ネット販売の成否が企業の業績を左右する現在、マーケティング市場における有効な技術は重宝されています。
本記事ではECをはじめとしたネットにおけるBtoCビジネスで活用し、注目されているリコメンドエンジンについて概要とそのメリットデメリットを解説します。
【レコメンドエンジンとは?】
●レコメンドエンジンについて
レコメンドの意味は「推奨する」や「お勧めする」です。
レコメンドエンジンとはWEBマーケティング活動において、顧客に商品やサービスのおすすめを一定のルールに基づいて自動提示するIT技術のことを指します。
【レコメンドエンジンの仕組みと機能の全体像 フィルタリングとレコメンド】
●フィルタリングとは?
前掲のとおり、レコメンドエンジンは顧客のニーズを想定して自動で「おすすめ」を提示する機能です。その提示は一定のルール(アルゴリズムと呼ぶ)に基づいて提示されます。
アルゴリズムを組み込んで顧客への自動提案を行う機能をフィルタリングと呼びます。
それらは大別して4つあるので1つずつ見ていきましょう。
●フィルタリングの種類
・ルールベース ※企業側の販売方針やシーズンを反映したアナログな「おすすめ」
(例)
- クリスマスやバレンタインデーなど季節別に実施するセール
- 社運をかけた期待の新商品の販売開始PR
販売側の思惑や意向を踏まえてWEBサイト上でユーザーにアピールします。
「何を、いつ、どう売りたいのか」を決めるのは人間であり、その意向にもとづいたおすすめを行います。古くからあるアナログなPR手法です。
ルールベースにくわえて以下3つのフィルタリング技術が加わって有益なレコメンドエンジンになります。
それでは残り3つ、ルールベース以外の各フィルタリングを見ていきましょう。
・協調フィルタリング
WEBサイトを訪れる多数の顧客の行動履歴や購入済み履歴を活用しておすすめするアルゴリズムを協調フィルタリングと言います。
-協調フィルタリングの手法「レコメンド」について
協調フィルタリングにはレコメンドと呼ばれる実行手法が2つ存在します。
- アイテムベースレコメンド
一般的にその商品が購入される時に同時購入される関連性が高いものをWEBサイト上でおすすめすることを指します。
例:ノートPCを「カート(買い物かご)」に入れたら、テレワークで使える拡張ディスプレイが「買い忘れはありませんか?」「おすすめ」として表示された
- ユーザーベースレコメンド
同じ商品を購入した別ユーザーの行動履歴や購買履歴データから「この商品を好む別の人達が興味を持ちやすい商品」をおすすめする手法です。
例:WEBサイト訪問時に「他の方はこのような商品も購入しています」と自分の発想になく、全く思いつかなかったジャンルの商品がおすすめとして表示された
-レコメンドによって変わる協調フィルタリングの特徴
アイテムベースレコメンドによる協調フィルタリングのメリットは、
訪問者本人が手に取った商品と関連深い商品をおすすめするので、的確な内容でおすすめできます。デメリットとしては、斬新な発想のヒントを与える効果は得られにくい点が挙げられます。
ユーザーベースレコメンドによる協調フィルタリングのメリットは、
類似ユーザーの行動履歴などから購買者本人の発想に無い「おすすめ」を提示できる効果があります。
一方で、新しく始めたWEBサイトでは訪問者の行動履歴データ数が少ない場合に「おすすめ」を導き出せず提示できないという弱点があります。
・コンテンツベースフィルタリング
コンテンツベースフィルタリングは訪問者の履歴データに依存せず、商品アイテムの属性から類似度の高い商品をおすすめするフィルタリングです。
精度高くおすすめを提示できる一方で、提案内容は訪問ユーザーの手に取る商品に近いものが多く、目新しさを感じないという課題があります。
また、事前に企業側によって商品を属性でグループ分けする事前作業が必要となるところも考慮すべきポイントです。
・ハイブリッドフィルタリング
前掲の協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングの長所短所を考慮して、それぞれの良いところを組み合わせることで能力を高めるのがハイブリッドフィルタリングです。
代表的なところではNetflix社のリコメンドエンジンなどがハイブリッドフィルタリングを採用しています。これからより精度を高めることで世に広まっていく手法として期待されています。
【レコメンドエンジンのメリット/デメリット】
●レコメンドエンジンのメリット
・LTV向上のきっかけとなる
レコメンドエンジンがユーザーに対して魅力的な「おすすめ」の提案をすることで、顧客は現実の接客と同様にCX(顧客体験)に大きな価値を感じ満足することでしょう。
その結果として自社のファンになり、以下のような効果を産み出します。
- クロスセルやアップセルによる拡大
- 購買頻度の増加
- 継続取引顧客の増加
●レコメンドエンジンのデメリット
・顧客データが少ない場合のレコメンドデータ精度に課題
前掲のとおり協調フィルタリングにおけるレコメンド手法のメリットデメリットについて解説しました。
- 立ち上げ初期でWEBサイトのデータが少ない場合
- 自社にとって、どのフィルタリングが的確なものか明確に結論が出ていない場合
などのケースではレコメンドエンジンの良さをすぐには発揮出来ない恐れがあります。
・自社で取り扱う商材が少ない場合
多彩な品揃えを展開しない業態のWEBサイトでは、提示できるおすすめが画一的で顧客の興味を惹かない、ということが起こります。
上記の場合はそもそもレコメンドエンジンの採用が最適であるか、をゼロベースで良く検討する必要があります。
【レコメンドエンジンの活用場面】
●マーケティング
・メールマガジンの開封率と再来店率の向上
レコメンドエンジンで得た分析結果をWEBアクセス中だけでなく、後日発信するメルマガやSMS送信サービスなどに活用する手法です。
定期的にユーザーベースレコメンドを行ってCXを向上したり、購入履歴から消耗品の定期補充を取りこぼさないようにしてLTVの向上を見込みます。
・動画配信サイトにおけるリコメンドからの動画選択率の増加
動画配信サービスは多数ありますが、多くのサービスが「〇〇をご覧になった方は他の方はこんな作品も観ています」や「動画のジャンルによる人気作品ランキング」をメニュー画面で表示しています。
この「おすすめ」により、動画配信サイトの滞在時間が増加し、サブスクリプション契約の継続率に良い影響を与えるとして活用されています。
●ECサイト
・商品閲覧履歴からのクロスセル提案
ユーザーのWEBサイト閲覧履歴から、関連する商品や他のユーザーから得たデータによる「この商品を手にした人はこんな商品も見ています」のようなおすすめを実施します。
・カート内情報からのレコメンド(買い物中のクロスセル、買い忘れ防止)
同一商品を購入した別ユーザーの行動履歴から関連商品のおすすめとしてクロスセルを見込める手法です。
・来店顧客のお得意様度に応じて商品表示を切り替える
お客様と自社の関係性によっておすすめする内容を選択する手法です。
例えば初訪問のお客様なのか、LTVが向上してお得意様の位置づけなのか、によってWEBサイトの表示を切り替えて興味を惹きやすい情報を提示します。
新規訪問顧客であれば人気ランキングや売れ筋商品のご紹介、
お得意様であれば、「期間限定」や「お得意様限定」といった特別感を与えるご案内を行うなどの手法があります。
・製品数が極めて多いビジネスの商品選択支援ツールとして
ワインの選択やアウトドア製品など、
- 多数の商品があって、どれが自分に最適なのか選べない
- ビギナー向けに詳しく案内してほしい
というようなケースでもレコメンドエンジンは有益です。
店頭対応で1から教える時間はなかなか難しかったり、顧客によっては初対面の店員と話をするのが苦手、という方もいます。レコメンドエンジンはヘビーユーザーへの入口として非常に良いCX(顧客体験)を与えるツールと言えます。
【レコメンドエンジン導入時の注意点】
●レコメンドエンジンの契約形態
・ASPとオープンソースについて
-ASP
ASPとはサーバーを顧客が用意する必要がない、クラウドサーバーを利用したサービスの事です。
- 初期投資が不要
- 技術知識が足りなくてもコンサルティングやサポートを受けることができる
といったメリットがあります。
-オープンソース
オープンソースは自社でサーバーやリコメンドエンジンツールを用意して、自社によってリコメンドエンジンを構築していく手法です。
メリットは
- カスタマイズによって自社の要望を組み込み可能
- 情報漏洩などがおきにくい
といった点があります。
しかし、レコメンドエンジンは海外製の製品がほとんどで、英語を使う必要なども出てきます。現状、日本国内におけるレコメンドエンジン導入市場はまだまだ成長期です。やはり専門家によるサポートを利用できるソフトウェアベンダーのASPをご利用になることをおすすめします。
●レコメンドエンジン導入前準備に必要なこと
・導入前準備の把握
レコメンドエンジンをソフトウェアベンダーから導入するにあたって、自社で行うべき事前準備を良く把握しておきましょう。
- 自社のWEBサイトや関連システムとの連携可否確認
- KPIで定めた目標に最適なレコメンド手法と結果レポート機能を備えているか
- サポート範囲や外部パートナーでどの程度まで導入支援をしてくれるのか
上記のような実運用に関するシミュレーションをするべく、事前確認を行うことを忘れないでください。
-定量的な達成目標の設定
まず自分達がレコメンドエンジンを導入することで「何を目標とするか」「結果の指針を何とするか」KPIの設定を行うことが大切です。
まず自社目標の最優先項目として何を選ぶでしょうか?
既存顧客のLTVを向上させたいのか、初回訪問顧客の成約率を上げたいのか、など
具体的なゴールとその手段の達成計画を具体的に目標設定すること、が重要な作業となります。
-レコメンドエンジンによるアウトプットの活用
レコメンドエンジンは導入後の効果測定が必須です。そのため各レコメンドエンジンツールでは「レポート機能」があるものが良いでしょう。
現状分析や改善結果を数値で分析してくれるので、当初方針に見合う成果が出ているのか、効果測定を行うことができます。
【レコメンドエンジンの効果的な活用が自社のマーケティングを大きく変える】
レコメンドエンジンはWEBショッピングや動画配信サイトなどで、CX(顧客体験)をよりリッチなものに向上させることを実現します。結果としてLTV(ライフタイムバリュー)の向上につながり、企業の業績向上に貢献できるツールであると言えます。
皆様がレコメンドエンジンを検討される場合は
- 「レコメンドエンジン導入によるKPI設定」を明確に持つこと
- レポート機能を活用して効果測定を綿密に行うこと
- 導入までの事前準備を綿密に行い導入前時点で致命的な問題がないか理解すること
が重要です。
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