人材育成とは?成功に重要な考え方から具体的な目標設定方法まで解説

人材育成を成功させるためには、人的資源が企業にとって重要な資源だと認識し、長期的に定量的な目標を持って進めることが重要です。

本記事では、人材育成を成功させる3つのポイントから、目標設定の方法、具体的な5つの手法についてまで解説します。

【人材育成とは?人材教育や人材開発との違いについても解説】

「人材育成」とは、企業の担い手となる人材を育てていくことです。

人材育成と似た表現で使われる「人材教育」は、知識やスキルを教えること。また、「人材開発」とは能力を開発していくことを指しています。

スキルや能力に着目している人材教育や人材開発と比較して、人材育成とは、企業の成長や発展に貢献・牽引する人材そのものを育成することを意味していることに違いがあります。

【人材育成を進めるときに重要な考え方とは?企業が実施する目的や重要性について解説】

企業が人材育成を行う目的は、「企業の成長」だといえます。企業の成長を推進するためには、優秀な人材を確保しておくことは欠かせない条件だといえるでしょう。

企業の成長に重要な影響を及ぼす人材育成を行う場合は、「人的資源が最重要な経営資源だと認識する」「長期的な目標を立てる」「理想の人物像を共有する」の3つの考え方が重要です。それぞれの詳細を紹介します。

●人的資源が企業にとって最重要な経営資源だと認識する

企業が人材育成をする目的である「企業の成長」を実現するためには、「人」が欠かせません。企業の戦略やプロダクト、ビジネスモデルが優れていても、人材を確保できなければ推進することができないからです。

人材育成を行うときには、自社にとって人的資源は、経営資源として重要であるとの共通認識を持つことが重要です。

出典:総務省

総務省による労働力調査(2021年)によると、労働人口は2019年から2年連続減少しています。

参考:https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index.pdf

労働人口が減少している中、優秀な人材を一人でも多く確保することの重要性は今後高まっていくと考えられます。ただし、優秀な人材の確保は難しく、コストもかかります。そのため、自社で人材を育成していくことが求められるのです。

●短期的ではなく長期的な目標を立てる

人の育成は短期間で結果が出るものではありません。短期間での目標を立ててしまうと、結果が出る前に評価することになり、企業にとっても従業員にとっても好ましくない結果に繋がる可能性もあります。

人材育成は長期間かけて進めていくことを前提として、予算やサポート体制を検討する必要があります。

●理想の人物像を共有する

企業が求めている「理想の人物像」を、具体的にイメージできる形で社内に共有することも重要です。

新入社員・中堅層・管理職によって目標は異なるため、階層別に人物像を作成するようにしましょう。具体的なスキルや能力といったハードスキルだけではなく、ソフトスキルまで示せるとよいでしょう。

【人材育成の具体的な手法例】

人材育成の際に使われる手法は、以下の5つが一般的です。

  • OJT
  • Off-JT
  • SD(自己啓発)
  • 1on1ミーティング
  • コーチング

それぞれの詳細を紹介します。

●OJT

OJTとは、On the Job Training (オンザジョブトレーニング)の略。実際の仕事を通じて知識や技術を指導していく教育方法です。

社内の教育コストはかかりますが、現場で役に立つ実践的なスキルが学べることがメリットです。

●Off-JT

Off-JTとは、Off the Job Training(オフザジョブトレーニング)の略。職場外で教育をしていく方法です。eラーニングや、外部講師による教育もOff-JTに含まれます。

金銭的なコストがかかりますが、社内のリソースを使わずに教育を行えることや、体系的な知識を効率的に学習できることがメリットです。

●SD(自己啓発)

SDとは、Self Development(セルフディベロップメント)の略で、日本語では自己啓発といわれます。自己啓発の支援としての制度であり、スキルアップへのモチベーションを高めるために有効な手段です。

「セミナーや書籍の購入費は経費として扱う」「希望するeラーニングを会社負担で視聴できる」などを制度として導入している企業が多いです。

●1on1ミーティング

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う面談のこと。人事評価とは異なり、部下の現状を聞きながらフィードバックを行うことを目的とした個人面談です。

1回の長さは30分〜1時間程度。週1回、隔週、月1回など、定期的なペースで行うことが一般的です。

評価を行うものではないため、業務内容からプライベートな内容まで話しやすいことがポイント。定期的に個人に向き合って話す場を作ることで、信頼性の構築や、モチベーションを管理し成長を促せます。

●コーチング

コーチングとは、自主性を促進させるためのコミュニケーション手法のこと。教えたりアドバイスをしたりするのではなく、対話を通じて相手自身の考えを深め、気づきをもたらし、行動の選択肢を引き出すことで、自発的な行動へと繋げます。

自発的に行動を起こせていない場合や、自信が持てていない場合などに有効なマネジメント手法です。

【人材育成を成功させるための3つのポイント】

人材育成を成功させるためには以下の3つがポイントです。

  • 人材育成を行うコストの確保
  • 定量的な目標・評価基準の設定
  • 達成するまでの期間・期日を決める

それぞれの詳細を確認していきましょう。

●ポイント1. 人材育成を行うコストを確保する

人材育成が失敗しやすい原因には、「多忙により時間を確保できなかった」「育成のための予算がない」などが挙げられます。

人材育成には時間的・金銭的なコストがかかることは当然のこと。事前に時間と予算を確保しておくことが重要です。

●ポイント2.定量的な目標・評価基準を設定する

人材育成の効果測定を行うためには、定量的な評価基準が必要です。「なんとなく成長できている」「なんとなくリーダーシップが評価されている」など、曖昧に行うのではコストをかけて取り組む意味がありません。

企業として求める人物像からブレイクダウンし、定量的な評価指標を定めることが重要です。

●ポイント3. 達成するまでの期間・期日を決める

人が成長していくためには、様々な経験を踏まえる必要があるため、長期的に育成を行う必要があることはすでにお伝えしました。ただし、企業としてコストをかけて育成に取り組む以上、闇雲に成長を待つのではなく、期日を決めるのも大切です。

現在値と目標値のギャップから、どの程度の期間でどの程度の基準に達していることが求められるのかを事前に定めてから育成に入ることで、進捗確認も行いやすくなります。

【人材育成の目標設定の方法】

人材育成の成功のためには、定量的な目標を定めることが重要だと解説しましたが、評価基準を作成することを難しく思う人も多いでしょう。

人材育成のための目標設定は、階層別に理想の人物像を立ててから、定量的な評価基準、定性的な評価基準を作成していきます。

それぞれのステップで行うことを紹介します。

●STEP1.階層別に理想の人物像を立てる

まずは、階層別に企業が求める理想の人物像について明確にしていきます。

最初はきれいにまとまっていなくても問題ありません。まずは実際に活躍している理想的なメンバーの特徴や、「こんな人がいたらいいな」と思う人物を想像し、思いつくままに挙げていきましょう。

複数人で行う場合は、付箋やメモに書き出し、後で分類していくことをおすすめします。

●STEP2.定量的な評価基準を作成する

理想の人物像についての条件を出した後は、数値で評価できる部分から、評価基準を作成していきましょう。

例えば、「売上目標を達成し続けられる人物」が条件の場合は、「売上目標を6ヶ月間100%以上をキープ」など、達成目標を具体的に数値化していきます。

●STEP3.定性的な評価基準を作成する

「素直である」「意欲的である」などの定性的な評価は、具体的な行動に現れているのかによって点数を付けて評価を行います。

例えば、「素直である」ことを評価する場合は、以下のように実際の行動にどのように現れたのかによって点数をつけていきます。

(例)
アドバイスを数日以内に試し、結果を報告した→3
アドバイスを数日以内に試した→2
アドバイスを聞いても実行しなかった→1
アドバイスを聞き入れない・否定した→0

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人材育成の際に難しいのは、評価基準の作成から、評価ではないでしょうか。「何を基準にしたらいいのかわからない」「評価が難しい」と悩む人におすすめなのは、「HYOUMAN BOX」です。

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【人材育成を確実に進めるには目標の定量化が重要】

人材育成を成功させるためには、全社で人材育成を推進する共通意識を持ち、長期的にコストをかけて進める必要があります。その中でも重要なのは、「目標の定量化」です。

本記事で紹介したツールを活用したり、自社に合った評価表を作成したりすることで、定量化された目標を作成し、確実に人材育成を進めていきましょう。

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