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AIを活用した需要予測とは?手法に加えて必要データや運用などを紹介!

AIを活用した需要予測とは?手法に加えて必要データや運用などを紹介!

ITの進化によって、近年特に注目を集めているのがAI技術です。
本記事では、AIを活用した需要予測の基本知識や、注目を集める社会的背景、活用のメリット・デメリット、具体的な導入手順などについて解説します。


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AIのメリットや他の手法との違いを解説
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需要予測とは

需要予測とは、企業活動におけるさまざまな「数の需要」を予測する行為を指します。
自社の商品やサービスがどの程度売れるか、どの程度の需要があるかなどを事前に予測することで、仕入れ計画や生産計画が的確に立てられます。

需要予測について詳しく知りたい方は、以下の記事で詳細を解説していますので、ご参考にしてください。
https://aicross.co.jp/deep-predictor/blog/blog5/


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需要予測の手法

需要予測の手法には、大きく分けて「統計的・定量的な予測」と、「人的・定性的な予測」の2種類があります。

<統計的な分析に基づく手法>

  • 移動平均法
  • 指数平滑法
  • 回帰分析法
  • 加重移動平均法
  • 算術平均法
  • 時系列分析法
  • ホルト・ウィンタース法
  • 多変量解析

<人の経験に基づく手法>

  • デルファイ法(合議型)
  • マーケットサーベイ法

各手法について、簡単に説明していきます。

移動平均法

中心となるデータを基準に前後3ヶ月ほどの平均値を算出し、平均的な需要を割り出す手法。

指数平滑法

過去の実績データをもとに将来値を予測する手法。

回帰分析法

複数の需要の相関性を分析する手法。需要が生じる要因と結果を明らかにすることで、需要予測に用いる。

加重移動平均法

移動平均法の考え方をベースにしつつ、直近のトレンドなどの新しいデータにウェイトを置いて算出する手法。

算術平均法

データの値を合計し、合計値をデータ数で割って平均値を算出する手法。相加平均とも呼ばれる。

時系列分析法

過去のデータ推移をもとに、将来の値を予測する分析手法。

ホルト・ウィンタース法

指数平滑法に対して、季節変動やトレンドの要因を加味した手法。

多変量解析

相互に関係する複数のデータの要約や、将来値の予測をおこなうための解析手法などの総称。特定の手法を指すものではなく、クラスター分析や重回帰分析といったさまざまな手法が含まれる。

デルファイ法(合議型)

市場や商品の専門家による話し合いのもと、合議を重ねながら意見をまとめていく手法

マーケットサーベイ法

アンケートやインタビューを通じて、市場や競合他社の顧客動向を調査する手法。

需要予測のそれぞれの手法については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。ご参考にしてください。
https://aicross.co.jp/deep-predictor/blog/blog5/

AIとは?

AIは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略で、日本語では「人工知能」と呼ばれます。
ロボット工学におけるAIの定義は複雑ではありますが、一般的には「人間の思考や知性、知覚を人工的に再現したもの」と考えて支障ありません。

AIの大きな特徴として挙げられるのが「機械学習」です。
従来のロボットやソフトウェアは、プログラミングしたことのみを、まさに「機械的に」実行するものでした。
対してAIは、経験やデータの蓄積によって学習をおこないます。この学習とトレーニングを繰り返すことで、従来以上に複雑かつ柔軟なタスクの実行が可能となるのです。

AIを活用した需要予測とは?

近年の需要予測では、予測の精度を高めるためにAIを活用するケースが増えています。
AIによる需要予測には、内部データと外部データの2種類のデータが用いられます。
内部データは、自社で保有しているデータです。商品の出荷数や売上、製造情報や製造に必要な消費電力などのコストといった、これまで蓄積してきたデータを指します。

一方、外部データは、その名のとおり外部が保有しているデータです。気象情報や経済指標などの、自社分析だけでは得られない情報が主となります。
AIはこれらの2種類のデータを掛け合わせることで、従来以上の高精度な分析を実行します。

AIを活用した需要予測導入の重要性

AIによる需要予測を導入する企業が急増している背景には、中小企業が直面するさまざまな課題があります。
経済産業省では、現在日本において中小企業が抱える課題として、以下の4つを挙げています。

① 中小企業の生産性は大企業に比して低く、横ばい
② 中小企業の高齢化が進んでいる
③ 中小企業では、勤続3年目で離職する率が3割を超える
④ 中小企業の人手不足は年々深刻化

(※一部、後述の参考資料から引用)

つまり、現在日本における中小企業の生産性は低く、生産性の数値としても横ばいが続いている。そして、離職率の高さと相関して人手不足が深刻化しており、従業員の高齢化が進んでいる、という課題があるのです。

そこで注目されているのが、AI技術の導入です。
AIを活用した需要予測をおこなうことで高精度な予測が可能となり、生産性の改善と売上アップにつながります。

これまでヒトが手間と時間をかけておこなっていた需要予測をAIが肩代わりすることで、従業員にも余裕が生まれ、そのぶんの工数を技術の継承やクリエイティブな業務へとあてられます。

AI技術を取り入れることによって社内のITリテラシーが向上すれば、IT人材の育成や採用にも意識が働きます。つまりはAIの導入によって得られる効果が、ひいては企業の成長へとつながるのです。

このほか、AI導入で得られるさまざまなメリットを踏まえて経済産業省は『AI技術は生産性改善だけでなく、従業員満足度の向上・技術継承促進と若手の育成・IT人材の採用等、中小企業の様々な経営課題の解決へつながり得る』と述べています。
また、中小企業へのAI導入による推定経済効果は、2025年までで11兆円にものぼるとされています。

これらの背景から、需要予測においてもAIの活用が重要視され、多くの企業で導入が進んでいます。

参考:経済産業省 『AI導入ガイドブック』

AIを活用した需要予測の特徴

AIか活用した需要予測には、以下の3つの特徴があります。

①複数の変数に基づいた予測ができる

「前年の売上から予測」、「A支店での動向から予測」といった単一のデータだけでなく、出荷数・天気・季節・コストなどの、複数の変数要素に基づいた予測が可能です。

②膨大なデータをもとに予測ができる

人間が取り扱い分析できるデータ数には限りがありますが、AIなら、人間では計算しきれない膨大な数のデータをもとに分析・予測できます。

③人的ミスを減らせる

人工知能にはケアレスミスや「うっかり」がないため、人的ミスによる予測や計算の誤りがありません。

AIを活用した需要予測のアウトプットイメージ

では、AIを活用した需要予測では、具体的にどのようなアウトプットが得られるのでしょうか。
『需要予測に基づく出荷数予測』を例に解説します。

需要予測のアウトプットイメージ

まずはAIにデータを取り込み、分析をおこないます。
AIによる需要予測では、内部データと外部データの両方に加え、社内外の経験を最大限活用することにより、人間では対処しきれない膨大な要因を精密に考慮した予測結果が得られます。
ここでは数値化されたデータだけでなく、文章などの非定型的なデータも活用可能です。

発注量データ

さまざまなデータから導き出された分析結果をもとに、「 店舗内に配置できる商品カテゴリごとの商品量」「 新商品の配置数」「 最小発注量 」などの予測結果がアウトプットされます。

AIの活用によって、人間では対処しきれない、複数要素を考慮した高精度な需要予測が叶います。この予測に基づき発注量を最適化することで、商品の欠品による機会損失や、在庫過多となるリスクを最小化できます。

AIを活用した需要予測に必要になるデータの例

AIによる需要予測では、先述のとおり内部データと外部データを活用します。

内部データは在庫数、出荷数、製造情報など、自社で保有しているデータです。これまでの企業活動で収集してきた過去のデータを、将来的な需要予測に役立てます。

さらに商品の売上は、季節や天候・曜日や時間・競合他社の動き・社会情勢や経済情勢など、自社の活動だけではコントロールしきれないさまざまな要因によって左右されます。

自社では知り得ない外部要因=外部データを加えて需要予測をおこなうことで、内部データだけでは予測しきれない、より高精度で正確な予測が可能となります。

AIを活用した需要予測に必要になるデータ

例:最適化する対象(目的変数)と、それに影響する変数(説明変数)が整理されたテーブルデータ

AIを活用した需要予測の精度

AIを活用した需要予測の正確性は、取り扱うデータの量や質によって左右されますが、ベテラン担当者、つまりは人間が予測した数値より2〜3倍も高い精度であるという事例もあります。

AIを活用した需要予測の精度

上記の表は、AIが算出した出庫数の予測数値と、実際に出庫された数をグラフ化したものです。予測と実績の数字に、ほとんど差異がないことがおわかりいただけると思います。

ただし、AIも最初からここまで精密な分析が可能なわけではありません。需要予測の精度を上げるためには、いくつかの「コツ」があります。

分析元となるデータの正確性の向上

一つ目のコツが、分析元となるデータの正確性を上げることです。簡単にいえば、間違ったデータや古いデータ、内容に不備のあるデータをAIに分析させたところで、正確な予測はできないということです。そのため、分析に使用するデータは可能な限り最新かつ品質の高いものを使用するのが重要です。

使用データから異常値を取り除いておくこと

二つ目のコツは分析に使用するデータからは、異常値を取り除いておくことです。

異常値とは、一時的に通常とは違った動きが見られる場合の数字を指します。

たとえば、テレビで紹介されたことによる一時的な売上増や、災害で客足が途絶えたことによる売上の激減などです。

これらは突発事項により売上に一時的な大幅変動が生じた「異常値」となるため、この数値を含んだまま分析すると、正しい予測にならないケースがあります。需要予測の際の分析データからは除外するか、あらかじめ数字の補正をおこなうのが望ましいでしょう。

予測モデルの継続的な改善

三つ目が、予測モデルの継続的な改善です。

AIの特徴である機械学習は、収集した情報が増えれば増えるほど成長=アウトプットの精度が向上します。逆にいえば、最初から正確な予測を出すのは難しいと認識しておいてください。

AIの予測が外れた場合は、実績とどの程度のズレがあったのか、なぜズレが生じたのかを検証したうえで、その情報をAIに与えます。これを継続的に繰り返すことで、AIの需要予測の精度は飛躍的に向上するのです。

これら3つの「コツ」は、要約すると「正しいデータをどれだけ多くAIに与えられるか」に帰結します。AIによる需要予測をうまく活用するためにも、AIの精度向上に注力するのがおすすめです。

人とAIの協働の必要性

いくらAIの精度を上げたとしても、「絶対に外れない予測」「寸部の狂いもなく100%当たる予測」は、当然のことながら実現不可能です。

では、少しでも予測精度を上げ、企業活動にうまくAIを活用するにはどうすればいいのでしょうか。必要なのは、AIと人間の協働です。

AIによる分析を最大限に活用するには、人間の手が必要となります。AIの精度が100%でないことを理解し、その前提のうえでAIを活用するのです。
たとえばAIが算出したデータに、「地元のプロ野球チームが優勝したから、売上が増えそうだ」といった人間ならではの予想を加えることで、予測をより現実的なものへと修正するといった行動です。
AIが予測したアウトプットに対して、人間が手を加えるという協働によって、より実践的な需要予測が可能となります。

AIの予測が絶対ではないことを前提に、いかにAIを活用していくか。これを考えることで、AIの活用はより有益なものになるでしょう。

参考:経済産業省 『AI導入ガイドブック』

AIを活用した需要予測の運用イメージ

AIを活用した需要予測システムの運用には、まずAIにデータ入力をおこなう担当者が1名必要です。

担当者でAI用の学習データが入ったファイルを生成し、AIが搭載されているシステムにインプットします。すると、AIが需要予測と需要の最適化をおこないます。その結果をCSVで出力すれば完了です。

これが、AIを活用した需要予測システム運用の大まかな流れです。

AIを活用した需要予測の運用イメージ

当社のAI需要予測システムの運用イメージ

ここでの担当者は1名としていますが、これは最低人数です。システムの規模や運用方法によっては、複数名必要な場合もあります。
また、月に数時間程度、AIに与えるためのデータ入力やシステムの管理作業が必ず発生し、データの量や作業量によって作業時間が増えます。
AI運用においても同様で、AIの分析モデルを更新する作業が、月に数時間程度発生します。
そのため、AI担当者を社内で最低1名は育成または採用するのが望ましいでしょう。

繰り返すようですが、AIには最初から完璧を求めるのではなく、運用と改善を継続するなかで少しずつ制度を向上させていくことが重要です。
そのためにも、AIに対するKPIをあらかじめ設定しておくことを推奨します。
AIがどの程度KPIを満たしているかといった達成度合いを計測することで、どの点に問題があるのかがわかり、改善がしやすくなります。KPIだけでなくKGIも設定しておくと、より効率的な改善が可能となるでしょう。

需要予測にAIを取り入れるメリット

需要予測にAIを取り入れるメリットや、得られる効果について解説します。

データに基づく迅速で精度の高い経営判断ができる

AIを取り入れることで、データや数字での高精度な予測・管理が可能となり、利益アップにつながるのはもちろん、データに基づく正確な経営判断ができるようになります。
感覚頼りではなく数字をベースにした明確な基準や方針を示すことで、社内外や株主などに対する説明にも説得力が増します。
また、データによる分析は、属人的な分析に比べてアウトプットが出るまでのタイムラグが少ないです。精度の高い経営判断が迅速におこなえるようになり、効率的な企業活動を可能とするでしょう。

原材料の仕入れを効率化できる

製造業や飲食業の場合、必要となる原材料の仕入れ数をいかに正確に予測するかが重要です。
AIを使った需要予測であれば、必要な数を正確に把握でき、仕入れを効率化できます。過剰な仕入れや不足を抑制できるのみならず、原材料を海外から仕入れている場合は、円高・円安も考慮した発注が可能となるため、為替リスクを避けられるというメリットもあります。

在庫管理を最適化できる

AIによって需要の予測が立てられれば、どのタイミングで何をいくつ発注すれば良いのかが正確にわかり、在庫の最適化が叶います。在庫切れによる販売の機会損失を防げるのに加え、余剰在庫による在庫管理コストも削減できるでしょう。
また、過剰在庫による保管スペースの逼迫防止も期待できます。なかにはAI需要予測による在庫の最適化で、倉庫の貸し出し費用の削減につながったという事例もあります。

適切な人員配置・人材採用ができる

社内の人材の需要予測をあらかじめ立てておくことで、当該時期や時間帯にどの程度人員が必要なのか見極められるようになります。アルバイトやパートのシフトを立てやすくなり、人員の適正な配置が可能となるでしょう。ほかにも残業の抑止や、余剰人員による配置換えの検討も可能となります。
また、需要予測をAIに任せることで、担当者のリソースを別の業務に使えるようになります。業務効率化と生産性向上を同時に叶えることができるのです。

属人的な予測からの脱却できる

人間が需要予測をおこなう場合、ベテラン担当者の勘や経験に頼るケースが多々あります。しかしその場合、予測の手法や精度が個人の能力と経験に依存するため、属人化が起きやすいという問題があります。
AIなら、担当者の経験則や勘に頼らない、データをもとにした予測ができます。予測の属人化を防ぎ客観的な判断ができるのみならず、人間よりも高精度な需要予測が可能となるでしょう。

需要予測にAIを取り入れるデメリット

需要予測にAIを取り入れる際のデメリットや、注意点について解説します。

データの収集が必要になる

既出のとおりAIによる需要予測は、多くの内部データ・外部データを活用しておこなわれます。より実践的で精度の高い予測をおこなうには、このデータをなるべく多く集めることが求められます。
また、量だけでなくデータの質も重要となるため、「品質の高いデータを大量に集める」という作業が必要となります。このデータの準備に時間を取られるのは、AI活用においては避けては通れない道です。

導入までに人的・時間的コストがかかる

これはAI需要予測システムに限ったことではないのですが、やはり新規のシステムを導入する際には導入のための費用は、もちろん人的・時間的コストがかかります。
特にAIを搭載したシステムの場合には、AIが実稼働できるようになるまで学習期間を要するため、軌道に乗るまでのコストは必ず発生すると理解しておいたほうがいいでしょう。

予測した内容をもとに効果的な施策を導き出す必要がある

AIが予測してくれるのは、あくまで需要の部分までです。AIモデルによってはその後のおすすめパターンをいくつか提案してくれる場合もありますが、基本的にはアウトプットされた予測をもとに最適な施策を考えて実行するのは、あくまで人間です。
そのため、AIが予測した内容をもとに効果的な施策を導き出す作業は、人間側でおこなう必要があるという点も念頭に入れておきましょう。

定期的な見直しが必要

商品の売上や自社の経営方針、経済の流れなどは常に変化していくものです。そのため、AIモデルや予測のプログラム、活用するデータの種類や運用方法などについては、定期的な見直しが必要です。
AIに対する基本的な考え方は、「作って終わり」「使いっぱなし」ではなく、継続的なアップデートによって「育てていく」ものと認識しておいてください。

十分なセキュリティ対策が必要

AI担当者は、セキュリティについての十分なリテラシーを持っていることが理想です。
AIに活用するデータが外部に漏れる、データを狙ったサイバー攻撃の標的になる、などのリスクも考えられるからです。

AIが利用するデータに顧客情報や社外秘の機密情報が含まれる場合は、情報漏洩に特に注意する必要があります。
そのため、担当者のリテラシー向上と、社内のセキュリティ対策を並行しておこなうのが理想です。

需要予測にAIを取り入れるための手順

最後に、需要予測にAIを取り入れる際の、具体的な手順について解説します。

① AI導入で実現できることの確認

本格的な準備手順に入る前準備として、まずはAI導入によって実現できることと、できないことの確認をしておきましょう。
大前提として、AIは万能ではありませんし、どのようなシステムを導入するかによっても、できることとできないことの違いは生じます。
そのため、そもそもAIとは何なのか、AIでどのようなことができるのかを、しっかりと確認して認識を高めておくことが大切です。そのうえで、「なぜ自社でAIを導入したいのか」も言語化できるようにしておくと良いでしょう。

② AI導入の目的の整理

AIの導入によって何を解決したいのかを整理し、需要予測をおこなう目的を設定します。「業務の困りごとが現在どうなっているか」「AIの導入でどういう効果を見込めるのか」を決め、導入の指標にしていくのです。現状がどうなっているかを定量的に把握し、AI導入後の効果予測と比較しておくとスムーズです。これを最初に明確に設定しておくことで、運用の最中に目的を見失うことを防げます。

いきなり規模の大きな目的を定めるのではなく、まずは小さく素早く始められる目的を設定するのがコツです。
目的や目標が大きすぎると準備期間がかかるうえに、すぐに効果を得られずに挫折してしまいがちです。最初はスモールスタートが鉄則と覚えておいてください。

③ 導入すべき業務の決定

業務プロセスや作業フローのうち、どこにAI予測の業務を組み込むかを決めます。
そのためには、まず現状の業務プロセスをしっかり把握しておく必要があります。作業の手順やタイミング、誰がおこなっているのかなどを洗い出してください。
現状の業務の洗い出しが完了したら、いつ・誰が・どの手順で・どのように需要予測をおこない、予測結果を活用するのかを設計します。

④ 導入に必要なデータの特定

AI活用のために必要なデータを特定します。導入に際して必要なデータと、運用していくうえで必要なデータをそれぞれ洗い出し、整理してください。手元にあるデータは随時用意し、「今は手元にないが、今後必要になるであろうデータ」は、今後どうやって抽出・蓄積するかを考えます。
なお、これらのデータは一度抽出すれば完了ではないため、今後も継続的に最新データを抽出できるよう整えておきましょう。

⑤ ベンダーの選定

自社の要望を叶えられるシステムを選定します。
社内にAIに詳しい人材がいない場合は、ベンダーのサポートのもとで進めていくことになります。そのためシステムを選ぶ際には機能や使い勝手だけでなく、開発・提供元のサポート体制や、どのようなサポートをどこまでやってくれるかなども判断材料に加える必要があります。

⑥ 導入検証

ベンダーが決定したら、導入検証を開始します。導入検証はいわばお試し期間となり、2〜3か月ほどの検証期間が設定されることが多いです。
必要に応じてベンダーのサポートを受けつつ、実稼働と類似した環境でシステムを導入・稼働させてみて、実導入したあとの具体的なイメージを湧かせます。
効果測定だけでなく、使い勝手や自社との相性、ほかのシステムや作業フローとの互換性なども確認し、じっくりと検証を進めていきましょう。

⑦ 実装・運用

検証期間を経て、問題がなければいざ実装です。ここからは、業務に本格的に活用していくための運用がスタートします。
まずはAIモデルを構築し、検証と最適化を繰り返し、AIを成長させて予測の精度を上げていきます。
AI運用が軌道に乗ったあとも、AIのアウトプットに対する定期的な評価が求められます。予測精度が低下したり、外部環境の変化が起きたりした際には、AIの調整や再学習が必要です。AIを継続的にアップデートしていき、いっそう高精度で正確な予測ができるように運用していきましょう。

AI導入に際しての補助金の例

企業がAI技術を導入する際に、国から補助金が出ることをご存知でしょうか。

需要予測にAIを導入したいものの、主にコスト面で難しいと感じている場合には、積極的に活用することをおすすめします。

補助金にはいくつか種類があり、それぞれの要件を満たせば、導入に補助金が使用できる可能性があります。

<AI導入に活用できる補助金の代表例>

・IT導入補助金

中小企業や小規模事業者がIT技術を導入する際に、国や自治体が経費の一部を補助する制度です。AI導入はもちろん、システムやクラウドサービス、ソフトウェアなど、業務効率化やDXに関わるさまざまなITツールの導入で活用できます。

IT導入補助金2023:https://www.it-hojo.jp/

・ものづくり補助金

中小企業や小規模事業者が、製造・開発・改善における設備投資をする際に支給される補助金です。製造業をはじめとする複数の業種で利用可能で、要件を満たせばAI導入にも使えます。

ものづくり補助金総合サイト:https://portal.monodukuri-hojo.jp/

・持続化補助金

中小企業や小規模事業者の持続的な経営をおこなうための取り組みに対して、かかる費用の一部を自治体が支援する制度です。ビジネスの持続化や改善・成長のためにかかる経費が対象となるため、予測改善や業務効率化のためのAI導入についても対象となります。

小規模事業者 持続化補助金:https://r3.jizokukahojokin.info/

課題解決の可能性を秘めたAIによる需要予測

今回は需要予測やAIとは何かにはじまり、AIを活用した需要予測の必要性や導入フローについて網羅的に解説しました。
業務効率化、在庫や仕入れの最適化、迅速で精度の高い経営判断など、AIによる需要予測には数多くのメリットが存在します。

これらのメリットは企業としての成長を促進するだけでなく、生産性の低下や人材不足といった日本の中小企業が抱える課題の解決にもつながります。世の中のDX化が進んでいることも加味すると、大企業だけでなく、中小企業にも積極的に取り入れていきたいところです。

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