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フードロス(食品ロス)の原因は?対策方法についても徹底解説!

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フードロス(食品ロス)の原因は?対策方法についても徹底解説!

飽食の時代と呼ばれる現代で、世界的な課題としてニュースや新聞でも目にすることが増えてきたフードロス(食品ロス)問題。飲食物を取り扱う企業では、フードロスの削減に取り組むよう企業努力が求められています。

本記事では、フードロスの原因と対策について、業種別に解説していきます。


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フードロス(食品ロス)の現状と原因

なぜフードロスが起こるのか。フードロス問題にまつわる現状と、その原因について解説します。

参考:【農林水産省】食品ロス削減関係参考資料

フードロス(食品ロス)の現状

フードロス(食品ロス)とは、食料の生産・流通・消費の過程で廃棄される食品のことです。主には、本来まだ食べられる状態であるにも関わらず、廃棄される食品を指します。

フードロスが増えることで、廃棄食品を処分するにあたっての環境負荷の増加、資源の無駄遣い、経済的損失の発生など、多くの問題を引き起こしています。

現在このフードロスが世界中で大きな問題となっています。

日本国内だけでも、食品廃棄(食べられるかどうかに関わらず、廃棄されるすべての食品)は年間2,402万トンもの量が出ており、そのうちフードロスは523万トンにものぼります。

523万トンのフードロスの内訳は、事業系が279万トン(53%)、家庭系が244万トン(47%)。事業者と家庭の両方から、約半分ずつ排出されているという状況です。


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フードロス(食品ロス)の原因

事業系フードロスの発生原因は、業種によって多少異なるものの、売れ残りや食べ残しがほとんどです。

製造・卸・小売事業者でフードロスが発生する場合は、食品の製造・流通・調理の過程で発生する規格外品、返品、売れ残りなどが考えられます。店頭には出せない形・色の悪い野菜の廃棄、消費者の手に渡らず売れ残った商品や、賞味期限が切れた商品の廃棄が多いのです。

外食事業者でのフードロスは、料理の作りすぎや、客に提供した料理の食べ残しなどが原因となっています。

フードロス(食品ロス)の発生原因【食品種類別】

フードロスの発生には、食品の種類別にも原因が潜んでいます。

参考:【一般社団法人日本有機資源協会】食品の種類ごとの食品廃棄物等の発生要因

惣菜・弁当

惣菜や弁当におけるフードロスは、多くは販売予測量の見誤りと消費期限の管理体制の問題によって起こります。

惣菜や弁当は、受注から調理完成までに時間がかかります。そのため、事前に販売量を予測したうえで、売り切れが起こらないよう多めに製造しておくのが一般的です。

しかし、予測していた販売量と実際の販売量には、ズレが発生するケースが少なくありません。このズレによって商品が売れ残り、廃棄となるのです。

また、惣菜や弁当には、賞味期限または消費期限を年月日で記載する義務があります。しかし、現在の日本での食品衛生法では時間までを表示する義務はなく、あくまで推奨に留まります。

そのため、賞味期限を日付単位で設定・管理すると、朝製造した商品も夕方製造した商品も同じ期限で扱うことになります。すると、本来であればまだ期限内であった商品も、期限切れの商品と一緒くたに廃棄されることになり、余計なロスが増える原因となります。

日配品

スーパーなどの小売店で販売されることが多い日配品(毎日店舗に配達される、日持ちのしない加工食品)も、メーカーと小売店でそれぞれロスが発生しています。

日配品は賞味期限が短く倉庫での長期保管ができないことから、中間流通におけるこまかな受注調整が困難です。そのためメーカー側では、小売店からの注文量をある程度予測したうえで生産をおこない、実際の注文数に応じて出荷しています。

この予測と実際の注文数のズレが発生することで、余った商品が廃棄となります。

一方で小売店でも、事前に立てた売上予測に基づいて、必要な分をメーカーに発注しています。しかし、天候の変化や近隣店での販売状況の影響を受け、実際の販売数が予測と異なることがあります。そこで発生したズレによって、売れ残った商品は廃棄処分され、フードロスとなるのです。

缶詰・レトルト食品

缶詰やレトルト食品は、生鮮食品や日配品に比べて日持ちする商品ではあるものの、いくつかの要因によってロスが発生します。

例えば、季節商品や限定商品は、売れ行きに変動が起こることも多々あり、売れ残りが廃棄になります。また、商品がリニューアルされると旧版商品との入れ替えが発生し、旧版商品は廃棄、あるいはデッドストックになるケースがあります。

さらには、流通上で起こった問題によって、商品廃棄が発生することもあります。

流通の間に、パッケージに凹みや汚れ、日付の逆転(納入済み商品より以前の日付の商品が後から納入されること)などが発生すると、小売店側で受け取り拒否となることがあるのです。すると、中身は問題なく食べられる商品であるにも関わらず、商品としては通常ルートでの販売が難しくなるため、やはり廃棄となります。

フードロス(食品ロス)の発生原因【業種別】

次は、フードロスの発生原因を業種別にみていきましょう。

参考:【一般社団法人日本有機資源協会】業態ごとの食品廃棄物等の発生要因

製造業

食品製造業では、製造工程と商品販売工程のそれぞれでフードロスが発生します。

製造工程

真っ先に考えられるのが、規格外商品の廃棄です。製造工程が終了したものの、商品として出荷するまでの検品などの作業中に、販売するには適していないと判断された商品が、規格外商品として廃棄されます。

また、他業種と同様に、欠品対策のための余剰製造分がロスになることも珍しくありません。

製造業特有の原因としては、成形時に原材料から取り除かれた可食部分の廃棄があります。例えば、サンドイッチを作る際に切り落としたパンの耳は不要なので捨てる、といった具合です。あるいは、機械設備や作業工程などのトラブルによって、商品として製造できなかった原材料の廃棄も起こります。

商品販売工程

商品販売工程では、欠品防止のため多めに製造した商品の、余剰分が廃棄となることが多いです。商品の欠品は、販売機会の損失や、顧客(小売店、消費者)満足度低下を招くこととなります。

また、欠品が続くと、卸・小売店が不満に思い、製造業者変更をしてしまうこともあります。製造業者としては取引先を失うという大きな損失を被るため、企業としては欠品はもっとも避けたい事態です。

これらの理由から製造業では、販売予定以上の量を生産する傾向にあるため、ロスが発生しやすいです。

加えて、製造業に限らずあらゆる業種で判断が難しいとされるのが、新商品です。

定番商品と違い事前の売れ行き予測が難しい新商品は、事前の販売目標と実際の販売量に大幅なズレが生じることも珍しくありません。その場合、生産しすぎた商品は売れ残ったまま賞味期限が切れ、廃棄となります。

製造業でも同様に、売れ残った新商品がロスにつながることも多々あります。

卸売業

卸売業で発生しやすいフードロスの原因に、規格外商品の発生が挙げられます。

規格外商品は他業種でも発生しますが、卸売特有の事情として、輸入商品を取り扱うという点があります。

輸入商品は、仕入れから納品までに至る過程で、国内での販売ができないとみなされる商品が発生するケースがあります。検疫や成分分析で輸入禁止が発覚する、国内販売するには難しい検品不合格品が出る、輸送過程で破損品が出るといった独自の課題があるのです。

そのため、国内に輸入できなかった商品や、輸入に成功したが販売できない商品は、廃棄処分となります。

また、卸売業ではあらかじめ商品を大量購入し、小売店ごとに小分けして納品するのが一般的なことから、余った端数の商品が在庫として残ることがあります。卸売店として店頭販売もおこなっている企業であれば販売の機会があるものの、そうでない場合は、廃棄せざるをえないでしょう。

小売業

小売業におけるフードロスの発生原因は、概ね【食品種類別】で紹介した項目と一致します。

予測していた販売量と実際の販売量のズレによる売れ残り、入れ替え商品の店頭からの引き上げ、新商品や季節商品の販売予測の見誤りなどが原因となることが多いです。

また、特に深夜営業スーパーやコンビニなどの夜間帯も営業している小売店に多い課題が、廃棄前提で商品を取り揃える必要があることです。

遅い時間にしか来店できない少数の顧客にも、他時間帯の来店顧客と同じ品揃えを提供するためには、一定の廃棄を覚悟し、売上目標よりも多くの商品を仕入れる必要があります。

その結果として、仕入れ量と販売量に差が生じて売れ残りが起こり、フードロスにつながっています。

外食産業

外食産業は、もっともフードロスが発生しやすい業種のひとつです。

真っ先に思い浮かぶのは、客の食べ残しによる廃棄でしょう。

客の食べ残しの発生率は、店のメニューや提供形態によって異なります。実は、ファストフード店や低単価メニューを揃えている店は比較的食べ残しが少なく、レストランやコース料理を提供する店のほうが食べ残しが多いとされています。

前者では、単品や一皿の量が少ないメニューを組み合わせ、顧客が自分の好みや食べられる量に合わせて注文ができるため、食べ残しが少ないです。後者の場合はそれができないため、食べ残しによるフードロスが発生しがちという理屈です。

客の食べ残しのほかにも、店側の製造・調理過程における仕込み量の見誤りによっても、フードロスが発生します。

飲食店でも、製造・卸・小売業と同様に、事前にある程度の売上予測を立てたうえで料理の仕込みをおこないます。その場合、曜日や天気、時間帯、過去の売上実績などを踏まえて予測します。しかし、読みを外し、客数や販売量が予想を下回ることは多々あり、保存が利かない仕込み分は廃棄となります。

フードロス(食品ロス)の対策方法【業種別】

最後に、どうすればフードロスを減らせるのか、業種ごとの対策方法を解説します。

製造業

製造業では、いかにして規格外商品を減らすか、いかに品質を保持するかといった課題に取り組むのが重要です。

そのためには、最新型の製造機器を導入して製造工程のミスを減らす、新しい技術を取り入れて保存容器や保存方法を工夫するなどの方法が考えられます。品質を保持できる期間を延長し賞味期限を伸ばすだけでも、フードロスは削減できるでしょう。

また、フードロスを減らすためには、販売量の予測を正確におこない過剰生産を抑制することも大切です。最新のデータやIT技術を取り入れて、販売予測の精度を高めてください。

製造業におけるフードロス削減については、以下の記事も参考になりますのでぜひご覧ください。
製造業における適正在庫とは?計算方法や活用方法について解説!

卸・小売業

卸・小売業では、商品を可能な限り顧客の手に渡るようにして、廃棄を減らす工夫をしてください。

一般的に考えられる手法は、賞味期限が近い商品の割引提供です。賞味期限切れで廃棄が出ると、フードロスが増えるだけでなく企業としても損失になります。価格を割り引いてでも販売につながるほうがメリットが大きいはずです。

ほかにも、外箱の汚れ・破損が出た商品や旧パッケージの商品といった規格外商品も、「訳あり商品」や「アウトレット」と銘打って、割引価格で提供するのがおすすめです。セット商品の場合は、バラ売りにしてしまうのも手です。

外食業

顧客側での食べ残しについては、顧客側に食べ残しを遠慮してもらうよう呼びかけるほかありません。店舗としてフードロス削減運動を実施していることをアピールし、注文した料理を残さない、食べ切れる量だけを注文してもらうといった注意喚起をおこないましょう。

同時に店側でも、提供する料理の量やサイズを調整して食べきりやすいようにする、食べ切れなかった分を持ち帰れるようにエコ容器を提供するなどの工夫が必要です。

また、厨房でのロスを減らすために、仕込みの量や原材料の量が過剰にならないようにするのも重要です。日々の来店客数や、人気のメニューなどをしっかりと把握し、ロスが出ないよう予測を立てておきましょう。

業種共通

フードロスの原因・対策は、全業種で共通しているものもいくつかあります。業種に関わらず取れる対策もあり、各事業者や業界全体が問題意識を持って取り組むことが求められます。

商習慣の見直し

競合との競争が激化している現代社会では、顧客の過剰な奪い合いが起きています。他社との差別化をはかるためには、顧客の囲い込みが必要です。しかし、顧客満足度を重視するあまり、「やりすぎ」な商慣習が浸透しているのは否めないでしょう。

商品は常に新鮮でなければいけない。内容と量が充実していなければいけない。見た目も美しくなければいけない。このような考え方が根底にあるために、まだ食べられるものであっても賞味期限切れなので廃棄する、少しでもパッケージが汚れていたら販売できない、といった状況になっているのです。そのため、どの業界でも過剰な仕入れと廃棄によるフードロスが起きやすい状態になっています。

この状態を是正しフードロスを削減するためには、各業界で「やりすぎ」の商慣習を見直す必要があります。

期限切れの廃棄を減らすために、そもそもの販売期限の設定を見直す。廃棄前提での過剰な仕入れをやめる。このような取り組みを各企業が少しずつ始めていくことで、業界全体の商慣習の見直しにもつながります。

また、フードロス防止のための取り組みをおこなっていることを、顧客側に理解してもらうことも重要です。

そのためには、顧客自身もフードロス問題の一員であると理解してもらう必要があります。フードロスの取り組みをなぜおこなっているのか、なんのためにルール改定をおこなうのかといったメッセージを顧客にきちんと届けていきましょう。

そして、顧客に対しても、食品の最適な保存方法や使い切りレシピなどを積極的に提案し、家庭内でのフードロスを減らすよう呼びかけていきましょう。

需要予測精度の向上

商慣習の見直しは長期的な取り組みであり、即効性が見込める対策ではないのが現実です。

一方で、各企業単位で比較的素早く効果が見込める対策があります。それが、需要予測精度の向上です。

需要予測とは、自社の商品・サービスにどの程度需要があるかを、事前に予測することをいいます。来店客数の予測や商品の売れ行き予測も、需要予測に含まれます。

フードロスの原因として、どの業界にも共通して起きがちなのが、需要予測の見誤りです。「今日はこれくらい来客があるだろう」「この商品は人気だからこれくらい発注すればいいだろう」といった予測が外れることで、ロスが生まれるのです。

逆をいえば、需要予測の精度を向上させることで、需要の見誤りが減りフードロスも削減できます。そのため、フードロスがどうしても減らない、さまざまな予測が外れて過剰在庫や廃棄が発生するといった際には、まずは需要予測の手法を見直すのがおすすめです。

需要予測については、以下の記事で詳細に解説しています。併せてご覧ください。
【初めてでもわかる】需要予測とは?手法から活用事例まで解説

まとめ

現在、フードロスは国内だけでなく世界的な問題となっています。SDGsでもフードロスは重要課題として取り上げられており、2030年までにフードロスを半分に削減するという目標が掲げられています。

また、フードロスは商品廃棄でもあるため、環境への負荷だけでなく企業への負荷も大きいです。本来売れるはずであった商品や料理が廃棄されるのは、企業資産的なマイナスに加えて顧客からの評価のマイナスにもつながるため、環境問題と企業の問題との両面で考えて取り組んでいく必要があります。

フードロスの原因には、業種ごとの特殊事情や商慣習による事情も存在するものの、多くの場合は売れ残り・食べ残しが原因です。売れ残り・食べ残しを出さない工夫をするだけでもフードロス削減の効果が見込めるため、早急に取り組むよう努めましょう。

加えて、正確な需要予測を実施することでも、フードロスは削減できます。

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