近年よく耳にする「ECマーケティング」。
実際に消費者としても運営としてもECサイトを利用している人数は年々増加しています。
ではどうすればECサイトの売り上げは向上するのでしょうか?
今回はECマーケティングの側面からECサイトの売上向上に必要な要素を紐解き、これらに深く関わるレコメンドエンジンについて解説します。
ECマーケティングのポイント3選
ECマーケティングの売上は、(アクセス数)×(購入率)×(客単価)の三つの要素で表されます。そこでそれぞれの要素を改善していくためのポイントを紹介していきます。
●集客(アクセス数)
当たり前ですが、ECマーケティングにおいて訪問者数が少ないと売上は思うように上がりません。ここでは即効性のあるものから中長期的に取り組むべきものまで基本的な集客施策を紹介します。
・広告
ECサイトの集客は以下の3種類の広告を優先的に取り組みましょう。
- Googleショッピング広告(商品画像や価格などの情報があわせて表示される広告)
- リスティング広告(検索語句に関連したテキスト広告)
- SNS広告(InstagramやTwitterなどのSNSを用いた広告)
自社のサービス/商品の特徴に合わせてこれらの広告を活用することでアクセス数、購入率の向上が見込めます。
・コンテンツマーケティング
具体的には以下のコンテンツ配信が一般的です。
- ブログ
- コラム
- SNS投稿
ターゲット顧客の育成が主目的になるため、顧客の比較検討プロセスの各段階で発信し、問い合わせや売上の増加を目指していくことが重要になります。
・アクセス解析
アクセス解析はユーザーの情報を集め、分析することを指します。具体的な手順としては、
- ECサイトの目的に沿って解析したい指標をリストアップ
- Google Analyticsなどで解析できる環境を整備
- 実際に情報を収集/分析する
といったものになります。アクセス解析を行うことで、ECマーケティングの三要素のうちのあまり伸びていない指標を観測し、改善に繋げられます。
例として、Google Analyticsで解析できる課題は以下の通りです。
抱えている課題 | 課題に合わせて観測できる指標 |
自社サイトの訪問者数がわからない | セッション数、PV数など |
どのような検索導線で自社サイトに訪れているか知りたい | トラフィック、Organic searchなど |
どこでユーザーが興味をなくしているのか知りたい | 離脱率、平均ページ閲覧時間など |
広告とSEOのどちらが売り上げにつながっているのか知りたい | チャネルごとのセッション数、直帰率など |
●CVR向上(購入率)
新規会員数や購入数をCVに定め、向上していくことでECマーケティングにおける三要素すべての改善が期待できます。
・離脱ポイントの特定/改善
CVR向上の第一歩は、「なぜユーザーが購入しなかったのか」を明らかにすることです。サイトを訪問したユーザーが商品購入に至るまでには、
- その商品を認知する
- ユーザーが商品に興味・関心を抱く
- その商品に類似したものを比較・検討する
という三つの段階を経ると言われています。特にECサイトでは離脱したユーザーが「サイトのどこまでを閲覧し、どこで興味をなくしてしまったのか」を特定することで、その場所を改善していくことが有効な手法になります。
・リマーケティング広告
リマーケティング広告は、過去にサイトを来訪したことのあるユーザーに対して再度広告を表示させる広告手法を指します。広告を再表示することで、ユーザーに商品やサービスなどを再度認知してもらうきっかけを作ることができます。また、商品の比較検討をしているユーザーへのアプローチをピンポイントに行えるため、CVRの向上に効果的な手法といえるでしょう。
●リピート獲得(客単価)
マーケティングにおいて、新規顧客獲得にかかるコストはリピーター獲得/維持にかかるコストの5倍であるという「1:5の法則」というものが存在します。すなわちリピーターは企業に対するコストパフォーマンスが高く重要なものといえるでしょう。ここではリピーター獲得に繋がる具体的な手法を紹介します。
・メルマガ
メルマガはもっとも一般的なリピート獲得施策といえるでしょう。ユーザーの検討段階に合わせて配信内容に変化をつけるステップメールや、開封率によって顧客の興味関心を分析したりと、活用方法はさまざまです。近頃は顧客1人1人の属性データ、購買履歴や行動履歴などのデータを収集し分析するプライベートDMPを使用し、メルマガの中にクーポンやパーソナライズされたコンテンツを盛り込む企業が増えています。
・会員ポイント
会員登録によるポイント付与で、新規顧客の獲得を促す施策もリピート獲得につながります。
ポイントを付与すると、貯まったポイントを使用するために再び利用してもらいやすく、来店を促進できます。「○○円以上のお買い上げで500ポイントプレゼント!」など、顧客の平均単価をあげる施策にも活用できるでしょう。
最近ではLINEミニアプリによる会員証機能の活用も進んでいます。LINEミニアプリはLINEアプリと紐づいているため、新たなアプリのインストールが不要で、登録もQRコードを読み取るだけでできることが特長です。
CVR向上とリピート獲得に貢献するレコメンドエンジン!活用事例とともに紹介
レコメンドエンジンとはユーザーの趣向を抽出するためのシステムです。ユーザーの閲覧データや購買データをもとに、カスタマイズされたおすすめ商品を自動で表示できます。「CVR向上」と「リピート獲得」で特に活躍するレコメンドエンジンについて解説します。
●CVR向上×レコメンドエンジン
レコメンドエンジンを導入すると、Webサイトの回遊率や滞在時間の増加が期待できます。結果として、CVRが向上するというメリットをもたらします。
・商品閲覧履歴からのクロスセル提案
あるBtoB通販サイトでは「購買単価を今よりも上げたい」という課題がありました。そこで、レコメンドエンジンを用いて商品詳細ページの下に「この商品を買った人は、こんな商品を閲覧しています」というレコメンドを設置したところ、ユーザーのクロスセルを誘発し、平均購買単価が10〜20%向上しました。
詳細は以下のページに記載されているのでご興味のある方は参考にしてください。
https://www.brainpad.co.jp/rtoaster/best/recommended_cross_sell/
・ユーザーの嗜好が向いている特集ページを表示することで潜在的な興味関心を引き出す
ECサイトの特集ページでは、季節やターゲット層によって狭く深く訴求できるコンテンツが作成可能です。しかし、さまざまな切り口で商品を提案できるからこそ、ページが増えてしまいリーチしたい層にページが届かないこともあるでしょう。
とあるECサイトでは、レコメンドエンジンを活用し、サイトの閲覧履歴から「この商品を見ている人はこの特集ページを見ています」というおすすめを提示することで、ページの閲覧を促進するキャンペーンを行いました。結果として、特集ページの閲覧数が向上し、コンテンツを切り出しできるため、過去の特集ページの有効活用にもつながりました。
詳しい施策内容や、導入背景は以下のページをご覧ください。
https://www.brainpad.co.jp/rtoaster/case/detail10/
●リピート獲得×レコメンドエンジン
レコメンドエンジンを用いることで、ユーザーの趣向に合わせたコンテンツが表示されるため、リピートユーザーの獲得が見込めます。レコメンドエンジンによって潜在的なニーズをユーザーから引き出せた場合は、ECサイトでの購買体験が実店舗での接客営業に相当し、優良顧客になりやすくなります。
・ユーザーの”お得意様度”に応じて商品表示を切り替える
レコメンドエンジンを活用することでユーザーがどれだけサイトを訪れているかによって、おすすめする商品を自動で切り替えられます。「洋服の青山」と「THE SUIT COMPANY」では、カテゴリーごとのレコメンドではなく、ユーザーの過去の行動パターンに基づくレコメンドで、クリック率を向上、月平均注文件数の7〜8%向上を実現しました。詳細は以下のページに記載されているのでご興味のある方は参考にしてください。
https://www.silveregg.co.jp/archives/casestudy/aoyama
・テレビCMとレコメンドエンジンの両輪で効果的な広告施策を実現
法人向けに梱包材を販売しているダンボールワンではテレビCMで得られたECサイトへの集客効果に対し、期待していたほどの売上が得られませんでした。そこで次なるマーケティング施策として、レコメンドエンジンの活用によるUX向上に取り組みました。具体的にはニーズが定まっていないユーザーに向けてカートに入れた商品に関連するものを見せたり、目的買いが多い小規模なBtoC事業者のユーザーには、購入する可能性の高い商品を追加でおすすめしたりすることで、再訪ユーザーの商品購入点数を130%増加させるなどの効果を得られました。詳細は以下のページに記載されているので、ぜひ参考にしてください。
https://www.silveregg.co.jp/archives/casestudy/notosiki-DANBALL-ONE
効果的なECマーケティング施策で売上向上へ
確かに、ECでは顧客に直接商品をアピールしたり、要望を聞いたりといった、対面販売では当たり前のコミュニケーションができません。
しかし、テクノロジーを駆使した機能やECだからこそ収集できるデータをうまく使うことで、精度の高いマーケティングができれば、ロイヤル顧客を増やせます。ECマーケティングに力を注いで、売上アップを実現しましょう。