テキストメッセージや音声を使ってユーザーと自動的にコミュニケーションを行うチャットボット。
ウェブサイト上のカスタマーサポートでの活用などで日本でも知られてきましたが、これからチャットボットを導入しようとご検討中の場合、自社でも成功できるのか心配されることも少なくないはずです。
今回はチャットボットの導入を検討する上で必要な情報となるチャットボットの種類や仕組み、費用、導入のメリット・デメリット、事例などをご紹介します。
【チャットボットとは】
●チャットボットの定義と歴史
チャットボット(Chatbot)とは、チャット(Chat=対話)とボット(Robot=ロボット)を組み合わせた造語で、ユーザーと企業をつなぐコミュニケーションツールのことです。1966年に米マサチューセッツ工科大学のワイゼンバウム教授が作成した自然言語処理プログラムであるELIZA(イライザ)が始まりといわれています。
●チャットボットの仕組み
ユーザーが入力した質問の回答をデータベースから探して、リアルタイムに返答することがチャットボットの仕組みです。
●チャットボットの種類
チャットボットは大きく二種類、AI搭載型とルール型があります。
・AI搭載型
初期設定で蓄積したデータと運用する中でAIが学習したデータから、ユーザーの質問に対して最も適切な内容で回答するのがAI搭載型チャットボット。
AI搭載型の詳細は、こちらをご一読ください。
チャットボットでより自然な回答をユーザーに提供したい企業には、AI搭載型がおすすめです。
・ルール型
想定される質問とその回答のセット(シナリオ)をあらかじめ作成し、ユーザーの質問に合うシナリオに沿って回答するのがルール型のチャットボット。AI搭載型に比べて安価で導入がしやすく、成果がすぐに出やすい点が特徴ですが、シナリオで設定された質問でないと正確な回答ができません。一問一答形式のシナリオが多く用意できる企業には、ルール型がおすすめです。
●有人チャットとの違い
チャットボットと相対するのが人間が対応する有人チャット。スキルあるオペレータならどんな質問にも回答可能ですが、人件費がかかり対応可能時間は有限です。
【チャットボット導入のメリット・デメリット】
チャットボット導入のメリット、デメリットを確認しましょう。
●メリット
導入のメリットは大きく4つです。
・24時間365日対応可能
チャットボットは原則ノンストップ。好きな時に情報が入手できるので、ユーザーはストレスを感じることがありません。
・カスタマーサポート業務の効率化
頻繁にある質問の回答をチャットボットに任せることで、オペレータは重要業務にのみ集中でき残業も減るはず。
・ユーザーとの接点を創出
人には聞きずらかった質問も、相手がチャットボットなら臆せず聞けるので、ユーザーのウェブサイトへの訪問頻度が上がり、ユーザーの声をより多く収集できるようになります。
・ユーザーにもメリットをもたらす
チャットボットに質問して疑問点がすぐに解決できれば、ユーザーのメリットも大きいはずです。
●デメリット
ではチャットボット導入のデメリットとは何でしょう。
・費用がかかる
導入時だけでなくチャットボットは運用にも費用がかかります。運用担当の育成などに予算の割り当てが必要です。
・投資対効果が出にくいことも
特にAI搭載型チャットボットでは回答の品質向上のためにデータ量を増やし、AIに学習時間を与える必要があるので、すぐに成果が出ない可能性が大です。
・チャットボットに対応できない場合も
ルール型チャットボットでは、シナリオにない質問には回答困難。多くの質問に対応するにはシナリオ数を増やすなど、作業工数や費用が必要になります。
以上のデメリットは、導入がゴールでないことを忘れなければ回避できるはずです。
【チャットボットの導入方法】
適切なチャットボットの導入方法とは、前準備→チャットボット選択→導入、運用方法の確認→開発→テスト、本番稼働で進めること。詳しく確認しましょう。
●チャットボット導入の前準備
現状の課題を確認します。その結果必要なチャットボットの具体像が明確になるはず。
●チャットボット選択
具体像が明らかになれば、どのようなチャットボットをどこに設置すれば良いか想定できます。
・AI搭載型かルール型か
FAQなどの対応がメインで、気軽に導入できてすぐ結果が欲しいのであればルール型が、有人チャットに準じた回答を実現するにはAI搭載型がベストです。
・自社開発かツール活用か
技術力がある人材がいるならチャットボットの自社開発は可能ですが、迅速かつ安全に導入するには、チャットボットツールやサービスの活用をおすすめします。
無償ツールでは日本語に未対応だったり利用できる機能に制限があることが多いので、長期的にチャットボットを活用するなら有償ツールがおすすめです。ツールにより初期費用が異なるので十分な機能比較を。
AIX LabのQA Robotであれば、チャットボットにより業務の自動化を推進し、チャットボットで得たデータで顧客体験や顧客満足度向上にも貢献します。
・会話作成の方法(AI搭載型の場合)
AI搭載型ではチャットボットの学習データを自社で用意するのか、外部委託するか決める必要が。専門家に任せたい場合はAIX LabのようなAIを知り尽くした企業のサービスを利用しましょう。
●導入、運用方法の確認
チャットボットの導入方法と運用方法を決めます。本番稼働までの期間の見定めや、自社開発なら開発要員は社員だけにするか外部も入れるか、チャットボットツールを活用する場合はツールベンダーと自社で分担するか、ツールベンターに完全に任せるのかなどを決めましょう。さらに本番稼働後の運用体制についても社内での意識統一が必須です。
●導入
チャットボットを自社開発する場合には導入期間が長期になることもあります。チャットボットツールを活用するならツールのカスタマイズやアドオン作業に一定の時間が必要です。どちらの場合も計画がぶれないように、進捗管理を厳格に行います。
●テスト、本番稼働
チャットボット導入作業が完了したら関係者での動作確認を。その後はユーザーをしぼって複数回のテストという運びとなります。テストで見出した課題を修正し更なる品質向上に努め、いよいよ本番稼働です。
本番稼働後は実際に効果が出るのか数字で図り、改善を繰り返すことが必要になります。
【チャットボット導入事例】
チャットボットの導入の成功事例と、失敗するパターンの確認をしましょう。
●成功事例
日本企業2社の事例を紹介します。
・JR西日本
忘れ物をした時の問い合わせや捜索手配などの時間を短縮するため、JR西日本では自社ウェブサイトのJRお出かけネット上に、JR西日本お忘れ物チャットサービスというチャットボットを設置し遺失物検索で活用しています。
以前は電話で問い合わせるか、駅に出向いて忘れ物の届けを出す捜索方法で、問い合わせ時間が限られていました。チャットボットの導入でいつでも問い合わせが可能となり、利便性の高さから好評を得ています。
・東京証券取引所
東京証券取引所では証券会社等のシステム担当者向けに開設しているFAQサイトで、あろーずくんAIチャットという名称のチャットボットを活用しています。
FAQサイトには十分にコンテンツの用意があるのに、検索しにくいという課題がありました。チャットボットを導入することで必要な情報を確実に見つけられるようになり、顧客満足度が上がっただけでなく社内ユーザーの利用も増えました。
●チャットボットが失敗する理由とは
失敗する理由は、次の2つが考えられます。
・データ分析やデータ更新が遅れがち
運用フェーズでユーザーの問い合わせ内容を分析し、ルール型であればシナリオの追加を、AI搭載型なら会話データの更新を継続して行わない限り、チャットボットの精度は上がらず、ユーザーからクレームがくることも。
チャットボットでの回答の情報が古くないか、回答へのリンクが切れていないかなどの確認を行い、適切なデータ更新をすることが成功への道です。
・メインユーザー層がシニア
チャットボットの利用率が増えない場合には、メインのユーザー層がインターネット利用の少ないシニアであることが。シニアをチャットボットへ誘導する賢い方法は、目を引くチャットマスコットの採用や、チャットボットをより見つけやすい場所に移動することがおすすめです。、電話の自動音声応答からウェブサイトへ誘導するビジュアルIVRの導入も良いでしょう。
【まとめ〜チャットボット導入でビジネスを効率化しよう】
業務を効率化し、顧客満足度向上ツールとしても役立つチャットボット。自社開発も可能ですが、早く成果を出すには実績のあるチャットボットツールの活用がおすすめです。
一気通貫のAIサービス開発体制で、ビジネス拡大に貢献するAIX LABのQA Robotを是非ご検討ください。