企業でAI(人工知能)の導入を検討する際には、「より良い仕事ができるか」「何ができるか」という点に関する考慮が求められます。いまや利用する側にも、AIに関する基本的な知識が求められる時代といえるでしょう。
AIを適切に用いることで、業務効率化などより良い仕事が可能です。本記事ではAIを活用できる仕事やできること、仕組みについて解説します。
【AI(人工知能)ができること6選】
AIは以下の6つの業務で効率的に活用されています。
- 画像認識
- 音声認識
- 自然言語処理
- 異常検知
- 分析・予測
- 単純作業
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
●画像認識
画像認識は画像に含まれた特徴を自動で抽出し、何が映っているか認識する技術です。日々の生活や業務で触れる、多種多様な画像が対象です。
- 写真やイラストなどの静止画
- 動画
- 文字
スマートフォンの顔認証には、画像認識の技術が活かされています。画像は情報量が多くなりがちですが、AIならばスピーディーに処理できます。
●音声認識
音声認識は、聞き取った音が何かを認識する技術です。以下はその一例です。
- 話し声や使われている言語の種類
- 音楽
- 機械の作動音
- 鳥や虫など、生き物の声
AIは音声の分類だけでなく、類似する音との識別もできます。「スピーカーから流れる音楽を知る」、「動作音から状況を把握する」といった用途にも使えます。
●自然言語処理
自然言語処理は、AIが文章の意味を理解するうえで欠かせない技術です。使われている語句や文の構造を解析したうえで、意味や文脈を理解できます。提示された文章の趣旨を自動で把握できます。また適切な応答をAIが自ら作成し、コミュニケーションを取ることも可能です。
●異常検知
AIは蓄積されたデータをもとに、正常と異常の判別も行えます。あらかじめ正常値の範囲を登録しなくても、通常時と異なる値を自動で検知し異常として通知が可能です。他の技術と組み合わせることで、以下の異常検知も行えます。
- 画像認識と組み合わせることで、侵入者を検知する
- 音声認識と組み合わせることで、機器が異常音を出しているかチェックする
AIを用いた異常検知は、工場や自動車など幅広く使われています。
●分析・予測
蓄積されたデータは、AIによる分析に活用できます。モザイクの画像を分析し、元の画像を推定することはその一例です。
加えて、将来の予測も可能です。経験や勘に頼らず、データに基づく確度の高い推論を迅速に行えます。商品の仕入れや来客数の予測、機器の保全など幅広く使われています。
●単純作業
AIはコンピューターの一種ですから、繰り返しの単純作業を得意としています。画像や音声、文章やデータが大量に存在する場合でも、一定のスピードを保ち正しい処理を行えます。24時間365日、休まず対応できることも魅力です。
【AIの仕組みとは?2種類の学習方法を解説】
AIが多種多様な業務に活かせる秘訣は、AIならではの学習方法にあります。
AIには以下の2種類の学習方法があります。
- 機械学習(マシンラーニング)
- 深層学習(ディープラーニング)
それではAIの学習方法と学ぶ仕組みを見ていきましょう。
●機械学習(マシンラーニング)
機械学習はAIがデータをもとに学ぶ手法で以下の3つがあります。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 強化学習
それでは解説していきます。
・教師あり学習
教師あり学習は、入力データに対応する解答(出力)が用意されている手法です。AIは入力と出力をセットで学ぶことにより、データが持つ特徴を把握できます。未知の入力データに対しても、学習の成果をもとに適切な出力を示し提示できます。
教師あり学習はAIの主流となる学習方法であり、データの分類や予測などの用途で幅広く使われています。
・教師なし学習
教師なし学習は、入力データだけが与えられる学習の手法です。与えられたデータを手がかりにして特徴や構造を分析し、適切な出力を提示することが特徴です。データをグループ分けする「クラスタリング」や情報を要約する「次元圧縮」は、教師なし学習の代表的な手法となります。
・強化学習
強化学習は入力データに対する出力に、価値をつけます。望ましい出力に高い評価をつけることで、コンピューターに対して入力データにふさわしい出力をするよう学ばせる手法です。ゲームやロボットの歩行などに活用されています。
●深層学習(ディープラーニング)
深層学習は機械学習を発展させた手法で、人間の神経細胞の仕組みを再現した「ニューラルネットワーク」をベースとしています。どの特徴に着目して学ぶかという点を、AIが自ら選び決定します。
事前にパターンやルールを与えなくても、データさえ与えておけば学習できることは大きなメリットといえるでしょう。一方で学習のためには、大量のデータが必要です。またAIが選んだ基準を可視化しにくい場合があることは難点です。
【AIの活用例は?事例を合わせて5つ紹介!】
AIは幅広い分野で我々の生活に根付いています。
今回は以下の5つの活用例を紹介します。
- 病気の診断支援(画像認識)
- スマートスピーカー (音声認識・自然言語処理)
- 製品画像の異常検知(異常検知)
- 株価予測(分析・予測)
- チャットボット(単純作業)
それでは、順に見ていきましょう。
●病気の診断支援(画像認識)
IBM Watsonは2006年に登場したAIで、さまざまな分野で使われています。たとえば医療の分野では、2015年の時点で累計300億枚ものX線やCT、MRI画像を解析しました。診療情報と解析した画像情報をもとに、医師に対して診断や追加すべき検査をアドバイスします。
経験が少ない、または専門外の疾患に対しても、適切に診断しやすくなることは大きなメリットに挙げられます。
●スマートスピーカー(音声認識・自然言語処理)
話しかけるだけで情報の提供や家電のスイッチを操作できるスマートスピーカーは、音声認識や自然言語処理を活用し、人間が発話した内容を把握できることが特徴です。さまざまな事業者が提供しており、製品ごとの活用例は以下の通り異なります。
AIの種類 | 代表的な製品 | 製品ごとの活用例 |
Googleアシスタント | Google Nest MiniGoogle Nest Audio | YouTubeなどGoogleが提供するサービス、Spotifyとの連携 |
Siri | HomePod | Apple製品やPodcastとの連携 |
CLOVA | CLOVA WAVE | LINE Musicの再生やLINEメッセージの送受信など、LINEとの連携 |
Alexa | Amazon Echo | Amazonでのショッピングやサービスの利用 |
活用例を参考に、スマートスピーカーを選ぶとよいでしょう。
●製品画像の異常検知(異常検知)
東芝は2020年12月14日、開発している異常検知AIの検出性能が世界トップレベルになったことを公表しました。
このAIは、正常の製品画像のみをもとに学ぶことが特徴です。製造現場では異常な製品が出にくいため、画像の取得も困難です。独自のAIにより、撮影した部位や製品の種類により外観が異なる場合でも異常の検知を可能としました。従来技術と比較して、異常を高い確率で検知できます。
- 世界共通の手書き数字画像の公開データ:79.1%(従来技術:69.5%)
- 東芝社内の半導体製造工場で収集した検査画像:91.6%(従来技術:50.5%)
今後は半導体製造工場の画像検査工程を自動化するなど、製造現場の生産性向上に寄与することが期待されています。
●株価予測(分析・予測)
AIは分析や予測の機能を活かし、株価の予測にも使われています。大和証券が2017年5月に提供開始したサービスは、1カ月後に株価が上昇する可能性が高い銘柄を個人投資家向けに示すものです。決算情報をもとに、機械学習を用いた株価予測モデルを使うことで実現しています。2017年5月に紹介した20銘柄のうち、16銘柄がTOPIXでの運用成績を上回り、平均騰落率もTOPIX比で5.42%プラスとなりました。
またマネックス証券では、1カ月後の株価が上がるか下がるか、その程度が大幅なのかどうかも含めて銘柄ごとに予測するサービスを提供しています。
●チャットボット(単純作業)
北九州市では2021年7月から、「コロナ・ワクチンお問い合わせチャットボット」を導入しています。市民が入力した質問内容をAIが解析し、関連する項目を示します。選択すると回答が表示される仕組みです。24時間365日、いつでも利用可能なことも強みです。
導入から11カ月間で、42,000件の問い合わせに対応しました。月当たりの開庁日数が20日と仮定すると、1営業日当たり190件の対応を自動化しています。職員の負担軽減とサービスの向上を両立しました。
【AI CROSSは仕事に役立つAI活用サービスを提供する】
AI CROSSでは仕事に役立つ、さまざまなAI活用サービスを提供しています。
サービス名 | サービス内容 |
ディープメッセージング | レコメンド最適配信、顧客離脱予測、LTV予測 |
QAロボット | AI自動応答、顧客声分析 |
データ活用 | データ活用、外部データ連携 |
HR AI | パフォーマンス分析、離職予測AI |
業務効率化はもちろん、マーケティングや人事、顧客対応など、さまざまな場面で企業活動を支えます。貴社が発展するためにも、ぜひ活用をご検討ください。
【AIができることは多彩!幅広い仕事で特長を活かせる】
AIは多くの業務で活かせるとともに、より良い業務の遂行にも役立ちます。貴社の業務内容とAIの特長を照らし合わせることで、AIを活かせる業務がきっと見つかることでしょう。適切に活用することで、貴社の業績アップや顧客満足度向上につなげることも可能です。まずはAIを活かせる業務はなにか、ピックアップするところからはじめてみてはいかがでしょうか。