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出荷予測とは、需要に応じて商品の出荷数を適切に予想することであり、余剰在庫の抑制や販売機会の損失防止などに役立ちます。出荷数を予測することで、売上高の増加や在庫コストの削減など、経営上のメリットにもつながるでしょう。
本記事では、出荷数予測の概要やメリット、手法、効果的なツール、必要なデータ、事例などについて詳しく解説します。
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出荷予測とは、必要となる商品の出荷数を予測することです。出荷予測を行う際は、経済動向や市場トレンド、過去の販売実績などの各要因を分析したうえで、出荷する商品の数量を決定します。
出荷予測は、主に製造業や卸売業で用いられ、適切な数量の在庫を維持・確保することにも役立っています。また、原材料の仕入れ計画や人員配置の最適化などにもつながる重要な取り組みであるといえるでしょう。
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出荷予測を行うメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
出荷予測を行うことで、余剰在庫を防止することができます。
出荷予測によって必要となる出荷数を高精度に予測できるため、商品を作りすぎて余る状況や、商品を作るために素材を過剰に保有する状況を回避できます。余剰在庫を防ぐことで、在庫コストを軽減し、企業の利益率向上や廃棄ロスの抑制につながるでしょう。
在庫不足を防げる点もメリットです。出荷予測によって出荷数の最適化を図ることができるため、余剰在庫だけでなく在庫不足の防止にも役立ちます。適切な在庫数を維持し、常に商品を出荷できる状態にしておくことで、販売機会損失の回避や顧客満足度の向上につながるでしょう。
ここでは、出荷予測の手法について、以下の種類を簡単に紹介します。
時系列分析法は、これまでのデータの推移や変動をベースに将来値を予測する分析手法です。データの中長期的な傾向や周期的な変動の予測を行う際に適しています。
移動平均法は、一定期間ごとに区切って平均値を算出していく手法です。データの中長期的な傾向の予測などに役立ちます。具体的には、下記の計算式を用います。
移動平均単価 =(受入棚卸資産の評価額 + 在庫棚卸資産の金額)÷(受入棚卸資産数 + 在庫棚卸資産数)
指数平滑法は、過去の予測値および実績値を基に将来値を予測する手法であり、幅広いデータに活用できます。指数平滑法の基本的な計算式は以下の通りです。
\[ S_t = \alpha \cdot X_t + (1 – \alpha) \cdot S_{t-1} \]
ここで、\( S_t \) は時点 \( t \) における指数平滑値を示し、\( X_t \) はその時点での実際の観測値です。\( \alpha \)(アルファ)は平滑化係数で、通常0から1の間の値を取ります。この係数は、最新のデータをどれほど重視するかを調整する要素です。高い \( \alpha \) の値は、最新のデータに重きを置き、変化に敏感な予測を行いますが、ノイズにも影響されやすくなります。一方、低い \( \alpha \) の値は、過去のデータをより重視し、より安定した予測を提供しますが、急激な変化には対応しにくくなります。
指数平滑法の利点は、その計算がシンプルであることと、過去のデータ全体を保存する必要がないため、計算コストが低い点にあります。さらに、異なる平滑化係数を試すことで、データの特性に応じた最適な予測モデルを構築することが可能です。このように、指数平滑法は比較的シンプルながら、さまざまな状況下で有効に機能する柔軟な予測手法として、多くの業界で活用されています。
加重移動平均法は、異なる期間のデータに異なる重みを与えて平均を計算する方法で、出荷数予測において非常に有用です。これは、直近のデータにより高い重みを与えることで、最近のトレンドや変動を敏感に反映させることができます。
加重移動平均法の基本的な計算式は以下の通りです。
\[ WMA = \frac{\sum_{i=1}^{n} (w_i \times x_i)}{\sum_{i=1}^{n} w_i} \]
ここで、\( WMA \) は加重移動平均、\( n \) はデータポイントの数、\( w_i \) は各データポイントの重み、\( x_i \) はデータポイントの値です。重み \( w_i \) は通常、時系列の最後のデータポイントに最も高い重みを割り当てるように設計されています。たとえば、3つのデータポイントを使用する場合、重み付けは3、2、1のように設定されることが一般的です。このようにして、最新のデータが予測により大きな影響を与えます。
加重移動平均法は、シーズン性や短期的な変動を考慮した予測を可能にし、特に需要変動が激しい市場での出荷数予測に効果的です。適切な重みを設定することで、予測の精度を向上させることができるため、過去のデータと市場の動向を注意深く分析し、最適な重みを決定することが重要です。また、加重移動平均法は単純移動平均法と比較して計算が複雑ですが、より正確な予測を提供するため、多くの企業で活用されています。出荷数の予測において、この手法を適切に活用することで、在庫管理の最適化や販売計画の策定に役立ちます。
回帰分析法は、ある事象の結果(売上高など)と要因(天候など)の関係性を抽出するために用いる分析手法です。 特に線形回帰分析は、過去のデータを基に未来の出荷数を予測する際に広く利用されています。この手法では、独立変数(例えば、需要予測や季節要因)と従属変数(出荷数)の関係を数式で表現します。基本的な線形回帰の計算式は次のように表されます。
\[ Y = \beta_0 + \beta_1X_1 + \beta_2X_2 + \ldots + \beta_nX_n + \epsilon \]
ここで、\( Y \) は予測される出荷数、\( X_1, X_2, \ldots, X_n \) は独立変数、\( \beta_0 \) は切片、\( \beta_1, \beta_2, \ldots, \beta_n \) は各独立変数の偏回帰係数です。そして、\( \epsilon \) は誤差項を示します。この数式により、各独立変数がどの程度出荷数に影響を与えるかを定量的に評価できます。
回帰分析の計算には、データの前処理やモデルの適合度の評価が重要です。データの前処理では、欠損値の処理や正規化が行われます。モデルの適合度は、決定係数(R²)を用いて評価され、モデルがどれほどデータに適合しているかを測定します。また、誤差項の分布が正規分布に従うかを確認することも重要です。
この分析手法は、過去のデータに基づくため、データの質が結果の精度に大きく影響します。したがって、正確なデータ収集と適切な変数の選択が不可欠です。回帰分析は、出荷予測の精度を高めるための基盤となる方法であり、他の統計的手法と組み合わせて使用することもあります。
なお、出荷予測は需要予測の一部であるため、上記の各手法は需要予測の手法としても用いられます。
需要予測の手法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
需要予測の具体的な手法、最新の技術を活用したアプローチがよくわかる内容になっています。
需要予測5つの手法!ビジネスに活用した事例までわかりやすく解説
出荷予測に用いられるツールとしては、主に以下の3つがあります。
手軽に出荷予測を行いたい場合は、Excelの活用が有効です。Excelであればすでに導入している企業も多いため、新たにツールを導入するための費用やスケジュールが不要となる点がメリットであるといえるでしょう。
Excelでは、たとえば各種データの因果関係を分析して出荷数を予測するFORECAST関数やこれまでのデータ推移から今後の出荷数の増減幅を予測するSLOPE関数などを活用できます。また、予測シート機能によって予測値を簡単にグラフ化することも可能です。
在庫管理システムに搭載されている出荷予測機能を使う方法もあります。出荷予測機能を備えた在庫管理システムを活用することで、適切な出荷数の予測に基づいた在庫管理を実現することが可能です。
在庫管理システムの新規導入または刷新を考えている場合は、導入費用や導入スケジュールを確認したうえで、ツール候補として検討してみるとよいでしょう。
在庫管理の改善事例について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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在庫管理の改善事例8選!成功事例から学ぶ改善の秘訣
出荷予測ではAIを活用する方法も効果的です。AIの大きなメリットは、担当者の経験や勘に頼らず、さまざまなデータの分析結果に基づき高精度な出荷予測を行える点です。それにより、業務の属人化の解消にもつながるでしょう。
また、人間では捉えきれない膨大なデータを学習することで、これまで気づけなかったデータの傾向や法則性などを見つけるきっかけにもなります。
需要予測の計算方法について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
需要予測の主な計算方法や課題、需要予測の計算を手助けするツールがよくわかる内容になっています。
需要予測の計算方法とは?おすすめツールについても徹底解説!
ここでは、出荷予測に必要となるデータについて、外部データと内部データに分けて解説します。外部データと内部データの両方を用いることで、出荷予測の精度を高めることが可能です。
出荷予測において必要な外部データの例としては、主に以下が挙げられます。
経済指標は、物価や株価、金利、為替など、社会全体の経済情勢や景気に関する指標です。経済指標によって消費者がどのくらい活発に経済活動を行うのかを判断でき、商品やサービスの需要を予測することができます。
気象データは、天気や気温、湿度、風速などのデータであり、商品の売れ行きや来客数などに影響します。たとえば、台風の日などは店舗への来客数が減少し、売上の低下につながることが想定されるでしょう。
出荷予測においては、外部データに加えて内部データも活用することが重要です。主な内部データとしては、以下が挙げられます。
内部データのなかでも代表的なものは、過去の販売実績や販売予測値です。すでに販売開始から一定期間以上が経過している商品であれば、それまでの販売数や出荷数を基準にできます。新しく市場に投下する商品の場合は、過去の類似商品やシリーズ商品などの販売実績が参考になるでしょう。
そのうえで、商品特有のキャンペーン・イベント情報などがある場合は、販売数の変動に影響するため内部データとして考慮することが大切です。
他にも、商品の製造情報や工場の機器・設備の稼働データ、消費電力などの社内情報を活用することで、出荷予測の精度向上に役立つでしょう。
ここでひとつ、外部データと内部データを活用した出荷予測の例を紹介します。ある食品メーカーは、出荷予測の精度向上を図るため、一部の食料品の出荷数を予測するモデルを構築しました。
外部データとして地域情報や平均気温を、内部データとしてこれまでの出荷実績をモデルに組み込んで出荷予測を行ったところ、地域や平均気温と出荷数に相関関係があることを発見しました。
これにより、各季節における地域ごとの出荷数を高精度に予測できるようになり、在庫管理の適正化を実現したのです。
需要予測に必要なデータについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
精度の高い需要予測を行うために必要なデータの種類や役割、AIを使った予測手法の利点がよくわかる内容になっています。
需要予測の精度を向上させるには?必要なデータや精度が上がらない原因を解説
最後に、AIを活用した出荷予測の事例についても紹介します。大規模な物流倉庫を持つある製造業の企業では、適切な出荷数の予測ができず、余剰在庫を抱えている現状を課題としていました。
そこで、経済指標や気象データなどの外部データと過去の売上実績などの内部データをインプットし、AIを活用した出荷予測モデルを構築しました。
人間では困難な多種多様なデータ解析をAIが行うことで、商品ごとの出荷数の予測精度を向上させることに成功したのです。これまでは経験豊富な社員に依存しがちであった出荷予測をAIが高精度に行えるようになったことで、業務の属人化の解消にも貢献した好事例であるといえるでしょう。
出荷予測の精度向上によって在庫管理の適正化を実現した結果、年間数千万円ものコスト削減を達成するなど、経営上の成果も表れています。
AIを活用した在庫管理の事例について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
在庫管理にAIを用いることによるメリット、実際にAIを活用して在庫管理を改善した成功事例がよくわかる内容になっています。
AIを活用した在庫管理の事例10選!AIを活用するメリットとは
出荷数予測を行う際の大切な要素は以下の通りです。
データを駆使して精密な予測を行ったとしても、予想外の外的要因が発生すると、予測が大きく外れることがあります。重要なのは、外的要因を完全に予測することではなく、これらが起こり得るものとして計画を立てることです。
それでは、各要素を詳しく見ていきましょう。
どれだけ詳細に予測を行っても、実績と異なる結果が出ることがあります。そのため、「なぜ差異が生じたのか」「どうすれば差異を減少できるか」といった点を客観的に分析することが必要です。
予測後に差異の原因を特定し、改善策を実施することで、予測の精度は向上します。最初は精度が低くても、継続的に取り組むことで精度を上げていきましょう。
予測を行う際、データ量が多いほど精度の高い予測が可能になります。しかし、データが多いだけでは十分ではなく、質の高いデータを活用することが重要です。
例えば、古いデータよりも最近のデータや、同じ時期で一貫したデータを使用することで、予測の精度が向上します。また、データに欠損がある場合は、どのように補完するかを考えることも大切です。
完璧な出荷数予測は難しいですが、精度を高めるための材料をできる限り揃えておきましょう。
出荷数には、予期せぬ出来事などの外的要因が影響します。しかし、これらを正確に予測することは難しいです。企業や社会の環境は常に変動しており、時には予測不可能な方向に進むこともあります。
実際に、2019年から2020年にかけての新型コロナウイルスのパンデミックは、社会のあり方を大きく変えました。このような事態を事前に予測するのは困難です。
したがって、予測の際には不測の事態が起こることを前提に計画を立てることが大切です。予測に余裕を持たせたり、在庫を確保したりして、柔軟に対応できる準備をしておきましょう。
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市場で求められている商品の出荷数を予測する出荷予測を行う際は、Excelや在庫管理システム、AIなどのツールを活用することが効果的です。なかでも、AIを使えば人間では困難な膨大なデータに基づく高精度な出荷予測を行えます。また、特定の担当者に頼らず出荷予測の精度向上を実現できます。
出荷予測の精度を高めるためには、経済指標や気象データなどの外部データと過去の販売実績などの内部データを組み合わせて活用することが重要です。多種多様なデータをまとめて分析するうえでも、AIは効果的なツールとなるでしょう。AI CROSSでは、専門知識がなくても使えるノーコードAI予測分析・意思決定支援サービス「Deep Predictor」を提供しています。Deep Predictorは予測分析をするだけでなく、「予測分析の結果から最善の打ち手を導き出すことができる」というのが最大の特徴です。需要(出荷数や販売量など)を高精度に予測し、その予測結果と安全在庫や発注リードタイムを考慮して最適な発注数量も算出することが可能です。データに基づいた意思決定を、専門知識がなくてもできるようにサポートするツールとなっていますので、ご興味がございましたらぜひお問い合わせください。