レコメンドエンジンの仕組みや、AI(機械学習)のアルゴリズムを理解しておくと、より効果を最大化できます。
本記事では、レコメンドエンジンの7種類のアルゴリズムを紹介しています。
記事の後半では自社にあったアルゴリズムの作り方まで解説しているのでぜひ最後まで目を通してください。
レコメンドエンジンの主な7種類あるAI(機械学習)のアルゴリズムの仕組み
レコメンドエンジンには、主に7種類のアルゴリズムがあります。
- ルールベースレコメンド
- コンテンツベースフィルタリング
- パーソナライズドレコメンド
- 協調フィルタリング
- 画像・音声解析レコメンド
- グラフAI技術
- ハイブリッドフィルタリング
レコメンドする仕組みを理解することで、より自社にあったツールを選ぶことができ、効果を最大化できます。
さっそく7種類のアルゴリズムの詳細を確認していきましょう。
ルールベースレコメンド
従来よく使われているレコメンド方法が「ルールベース」です。ルールベースでは、運営者が決まったルールを設定し、それに従ってレコメンドを行います。
- ひなまつりシーズンの際は、ひなあられをレコメンドする
- クッキーを購入しようとしている人にはコーヒーをレコメンドする
上記のように、顧客の行動や嗜好を予想して最適だと思われるルールを制定します。
特定の商品を推したい場合には有効な方法ですが、実際にサイトを閲覧している顧客データを元にしているわけではないため、顧客にとってベストな提案となっているのかは定かではないことに注意が必要です。
コンテンツベースフィルタリング
コンテンツベースフィルタリングは、コンテンツや商品のジャンルや属性に合わせて類似度の高いものをおすすめするレコメンド方法です。
- 白いスカートを見ている人に、別の白いスカートをおすすめする
顧客が興味を示しているものに近いアイテムを推薦できる精度の高さが魅力です。
ただ以下の3点に注意が必要です。
- 顧客にとって予想外のアイテムには出会いにくい
- 顧客の行動や購入履歴などが関係しない
- あらかじめ属性の振り分けをする必要がある
パーソナライズドレコメンド
行動や購入履歴を元にはしていないものの、顧客の趣味嗜好に近いと思われるアイテムをおすすめするのが「パーソナライズレコメンド」です。
- ブランドAのアイテムのバッグを見ている人に、同じブランドの新作バッグをおすすめする
- ホワイトニング化粧水を見ている人に、美白ケアのアイテムをおすすめする
パーソナライズドレコメンドでは、ペルソナの趣味嗜好を想定して設定を行うだけでなく、顧客自身に簡単なアンケートを行いレコメンドするケースもあります。
協調フィルタリング
ここまでは、顧客の行動履歴や購入履歴を参考にせず、一定のルールに従ったり、コンテンツやペルソナの属性にあったものをレコメンドする方法を紹介しました。
一方、顧客の行動履歴や購入履歴を活用したアルゴリズムが「協調フィルタリング」です。協調フィルタリングには「アイテムベース」と「ユーザーベース」の2種類が存在します。
アイテムベース
アイテムベースの協調フィルタリングは、商品と同時に購入される確率が高いアイテムを提案します。
- スマホケースを購入した際に、保護ガラスの購入も提案する
参照:Amazon
ユーザーベース
ユーザーベースの協調フィルタリングは、同じ商品を購入したユーザーの行動履歴や購入履歴を元におすすめのアイテムを提案します。
- 「ブランドAのアイシャドウを購入した人は、ブランドBのリップも購入しています」など、購入者自身は検討していないブランドやアイテムだが、ブランドAのアイシャドウを購入した人の中で購入率が高いアイテムをおすすめする
協調フィルタリングは、実際の行動履歴や購入履歴を参考にしているため、CVRが高いことがメリットです。
画像・音声解析レコメンド
これまではサイトに登録している商品・アイテム・コンテンツの属性を元にレコメンドを行っていましたが、近年画像や音声を解析してレコメンドすることも可能になっています。
- ユーザーが好んで聞いている曲に似た信号を持つ別の曲をおすすめする
グラフAI技術
ディープラーニングをグラフデータに落とし込み、隠れている関係性を見つけ出す仕組みとして注目されているのが「グラフAI技術」です。
利用者や、利用者が購入するアイテムは「ノード(実態)」といい、ノードとの関係を「エッジ」とよびます。ノード自体の特徴だけでなく、実態をより立体的に捉え、新たな特徴を把握する方法です。
Uber EatsやPinterestでも導入されている方法で、大規模なサイトや、商品の数が増えていくサイトには有効なアルゴリズムだといえるでしょう。
https://eng.uber.com/meta-graph/
https://eng.uber.com/uber-eats-graph-learning/
ハイブリッドフィルタリング
これまで紹介した複数のアルゴリズムを組み合わせるのが「ハイブリッドフィルタリング」と呼ばれる方法です。
ハイブリッドフィルタリングでは「白いスカートを探している人には、関連商品として別の白いスカートを紹介したい」といったコンテンツベースのレコメンドと、「20代に人気のブランドアイテムを紹介」といった協調フィルタリングを同時に行うことも可能です。
「アイテムやコンテンツのジャンル」「ユーザーの属性」など、様々な切り口からレコメンドできる場合はハイブリッドフィルタリングも検討するとよいでしょう。
レコメンドエンジンの種類と作り方
レコメンドエンジンの作り方は、ASP型と、オープンソース型の主に2種類あります。それぞれの特徴や、メリット、デメリットについて紹介します。
ASP型
ASPとは、ネットワーク上でWebアプリケーションサービスを提供している事業者「アプリケーションサービスプロバイダ(Application Service Provider)」のことを指します。
ASP型は、導入してすぐに使い始められる手軽さが最大のメリットです。ゼロから開発をするよりも断然短期間で導入でき、コスパがよいのも嬉しいポイントです。
ただし、独自の機能をつけたりカスタマイズが難しいことには理解が必要です。希望する機能がある場合は、備わっているツールを探すか、開発を行うなどして対応しましょう。
オープンソース型
オープンソース型とは、一般公開されたソースコードを元にレコメンドエンジンの開発を行う方法です。
オープンソース型では自由に開発できることが最大のメリットです。独自の機能をつけたい場合はオープンソース型を検討するのもよいでしょう。
しかし、開発可能なエンジニアが必須なこと、オープンソース型の多くは海外製であることに注意が必要です。
オープンソース型のレコメンドエンジンには、LensKitやCrabなどがあります。
自社にあったレコメンドエンジンのアルゴリズムの選び方
自社にあったレコメンドエンジンを選ぶためのポイントは、以下の2つです。
- 自社にあわせたアルゴリズムの検討
- ABテストやレポートの分析
自社にあわせたアルゴリズムの検討
レコメンドエンジンのアルゴリズムを選ぶときには、仕組みを理解したうえでどのようなアルゴリズムが自社に適しているのか検討することが重要です。
- 顧客の行動データや顧客データが少ないから、ルールベースレコメンド
- コンテンツベースフィルタリングを活用したい商品数が多く、顧客の利用頻度も高いためパーソナライズドレコメンドで顧客にあった商品を提案したい
上記のように、自社にあったアルゴリズムを検討しましょう。
アルゴリズムはひとつだけを選ぶのではなく、必要に応じて複数組み合わせることも可能です。
高度な技術を使うものや、複数のアルゴリズムを組み合わせることによってコストが上がります。ツールの導入費用と、精度が上がったときの効果を検討して、自社にあったツールを選びましょう。
ABテストやレポートの分析
レコメンドエンジンは導入して終わりではなく、ABテストを行ったり、レポートを分析していくことで、より効果の高いレコメンドが可能になります。
レコメンドエンジンにABテストを行える機能があるのか、またレポートにはどのような内容が出力されるのか、必要な情報は見やすく抽出できるのかなど、運用のしやすさも検討することで、長期的に効果を感じやすくなるでしょう。
レコメンドエンジンのアルゴリズム・仕組みを理解して自社にあったシステムを選ぼう
レコメンドエンジンのアルゴリズムは、あらかじめ設定した法則に従うルールベースのものから、データを活用する協調フィルタリングや、AI技術を使ったものまで様々です。
本記事を参考にアルゴリズムや仕組みを理解して、自社にあったシステムを検討してみてはいかがでしょうか。
弊社ではレコメンドAIサービスである「Deep Messaging」を提供しております。
売り上げ最大化と業務効率化に向けた取り組みとして、是非ご検討ください。