マーケティング活動を自動化し、マーケティングのみならず営業活動の生産性を向上させるために欠かせないツールが、マーケティングオートメーションです。
日本でもマーケティングオートメーションが知られてきましたが、いざ導入を検討することになると種類が豊富すぎてどれを選ぶべきか迷われる方も多いのではないでしょうか。
今回はマーケティングオートメーションとは何かを理解した上で、最適なマーケティングオートメーションを選択するポイントを確認しましょう。
【マーケティングオートメーションとは】
マーケティングオートメーションを深掘りすることから始めます。
●マーケティングオートメーションの定義
リードナーチャリング(顧客育成)のマーケティング活動を可視化、自動化する一連のプロセスがマーケティングオートメーション(MA)であり、実装する製品もマーケティングオートメーションと呼んでいます。
1999年に米Eloqua社(現米オラクル社)が発表したマーケティングオートメーションが成功したことで、この市場は広まり始めました。高速インターネットが普及した後、2004年にはクラウドベースの製品が登場。その後2014年まではマーケティングオーメーション市場の拡大期となり、日本で認知され始めたのもこの時期でした。
・マーケティングオートメーションの機能
マーケティングオートメーションに、必ず搭載されている機能は次の3つです。
- マーケティング活動の自動化と分析:マーケティング担当(マーケター)の手作業を減らし、一元管理するデータでマーケティング活動の効果測定を行う
- リード情報の収集と管理:詳細情報を集めて最新状態を保持する
- リード育成:リードが求める情報を適切な頻度で提供し、リードの購買意欲を育てる
レコメンドエンジンやFAQエンジンなどの付加価値をつけたマーケティングオートメーションも数多くあります。
・他管理製品との違い
マーケティングや営業活動の管理製品として、マーケティングオートメーションの他SFA(Sales Force Automation=営業支援システム))やCRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)があり、機能が重複しているところがあれども得意分野は違うのです。
マーケティングオートメーションは、リード収集からリードの購買意欲を高めるところまで、その後のプロセスを引き継ぐのがSFA。SFAでは商談開始から受注までの営業活動の最適化を行い、CRMは既存顧客との関係を維持し長期的な収益向上を目指すのです。
・コンプライアンス対応
マーケティングオートメーションのコンプライアンスでは、個人情報保護法と特定電子メール法が関係します。法に従いセキュリティを確保し、IDやパスワード管理を徹底することが必須です。
●マーケティングオートメーションが必要とされるわけ
従来のマーケター業務は、イベントマーケティングがメイン。セミナーや展示会などで新規リードを獲得し、営業担当に渡せば任務完了でした。ところが時代は変わりマーケティング活動は多様化したのです。営業担当が求めるポテンシャルのあるリードに育成し、既存顧客からのリピート率を上げ、売上に貢献することがマーケターに課せられたのです。業務効率を上げるためにはIT化ひいてはマーケティングオートメーションが必要になりました。
【マーケティングオートメーション導入のメリット、デメリット】
マーケティングオートメーションを導入するメリット、デメリットを確認しましょう。
●メリット
メリットは大きく4つ考えられます。
・マーケティング業務の工数削減
特にリード育成フェーズで工数削減ができることが最大のメリットです。リード育成にはリードと十分にコミュニケーションを取ることが大切ですが、マーケティングオートメーションを使えば、数千人規模の対応が一度で完了できます。
・人的ミス削減
どんなに能力が高くても、人の手を介せばミスが生じるもの。マーケティングオートメーションは同様なミスを起こしません。
・高度な分析
マーケティング活動の成果を上げるには定期的にデータ分析を行い、継続的な改善が必要といえます。マーケティングオートメーションなら多様な分析が可能です。
・リードの質向上
リード育成が効果的に行えるので、質の高いリードを営業担当に渡せます。
●デメリット
導入のデメリットも確認しましょう。
・導入コストがかかる
本格的にマーケティングオートメーションを活用するには、必要な機能がある有償の製品を選択する必要があります。
・運用コストが必要
マーケティングオートメーションの安全な運用には関係者のトレーニング、ITリテラシーの高い社員を新規採用、さらに外部コンサルタントを雇うことが必要になることも。
・機能が豊富すぎて使いこなせない
豊富な機能があるのに使いこなせないのでは、マーケティングオートメーションを導入した意味がありませんが、マーケティングオートメーション活用の具体的な方針が定まっていない場合に陥るケースです。
【マーケティングオートメーションの選ぶポイントとは】
マーケティングオートメーションを選ぶポイントを確認しましょう。
●ビジネスモデルに合うこと
B2B(BtoB/Business to Business) とB2C(BtoC/Business to Consumer) では必要な機能が異なります。
・B2Bの場合
ターゲットが限定的で決裁に関わる人数が多く、扱う製品やサービスは高額なので、購買するまでの期間が長いのが特徴。新規リード獲得、リード育成などの機能が充実しているマーケティングオートメーションを選びましょう。
・B2Cの場合
ターゲットは大量で決裁者は個人、扱う製品やサービスは比較的安価で受注までのプロセスが短いといえます。コミュニケーションにSNSを多用するのが特徴です。大量データが扱えて情報配信のチャンネルを一元管理でき、配信の自動化や分析の自動化が得意なマーケティングオートメーションがベストと言えます。
●身の丈にあった製品であること
現場のニーズに合ったマーケティングオートメーションを選ぶことが必要です。
・必要な機能はカバーされているか
マーケティングオートメーションで何がしたいのかを確認し、実現するために必要最低限な機能が搭載されていれば大丈夫。
・費用対効果はどうか
人件費削減など、費用対効果が見込めるマーケティングオートメーションを選ぶことも大切です。
・国産か外資系か
国内外で使うには言語対応が豊富で、世界の商習慣に対応している外国製品が適しています。国内のみでの使用の場合、日本の商習慣にきめ細かく対応する国産のマーケティングオートメーションがよいかもしれません。
・統合型か分散型か
レコメンドエンジン、FAQエンジン、SFA、CRMなどマーケティングオートメーション以外も導入する計画なら、一社の製品群でまとまる統合型が適していますが費用は高額に。分散型ならマーケティングオートメーションだけを導入するので初期投資は少額ですみますが、後に他ツールと連携するには結局高くつくことも。
●マーケティングオートメーション比較
日本で導入実績が多いマーケティングオートメーション製品を比較しました。今までご紹介した選択のポイントと合わせてご参照ください。

【マーケティングオートメーションで生産性を向上させよう】
マーケティングオートメーションの導入目的を明確にし条件に合う製品を選べば、マーケティング活動の生産性が向上することは間違いありませんが、レコメンドエンジンやFAQエンジンがあればベストです。
AIによる高度な顧客の分析、パーソナライズされたレコメンデーションとSMSやLINE・メールによる最適な配信が可能になるAIX Labとの連携も是非ご検討ください。