採用管理ツールを活用して優秀な人材を確保するには?

近年、注目が集まりつつある人事領域でのテクノロジー活用である「HRテック」。
その中でも、採用管理ツールは採用担当者にとって、もっとも身近な存在。
しかし、「専門ツールを導入しなくても、エクセルなどで管理すれば十分」と考える人がいまだ多いのも事実です。

今回は、採用管理ツールを導入する意義を確認し、採用管理ツールを正しく選ぶためのヒントや、おすすめツールを紹介しましょう。

【採用管理ツール導入の目的は?】

採用管理ツールとは、応募から採用まで、企業の採用活動に必要な業務プロセスを一元管理できるツールのこと。

採用活動における重要課題は、自社の事業戦略を理解し、それを実現するための採用計画を立て、貢献しうる優秀な人材を採用することです。
しかし、少子高齢化や先端技術の急速な進化で、優秀な人材を獲得するために企業間の競争が激しさを増しています。
採用活動には今まで以上のスピード感や、現場担当と採用担当との強い連携体制が求められるのです。

採用管理ツールは、こうした課題を解決します。
もちろん、採用課題は企業ごとに異なるため、ツール導入するだけですべてが解決するわけではありませんが、採用管理ツールで自動化できる作業は多岐に渡ります。
リアルタイムで採用活動の進捗を管理し共有するには、採用管理ツールの導入が不可欠といえます。

●なぜエクセル管理では不十分なのか

すでにエクセルを別の業務で使っているなら、採用管理にも追加費用なく転用でき、また、使い慣れたエクセルであれば使用方法のトレーニングも不要です。
しかし、採用に関わる人が複数いる場合、データの更新漏れや入力ミスといった人的リスクや、データ更新のタイミングが重なることも考えられます。
エクセル上のデータの陳腐化は避けにくいため、採用管理専門のツールの導入を考えるべきなのです。

採用管理ツール導入の目的としては、大きく次の3つが考えられます。

●採用業務の効率化

従来の採用活動では人力だけが頼り。
作業量は膨大になり、採用担当が応募者一人ひとりを十分にフォローするなど不可能でした。

採用管理ツールを導入することで、オペレーション業務が大幅に効率化できるようになります。
具体的には、応募件数、応募者データ、応募者とのメールのやりとり、面接スケジュール、面接ステータス、内定者管理がすべてツール上で行えます。
また、蓄積したデータを分析に活用することも可能です。

最新データを社内の面接官や経営陣とリアルタイムに共有することも簡単なので、採用業務プロセスがスピードアップします。
オペレーション業務から解放された採用担当は、空いた時間を、ツールではできない重要な作業に当てることができるようになるのです。

●採用コストの低減

採用活動にはコストがかかるもの。
ヘッドハンターに支払う紹介料、求人メディアへの広告掲載料、就職イベントへの参加料はもちろん、採用活動に関わる社員が多ければ多いほど、その人件費もばかになりません。
採用管理ツール導入で業務効率が上がれば、採用活動に必要な時間も削減できて、大幅な人件費の削減が可能であると考えられます。

●採用力強化

業務効率が上がれば、浮いたコストと時間で今までできなかった採用ウェブサイトの刷新、リクルーターの増員や、自社採用、全社採用、リファラル採用などの新たなチャレンジができます。
すぐには結果が出なくても、このような取り組みは、長期的には必ず採用力強化につながるでしょう。

【採用管理ツール選択時に押さえるべきポイント】

採用活動をスピードアップさせ、採用管理の質向上を支援する採用管理ツール。
自社に最適な採用管理ツールを選ぶために、確認すべきポイントを紹介します。

●クラウドかオンプレミスか

採用管理ツールには、自社のサーバーにインストールして運用するオンプレミス(ライセンス契約)と、インターネット上で使うクラウド(サブスクリプション契約)があります。

どちらが自社に適しているかは、ツール運用や管理にどのくらいの工数が割り当てられるか、どの程度コストがかけられるか、という2点が判断材料になると考えられます。

オンプレミスの場合はツールの契約や導入費用のみならず、サーバーなどの設備費や運用サポート要員の人件費など初期費用が高額になります。
また、ツールによっては毎年ツールベンダーにサポート費用を支払う必要も。

一方、クラウドの場合は、オンプレミスほど初期費用がかからず、サポート人材を社内に置く必要もありません。
ただし、サービス提供ベンダーに対し、毎月あるいは毎年、ツール利用料を支払う必要が生じます。

導入したらすぐ使えて、社内にサポート担当を置く必要もないので、現在はクラウドの採用管理ツールがトレンドといえるでしょう。

●無料か有料か

採用管理ツールを導入したくても、費用対効果がコミットできないと予算確保をするのが難しい、という場合には、まずは無料の採用管理ツールを導入するという選択肢があります。
無料のツールでも基本的な機能は備わっており、使用期間や使用機能の制限はありませんが、有料の採用管理ツールと比べると使い勝手がいま一歩であり、必要な機能がないことも。

最初に無料の採用管理ツールを使ってみて、その機能で十分ならそのまま使い続ければよいでしょう。
そして、採用管理ツールの必要性が社内で浸透してきたタイミングで、欲しい機能がすべて搭載された有料製品へのリプレイスを上申するステップを踏む、というのもよいかもしれません。
有料採用管理ツールでも、無料トライアル期間があるものも多いので、気になるツールが見つかったらまずは確認してみましょう。

●採用ターゲット

採用ターゲットが正社員かアルバイトなのか、また、正社員でも新卒か中途か、求める人材によってオペレーションが変わり、採用管理ツールで必要になる機能も異なります。

採用管理ツールはどれも得意分野を明確に表示していますので、ツール選択の際には自社の採用ターゲットに適した採用管理ツールを選択しましょう。

●どの採用業務を効率化したいのか

採用管理ツールを導入する最大のベネフィットは、採用業務の効率化です。
採用業務は求人管理、応募者管理、選考管理と大きく3つに分類できます。
自社でどの業務の効率化に注力したいかで、選択すべき採用管理ツールが決まると考えられます。

【タイプ別おすすめの採用管理ツール】

ほとんどの採用管理ツールでは、採用管理ツールが搭載すべき基本機能はすべて提供できています。
ただし、それぞれ得意分野がありますので、効率化したい業務を確認した上で選びましょう。
おすすめの採用管理ツールをタイプ別にご紹介します。
各ツール名に企業URLをリンクしてあるので、料金等の詳細情報は、ツール名をクリックしてご覧ください。

●新卒採用に特化したツール

 ・MOCHICA(ネオキャリア)

LINEと連携した採用管理ツール。
LINE上で、自動で応募者と選考日程調整、選考結果が連絡できるので、大幅な工数削減が可能。
メールよりLINEになじんでいるだろう新卒応募者にとって、使いやすいツールといえます。

 ・i-Web(ヒューマネージ)

リクナビ、キャリタス就活、OfferBox、ONE CAREERなど、新卒になじみのある大手就職情報サイトなどとシームレスに連携。
新卒にとって使いやすいツールなため、応募機会の拡大が期待できます。

●中途採用に特化したツール

 ・SAP SuccessFactors Recruiting (SAP)

ERPのSAPが提供する世界最大規模の採用管理ツール。
80か国4,000以上の情報媒体に求人を投稿できます。
包括的な応募者管理で採用業務を効率化し、自社採用サイトのグローバルでの検索ランキングも向上可能。
グローバルに人材を募集、採用したい企業で、特に海外拠点も有するグローバル大企業に向く採用管理ツールです。

 ・HRMOS採用(ビズリーチ)

中堅企業向けの中途管理クラウドとして知られたHRMOS採用では、ビッグデータによる数値、データによる採用活動の可視化、分析が可能。
採用活動がより戦略的に行なえます。
フェーズの違う採用活動に並行して対応できるので、大規模な採用を行なっている企業向けです。
新卒採用にはHRMOS採用新卒エディションあり。

●求人管理に特化したツール

 ・HITO-Linkリクルーティング(パーソルプロセス&テクノロジー)

約30以上の求人媒体から応募者データの取り込みが可能。
わざわざ転記する手間が省けて、求人対応で疲弊することがなくなります。
API連携しているOutlook、Googleカレンダーなどへ、面接予約を自動反映ができるので、面接日の調整・キャンセル・リマインド通知など、会議依頼の送付が簡単になり、ダブルブッキングも防止できます。

 ・ジョブカン採用管理(Donuts)

新卒、中途、アルバイト、パートや求人媒体やヘッドハンターからの紹介など、どんな採用でも対応可能な採用管理ツール。
求人情報はIndeed、Googleしごと検索、求人情報 on Facebookと連携、掲載されます。
選考管理や状況把握といった採用活動の一元管理ができるので、社内での情報共有が円滑に可能。

●応募者管理に特化したツール

 ・HERP Hire(HERP)

20以上の媒体から自動で応募情報を取り込み、一元管理できます。
SlackやChatworkとの連携により、採用担当だけでなく、採用に関係する現場社員にも直接通知する「スクラム採用」手法で、採用活動に参加しやすくなります。
スムーズかつスピーディに書類選考や面接日程を管理し、採用成果のリアルタイムな見える化も可能です。

リクナビHRTech採用管理(リクルート)

エクセルの操作感を維持した画面設計で、候補者情報や選考状況がひと目で把握でき、共有の抜け漏れを防止できます。
また、面接官のカレンダーから空いているタイミングを検索し、採用担当の代わりに応募者との面接日程調整を行なってくれるので、手作業の削減が可能です。

●選考管理に特化したツール

 ・ITSUMEN(マルジュ)

大量応募でも選考の時間短縮が可能な、ユニークな動画選考ツール。

応募者は24時間365日、ITSUMEN経由で自ら動画を撮って応募できます。

企業側は動画を見た上での面接となるため、一次面接のコストが激減し、二次面接以降に注力できます。

 ・アクセスオンラインキャリア(マイナビ)

選考業務を効率化する採用管理ツール。
採用フローにあわせた選考の進捗管理や、社内外とのやりとり、応募者への連絡などの工数のかかる業務を効率化できるので、大切な選考業務に注力することができます。

【採用後の対応も採用管理ツールで効率化可能】

採用する人材が決定したからといって、採用管理が完了したわけではありません。
内定者をフォローしないと内定辞退されてしまうかもしれませんし、採用活動の振り返りをデータ化すれば、次の採用活動にも役立つでしょう
採用管理ツールには、採用後でも役立つ機能が搭載されていますので、確認しましょう。

●内定者フォロー機能

とくに新卒採用の場合には、内定後のフォローが重要です。
新卒採用では、中途採用と異なり、内定通知が送付されてから入社予定日まで間が開きます。
その間に企業から何もレスがないと、内定者が本当に採用されているのか不安になり、頻繁に連絡がある他社へ心変わりしてしまうことも。

採用管理ツールの内定者管理機能を活用し、内定通知のみならず、内定後のフォローや、内定後フォローの進捗共有などが自動化できれば、採用担当者は内定者一人ひとりの個別フォローにも時間を費やすことが可能になります。
また、どのようなフォローをしているかを、採用活動の関係者と共有することもできます。

●職種・採用時期・難易度別にどの手法が最適だったのかを分析

採用活動では、多くの情報が日々、新たに生成されます。

  • 営業の採用でもっとも成果が上がったのはどのような方法
  • 成功率が高かった時期はいつか
  • 内定者からどのような相談や要望があったか

といったデータを、採用管理ツールに蓄積し分析することで、最適な採用方法が明確になります。

●リファラル採用も

「リファラル採用」とは、自社社員や退職したOB、OGから友人知人を紹介してもらい、その後は通常の選考基準に従って行なう採用の手法です。
従来の採用方法に比べコストを大幅に削減でき、確実に質の高い人材が採用できるため、日本でも採用する企業が増えています。

このリファラル採用管理にも採用管理ツールが大活躍。
採用進捗のみならず、リファラル採用に協力的な社員の紹介実績や、社員の協力率などもあわせて管理することができます。

【まとめ:採用管理ツールで採用活動をスピードアップし、優秀な人材を確保しよう!】

優秀人材の確保は、生き残り策の一環として、どの企業でも大きな課題。
採用管理ツールの導入は、必要な人材を早急に採用するのに有益であり、採用ミスマッチを防ぎ、効率的な採用活動を実現します。
採用管理ツールは多数存在するので、企業が具体的に何を自動化したいのかを確認した上で、身の丈にあった採用管理ツールを選択したいものです。

加えて、採用活動にあたっては、既存社員のスキルデータ分析から、本当に必要な人材を知ることも重要になります。社員のパーソナリティを可視化、分析することで自社に適した活躍人材を見極め、人事DXを実現するHYOUMAN BOXも、採用管理ツールとあわせてご検討ください。

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