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店舗を新規出店する際に、出店先の候補を決めるためにおこなうのが「エリア分析」です。
この記事では、出店後の売上や集客にも大きく関わるエリア分析の、具体的な流れや事例について解説します。
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エリア分析とは、出店に適した地域を割り出すための調査・分析のことです。
周辺に競合がどの程度存在するのか、どのような人たちが生活しているのか、どのような土地柄なのかなどの事柄をこまかく調べます。
エリア分析は「商圏分析」や「エリアマーケティング」とも呼ばれます。
まずは新規出店におけるエリア分析の具体的な手順や流れについて紹介します。
大まかなステップは、以下の4つに分けられます。
①自社情報を整理する
②商圏の範囲を推測する
③商圏内の統計情報を集計する
④分析結果から新規出店場所を決定する
出店候補地を選定する第一歩として、顧客層や商圏を把握するために、自社のデータを整理します。
ここでの「自社データの整理」は単なる情報整理の意味ではなく、周辺にある自社の既存店舗や競合店舗などの情報を、商圏分析用GIS(地図情報システム)などを使ってマップ上にデータ展開することを指します。
自社データをあらかじめ収集・把握しておくことで、情報を俯瞰的に把握できるだけでなく、自社の店舗同士で顧客を取り合う「カニバリゼーション」現象も防げます。
カニバリゼーションは、自社店舗の出店地域が被ることで発生します。
新規店舗と既存店舗の両方の利益を阻害するおそれがあるため、カニバリゼーションを起こさないためにも、自社データの整理は入念におこなってください。
整理した自社データをもとに、商圏を推測します。
商圏とは、距離や地形などから導き出される、「集客の見込める範囲=消費者が日常的に利用可能な範囲」のことです。商圏を把握しておくことが、店舗経営のうえで有利な場所選びにつながります。
商圏は、出店する店舗の業態やターゲットによって変わります。
例えば「駐車場のあるスーパー」であれば車での来店が可能なため、多少遠方の顧客もターゲットとなります。
逆に「駐車場のないスーパー」は移動手段が徒歩や自転車などとなるため、徒歩圏内に住む顧客がターゲットとなります。
上記はあくまで一例ですが、このように出店予定の店舗の特性やターゲット層を考慮して、半径何kmまでが商圏となるのかを推測していきます。
もし類似した店舗をすでに出店済み、かつ該当店舗で収集した顧客データがあれば、よりリアルな商圏を設定できますので、積極的に活用してください。
加えて、商圏を設定する際には「商圏バリア」にも気をつける必要があります。
商圏バリアとは、来店の妨げとなり得る地理的な障害のことです。
例として、もし店舗までの道のりに幹線道路や線路が挟まっていると「直線距離では徒歩5分なのに、迂回しなければならないので実際には徒歩10分である」といった現象が起きてしまいます。すると、自然と客足が途絶え集客が困難になるのです。
ほかにも「間に大きな川が流れている」「勾配の激しい坂道がある」など、さまざまな要因が商圏バリアとなりえますので注意が必要です。
商圏の範囲が推測できたら、商圏内のあらゆる情報を調査します。調査で集計する代表的な項目は、「人口」「生活様式」「競合」「地理」の4つです。
また、調査には、国勢調査によって集められた調査データを用いることが多いです。ほかにも年収推計データや自治体のデータなども用いられます。
データは当然膨大な数となり、人力での作業は非常に手間がかかるため、専用の分析ツールを使用することがおすすめです。
商圏内にどれくらいの人口がいるのかを調べます。人数を調査するだけでなく、どのような人たちが暮らしているのかといった統計も重要です。
性別、年齢、世帯数といった基本情報をはじめ、住居形態、学生数、高齢者数、昼と夜での人口差なども調べておくと、より具体的な顧客ニーズを知ることができます。
加えて、人口の流出や出生数などの統計から、将来的な見込み人口も算出しておくと良いでしょう。該当地域に出店したとき、その地域で長く店舗を運営できるか、集客を維持して成長させられるかがわかります。
生活様式は、地域の人たちがどのような生活を送っているかといった、ライフスタイルについてです。
具体的な項目としては、就業状況、就学状況、購買力、移動手段などが挙げられます。これらのデータを把握することで、自社の商品やサービスが地域の需要とマッチしているかを知ることができます。
生活様式の調査には、国土交通省が実施している「パーソントリップ調査」が参考になります。
パーソントリップ調査は、「どのような人が」「どのような目的で」「何時頃に」「どこからどこへ」「どのような交通手段で」移動したかを調べたデータです。
鉄道・車・自転車・徒歩といった各交通手段の利用割合や交通量を地域ごとに把握できるため、出店予定地域の人の流れを把握するのに適しています。
参考:国土交通省『パーソントリップ調査』
競合店がすでに存在する地域は、それだけ集客が見込める地域であると推測できます。しかし、そのエリアに出店した際に「自社が出店するだけのニーズがありそうか」「競合と比較した際にお客様に選ばれる強みはあるか」といった観点も考慮し、慎重な判断が必要です。
また、競合調査をする理由は、競合との顧客の取り合いを避けるといった限りではありません。
競合店の売上や店舗面積などの情報が、自店舗を出店する際の参考にもなるからです。
商圏内に自社の競合となりそうな店舗が存在する場合、競合の顧客層やターゲットが自社の店舗と似通う可能性が高いです。つまりは、集客数や売上も類似する可能性が非常に高いのです。
自店舗を出店した際のシミュレーションに競合のデータが活用できるため、競合調査は可能な限り細かくおこなうのが望ましいです。
所在地や取扱商材・品目はもちろんのこと、店舗面積や営業時間、店舗の設備、駐車場の台数、店舗の外観など、できるだけあらゆる情報を集めて分析に活かしてください。
地形、道路情報、アクセス手段などは、集客に関わる重要なデータです。
また、「②商圏の範囲を推測する」の説明にもあったとおり、商圏バリアの存在も無視できません。
・踏切や大きな歩道橋など徒歩移動が困難な地形ではないか
・大きな川が通行を阻んでいないか
・日常的に渋滞が発生する道路が近くにないか
・勾配の激しい坂道がないか
・車で来店しやすい道路があるか
・複数の駅からアクセスが見込めるか
以上のような情報を、顧客の目線で収集してください。
①〜③までの分析結果から、出店に適した場所を決定します。
高い収益と集客が見込めそうなエリアを見つけ、具体的な出店計画へと進みましょう。
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一見して地図上では集客によさそうな場所でも、調査をおこなっていくと何らかの懸念点が見つかるケースは往々にして存在します。
無計画に新規店舗を出店して失敗してしまわないためにも、出店場所選びの際には念入りなエリア分析が必須です。
時間をかけてしっかりと分析をおこなうことが、売上予測が立てられる、顧客ニーズに合った販促が打ち出せるといったメリットも生み出します。
さらに、綿密な調査とエリア分析による根拠に基づいた誰もが納得できる出店計画を立てることで、社内コンセンサスも迅速に得られるでしょう。