人材一人ひとりの特性を分析し、活躍する方法や指針を示してくれる「コンピテンシー診断」。求職者にとっては自己分析や企業選びに役立つだけでなく、企業にとっても、採用活動や人材配置に役立ちます。
今回は、おすすめのコンピテンシー診断ツールと、自社にあったツールの選び方を解説します。
【コンピテンシー診断とは?】
コンピテンシー診断とは、仕事における人材の価値や適性を診断すること、診断のためのテストのことです。コンピテンシー(Competency)には「能力」「適性」といった意味があります。
コンピテンシー診断をすることで一人ひとりのヒューマンスキルや行動・思考の特性に基づき、誰が、どんな仕事で活躍するのかを見極められます。
●コンピテンシー診断でわかること
コンピテンシー診断では、以下のことが可視化されます。
- コミュニケーションスキルやリーダーシップなどのヒューマンスキル
- 行動や思考の特性
- 仕事やキャリアにおいて重視すること
- 適したキャリアプランや職種
- 相性の良い上司や職場
- ストレス要因 など
●コンピテンシー診断を活用するメリット
コンピテンシー診断を活用するメリットは以下です。
- 採用のミスマッチを防ぎ、離職率を軽減できる
- 適正な人材配置による生産性の向上
- 人材の配置・育成の精度アップによる、従業員エンゲージメントの向上 など
●コンピテンシー診断を活用するときの注意点
コンピテンシー診断は統計データに基づいた精度の高い診断ですが、だからこそ、診断結果にとらわれてしまうケースも多いです。診断結果だけで人材配置や採用を決めてしまうと、イレギュラーな事態や人材に対応しきれなくなってしまいます。診断結果だけを過信しすぎないように注意しましょう。
【コンピテンシー診断ツールの選び方】
コンピテンシー診断ツールを選ぶときは、次のようなことを意識することで、自社にあったツールを選べます。
- ツールを利用する目的を明確にする
- ツールから知りたい情報を考える
- 目的と企業規模から選ぶ
それぞれの特徴について解説します。
●選び方1.ツールを利用する目的を明確にする
何のためにツールを利用するのか、まずは目的を明確にしましょう。コンピテンシー診断ツールには、「採用支援」「人材の配置と育成」などの機能を備えているものもあります。導入する目的や解決したい課題により、選ぶべきツールは異なります。
●選び方2.ツールから知りたい情報を考える
ツールの利用目的を決めたら、コンピテンシー診断で何を知りたいのか、得られた情報をどう活用したいのかを考えましょう。コンピテンシー診断にはさまざまなものがあり、数十問ほどの質問で手軽に診断ができるものから、100問近い質問による詳細な分析ができるものまであります。
診断を受ける側の負担、得られたデータを何に活用するのかを考え、適した診断内容のものを選びましょう。
●選び方3.目的と企業規模から選ぶ
コンピテンシー診断ツールを選ぶ際は、導入の目的と自社の企業規模を軸にするといいでしょう。特にタレントマネジメントや人材の配置や育成といった機能のついているツールは、管理対象の多い大企業、少数精鋭のチームビルディングに向いています。
【厳選5選】コンピテンシー診断ツールのおすすめ比較表
次からは、おすすめのコンピテンシー診断ツールを厳選して5つ比較して紹介します。
料金 | 対象者 | 質問数 | 特徴 | |
16Personalities性格診断テスト | 無料 | 学生、新卒、既卒、既存従業員 | 100問 | 人材の能力や価値観を詳しく分析できる |
キャリタス | 無料 | 学生、新卒、既卒、既存従業員 | 20問 | 時間をかけずに診断できる |
ミイダス | 無料 | 学生、新卒、既卒 | 受ける診断により異なる | 人材の市場価値がわかる |
HuTaCT | 従業員ライセンス:30円/月管理者ライセンス:1,000円/月 | 既存従業員 | 要問い合わせ | タレントマネジメントに最適 |
HYOUMAN BOX | 25,000円/月~ | 新卒、既卒、既存従業員 | 91問 | 人材の配置や育成に最適 |
各ツールの詳細やどんな企業・学生におすすめなのかを紹介していきます。
●【無料で手軽に診断】16Personalities性格診断テスト
16Personalities性格診断テストは、料金もユーザー登録もなしで受けられる性格診断テストです。質問数は100問と多めですが、その分詳しい診断ができます。
■16Personalitiesの公式サイト
https://www.16personalities.com/ja
– 基本情報
費用:無料
対象者:学生、新卒、既卒、既存従業員
質問数:100問
– 診断でわかること
- 性格や価値観の傾向
- 仕事の進め方
- 仕事で重視すること
- 適したキャリアプラン など
– おすすめの企業
- 採用候補者や既存従業員について、それぞれの傾向を詳しく知りたい企業
- 従業員一人ひとりについて、コストをかけずに詳しく知りたい企業
- 少数精鋭のチームビルディングをしている企業
– おすすめの学生
- 自分に適した職種や業界を探している学生
- キャリアプランについて考え始めた学生
- 働き方を超え、「生き方」を模索している学生
●【新卒採用に強い】キャリタス
キャリタスはゲーム感覚で、手軽に自分の強みを診断できます。質問は20個と少なめ、診断結果はRPGゲームのような「ジョブ」に例えられるため、楽しみながら診断を進められるでしょう。
おおまかな診断結果はユーザー登録なしでも見られますが、詳細をチェックしたい人は、診断後にユーザー登録をするのがおすすめです。
■キャリタスの公式サイト
https://quest.career-tasu.jp/
– 基本情報
費用:無料
対象者:学生、新卒、既卒、既存従業員
質問数:20問
– 診断でわかること
- 自分のコミュニケーションの特徴
- 面接時の注意点
- 人間力や恋愛力、就活力などの傾向
– おすすめの企業
キャリタスは新卒・中途採用などの「求職者側」におすすめの診断テストです。ただ、相手のコミュニケーションの特徴やどうすれば成長するのかなどがわかるため、人材育成にも活用できます。
企業向けには、新卒採用に特化した「キャリタスUC」というサービスを提供しています。ターゲット校との関係構築により、自社にマッチする人材を集められるサービスです。
– おすすめの学生
- 面接時の注意点を知りたい学生
- 就活において、自分が何を重視しているのかわからなくなってしまった学生
- とにかく手軽に診断テストを受けたい学生
●【中途採用に強い】ミイダス
ミイダスは中途採用に強い診断テストで、一人ひとりのスキルや経験に基づき、「人材としての市場価値」を見いだします。転職アプリも提供しており、診断結果に基づいて相性の良い企業を探したり、スカウトが届いたりします。
コンピテンシー診断だけでなく、バイアス診断(意思決定のクセ)も可能です。
■ミイダスの公式サイト
https://corp.miidas.jp/
– 基本情報
費用:無料
対象者:学生、新卒、既卒
質問数:受ける診断により異なる
– 診断でわかること
- 相性の良い上司、ストレス要因
- 役職や職種への適性
- 要望に合った人材、従業員の検索
– おすすめの企業
- 離職率を下げたい企業
- 大規模採用の多い企業
- 自社にマッチする、活躍できる人材を探したい企業
– おすすめの学生
- 自分の人材としての市場価値を知りたい学生
- 診断内容をもとに、自分に合った企業を探したい学生
- 就活中の学生
●【タレントマネジメントに強い】HuTaCT
HuTaCTはタレントマネジメントに役立つクラウドサービスです。従業員のコンピテンシー管理、チームシミュレーション機能により、チームのパフォーマンスを可視化します。どうすればより良いチームができるのか、そのチームの弱みや足りていない要素を分析し、それを補う配置シミュレーションができます。
従業員自身で登録情報を更新できるため、情報の管理・更新の負担が少なく、最新情報に基づく効果的なマネジメントが可能です。
■HuTaCTの公式サイト
https://www.tdc.co.jp/product/hutact/
– 基本情報
費用:従業員ライセンス30円/月、管理者ライセンス1,000円/月
対象者:既存従業員
質問数:要問い合わせ
– 診断でわかること
- 個人のコンピテンシーモデル
- チームのパフォーマンス
- 人材配置のシミュレーション、育成計画
– おすすめの企業
- 人材一人ひとりの能力値・最新情報を、少ない負担で管理したい企業
- チームビルディングに課題を抱える企業
- 従業員の育成に課題を抱える企業
– おすすめの学生
HuTaCTは企業向けのサービスであり、学生は利用できません。
●【チームとの相性も測れる】HYOUMAN BOX
HYOUMAN BOXは自社と採用候補者の相性を測り、採用活動や入社後の人材育成に役立てられるツールです。30年の運用実績、過去1万2,000社以上のデータに基づく適性検査により、人材一人ひとりの適性やヒューマンスキルを可視化できます。
コミュニケーション力やリーダーシップといった見えづらいヒューマンスキルを数値化したり、部署ごとの課題やカルチャーをダッシュボードで確認したりできます。
■公式サイト
https://aicross.co.jp/hyoumanbox/
– 基本情報
費用:25,000円/月~
対象者:新卒、既卒、既存従業員
質問数:91問
– 診断でわかること
- 9項目のヒューマンスキル
- 10項目のパーソナリティ
- 社会性や行動特性、意欲など
– おすすめの企業
- 従業員一人ひとりの能力や価値観を知り、人材活用に活かしたい企業
- 離職率を下げ、従業員一人あたりの生産性を高めたい企業
- チームビルディングに課題を抱える企業
– おすすめの学生
HYOUMAN BOXは企業向けのサービスであり、学生は利用できません。
【コンピテンシー診断で、活躍できる人材を】
コンピテンシー診断は、自社の風土に合った人材を見極め、その人材を最大限に活用する方法を可視化できます。離職率の高い企業や従業員エンゲージメントの低い企業にとっては、これらの課題を解決するための足がかりとなるでしょう。
本記事を参考に、コンピテンシー診断を取り入れてみてはいかがでしょうか。