功させる方法について確認しましょう。
【タレントマネジメントとは】
タレントマネジメントの深掘りから始めます。
●タレントマネジメントの意味
タレマネと呼ばれることや、TMと書かれることもあるタレントマネジメント(Talent Management)とは、社員が持つ能力やスキル、経験などの人材情報を一元管理し、新規採用や社員の配置、人材開発などで戦略的に活用することで、業務価値の向上や業績の最大化を目指す人材マネジメントであり、年齢、学歴、職務経歴など社員の基本情報と合わせて活用することで、企業に大きな利益をもたらします。
タレントマネジメントの具体的な戦略は企業の目標や人事課題により決まるので、企業ごとに異なるのが一般的です。
2018年発表の厚生労働省 我が国企業のタレントマネジメントの導入状況によれば、タレントマネジメントの導入に時間とコストがかかるため、企業規模が大きいほどタレントマネジメントの導入割合が高く、中小企業では導入に踏み切れていない企業が多数といえます。
・タレントマネジメントの歴史
1997年に米大手コンサルティング会社のマッキンゼー&カンパニーが調査結果のWar for talent(人材獲得と育成競争)で言及したタレントプールという概念が、タレントマネジメントを確立することに。翌年にはタレントマネジメントが初めて論文に掲載されました。日本でタレントマネジメントが知られてきたのは2010年代です。
当初は優れた社員をいかに取り込むかに注力された内容でしたが、最近は現場のニーズに即した社員の確保が重要とされます。
・タレントとは何を指すのか
タレントの直訳は能力や資質の意味ですが、タレントマネジメントのタレントは人材(社員)を指します。始まりは優秀な社員のみの管理が目的でしたが、現在では全社員を対象とする企業がほとんどです。
●なぜタレントマネジメントが注目されているのか
タレントマネジメントが注目されるようになった理由は、次の4つが考えられます。
・労働力の減少
1970年に超高齢化に突入した日本。それと並行して少子化も進んだので生産年齢人口、労働力人口ともに減少しました。人材争奪戦は厳しさを増し、慢性的な売り手市場の中で転職活動は一般化し、企業では長期雇用がむずかしくなったのです。十分な収益を上げるために、タレントマネジメントで既存社員の人となりを把握し、人材の確保と育成を効果的に行うことが必須となりました。
・企業の生き残り策
グローバル競争が激しさを増す今、唯一無二の製品やサービス、画期的アイデアを継続的に生み出す力がなければ、企業が生き残っていくのは困難です。同業他社に勝ち続けられるためには、グローバル人材の育成が企業にとっての重要課題。従来の人材管理方法を抜本的に見直すことが求められるため、タレントマネジメントが必要になったのです。
・働き方改革の推進
日本政府が推進する働き方改革の存在も大きく影響しました。大企業は2020年から、中小企業は2021年から施行された働き方改革で、もっとも重要なのは長時間労働の是正です。それを達成するには社員の生産性向上が求められるため、効果的な方法を見出すためのツールとして、タレントマネジメントが検討されるようになりました。
・HR Tech革新
人材に関わることの数値化や可視化は不可能とみなされていましたが、技術の進歩は人事分野も置き去りにしなかったのです。IoTやAI、ビッグデータといった先端技術で人事部門の業務に変革をもたらすHR Tech (Human Resources Technology)により、タレントマネジメントも知られてきました。
【タレントマネジメントの目的と効果】
タレントマネジメントを行う目的と効果を確認してみましょう。
●タレントマネジメントの目的
売上や利益を上げる、事業拡大をするなどの目標を達成するための経営戦略を、人事戦略の観点から実現するのが、タレントマネジメントの目的です。目標達成のためのリーダーとなる人材を発掘、育成、人材を適材適所へ配置し、企業に定着させることが、タレントマネジメントを導入する上でのゴールとなります。
●タレントマネジメントの効果
タレントマネジメント導入で、どのような効果が得られるでしょうか。
・社員に対する効果
長い間日本の人事管理上では社内のことなら広く浅く、何でも対応できるジェネラリストが優秀とみなされ出世が早く、一分野に秀でる社員は蚊帳の外。
タレントマネジメントの導入により、社員それぞれのレベルにあった業務や、キャリアプランが提供されるため、社員の仕事に対する満足度や、意欲が高くなります。活躍の場も広がり評価される場面も増えれば、仕事の質も上がり社員ひとりひとりの能力向上にも期待できるのです。
・組織・企業での効果
タレントマネジメントの導入で自分にあった仕事と評価を受けられるようになるため、社員の企業に対する信頼感はアップし、今後も貢献していきたいと考えるので、必要な人材の長期雇用が現実となりえます。
社員のやる気が高まることは、顧客満足度向上にも効果的です。もっと良い仕事をしようという社員の姿勢が、顧客との友好関係を確固たるものにします。
・利益、コストでの効果
タレントマネジメントは、企業業績向上にも効果があります。企業戦略に合わせて人事施策を行うので調整コストは大幅に削減でき、社員の高い意欲が、大きな収益をもたらします。
また、タレントマネジメントで内部に潜む優秀な人材を発掘することで、新規採用の頻度が下がり、コスト削減が可能になります。
【タレントマネジメント成功のポイント】
タレントマネジメントを成功させるために、留意すべきポイントは次の2点です。
●人材管理とタレントマネジメントの違いを明確に
タレントマネジメントは従来の人材管理と目的が異なり、管理するデータの種類も違うことを認識しましょう。人材管理とは社員の過去データを蓄積し管理するものです。一方のタレントマネジメントは過去データはもちろん、社員の資質、才能、スキル、経験などあらゆるデータを一元管理しています。タレントマネジメントは未来のためにその情報を利活用するのです。
●目的の明確化と必要な情報の定義
導入目的が定まらず、さらには必要な情報の整理も行わずにタレントマネジメントを導入しても効果が望めません。まずは現状を可視化した上で、5年後10年後の経営戦略で必要となる社員はどんな人材で、新たに必要になるポジションは何か、その見極めに必要な情報はどんなものかなど、経営戦略と人材戦略の紐付けを行うべきです。
タレントマネジメントを成功させるには、人材に関する多様なデータを一元管理できることが必須となります。さらに効率的な管理にはツール導入が必要です。すでに人事管理システムを導入している企業が多いと思いますが、人事管理システムは人事担当の業務を効率化するものなので目的が異なります。
人材戦略を目的にする以上、HYOUMAN BOXに代表されるタレントマネジメントシステムの導入をおすすめします。
【まとめ:タレントマネジメントの成功が企業の成功を促す】
タレントマネジメントを行うことで、効果的な人材戦略が実装できます。適材適所に配置され、適切な目標の元で働くことで、社員は上長からの評価も受けやすくなるでしょう。スタッフは企業で働くことに意義を感じ、もっと貢献したいと思うはず。その結果、企業の業績は上がり、さらには顧客満足度も高くなると考えられます。
タレントマネジメントシステムの導入で、タレントマネジメント成功までの道のりがより短くなります。HYOUMAN BOXをぜひご検討ください。