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本記事では、いま注目のAI予測についてAI予測とは何か、AI予測の仕組み、メリットデメリット、活用事例についてご紹介していきます。
AI予測とはビックデータを元に未来を予測する技術を指します。
様々なジャンルの予測が可能で、AI予測には以下の2つのことを期待できます。
・将来どんなことが発生するのか?
・過去に発生した事象が次にいつ訪れやすいのか?
どちらも未来を予測することに変わりはありませんが、「これから新たに発生すること」と「過去に発生したことが次にいつ訪れるのか」の2種類に分けることができます。
ビジネスの世界では需要予測や生産計画での活用への期待が高まっていますが、なぜAI予測がビジネスの世界で注目を集めているのでしょうか?
AIも人間も予測をする際には必ず元になるデータを集めます。
人間が予測する場合は、その人が今まで経験してきた物事を中心にデータを集めてしまう傾向があります。そのため、個人差によるバラつきがどうしても発生してしまいます。
それに対して、AI予測の場合はあらゆるデータを満遍なく集めてくれるため、数字に基づいた論理的な予測が可能です。
また、人が予測する場合は扱うデータの量や範囲に限界がありますが、AI予測の場合は膨大なデータをもとに予測を行うことができるため、より大きな規模の予測ができたり、より正確な予測ができたりするというメリットがあります。
様々な分野での活用が期待されるAi予測ですが、どういった仕組みで未来を予測しているのでしょうか?ここからはAI予測の仕組みについてご説明していきます。
AI予測の仕組みを表す言葉として「アルゴリズム」という言葉を最近よく耳にしますが、まずは改めて「アルゴリズム」の意味をご説明します。
アルゴリズムとは「課題を解決するための手段や方法」という意味です。計算方法と呼ばれることもありますが、一般的には物事を進める際の「やり方」です。
物事を解決する上での手順であり、誰でも同じ答えにたどり着けるものを指します。
AI予測では、コンピューターがビッグデータをアルゴリズムをもとに学習していきます。
大きく分けると4つのアルゴリズム(手順)がありますので、具体的に紹介します。
線形回帰とは、数値データをもとに直線的な予測をするアルゴリズムです。
例えば、クッキーを作る際に使用する小麦粉の量から出来上がりの個数を予測できます。
クッキーを作るたびに小麦粉の使用量と出来上がり個数がデータとして蓄積されます。
いくつかの作成パターンによって直線的な近づきが見え、この直線の方程式を導き出すのが線形回帰です。
線形回帰は単純な関係性を予測するのに適しており、ビジネスシーンでは「最寄駅の乗降客数と店舗の売上の相関」といったシーンで活用可能です。
ただし、複雑な関係性の予測には向いていないので、単純な関係性を把握したい時にのみ用いられるアルゴリズムといえます。
決定木とは、YES/NOで答えられる質問を繰り返し結論を導き出すアルゴリズムです。
とある動物を割り出すゲームに例えてみましょう。
回答者はYES/NOで回答できる質問を繰り返します。(四足歩行ですか?哺乳類ですか?etc)
このやり取りを繰り返して、ある動物とは何かを導き出します。
これをビジネスで活用する場合、購入・閲覧履歴を元に好みを分析し、その好みにマッチした商品をおすすめするなど、販売・顧客データの分析に良く用いられます。
ニューラルネットワークとは、ビッグデータを処理して問題解決に導くアルゴリズムです。
その名の由来は、人間の脳の仕組みを模したコンピューターシステムと言われています。
ニューラルネットワークは、いくつかの層で構成されており(一般的には3層)情報の重みによって回答を導き出します。
そして、この回答を繰り返すことによって、より正確な情報を導き出すことが可能です。
ニューラルネットワークは、たくさんの問題を解決するのに役立つスーパーコンピュータのようなものです。例えば、写真の中に何が写っているかを当てることや、文字を認識することなど、さまざまなことに使われています。
ベイズ分析とは、過去の情報と新しい情報を組み合わせて予測するときに使われるアルゴリズムです。
天気予報などによく使われており、過去の天気模様と最新の気温情報を組み合わせることで、降水確率や天気自体を予想できます。
これを繰り返すことで、より正確なデータが蓄積され、確実な天気予報につながっています。
ベイズ分析は天気予報だけではなく、商品の売り上げやスポーツの勝敗予測など、さまざまなことに用いられます。
AI予測を用いることで3つの大きなメリットがあります。
それぞれ解説していきます。
AI予測は膨大なデータを瞬時に処理して、精度の高い根拠や結論を導き出せます。そのおかげで、ビジネスにおける意思決定を早くすることが可能です。
人が行う予測は、時間もかかり精度も不十分なことが多いです。
一方、AI予測はデータの収集力・処理能力が人間と比べて圧倒的に高いです。加えて、個人差によるバラつきが発生しないため、常に一定の結果を導くことが可能です。属人化を防ぐことができるため、会社内での人員配置も容易になります。
流行の変化が激しい時代には、AI予測を用いた素早い意思決定は重要なポイントになると言えるでしょう。
AI予測を活用することで、人が行う予測よりも需要予測の精度を向上させることが可能です。
例として、製造業でAI予測を取り入れた場合、人間が介入しているとヒューマンエラーにより過剰在庫や在庫不足になることも起こり得ます。一方で、AI予測に頼ることで、このヒューマンエラーを防止するだけではなく、分析により過剰在庫のリスクを低減させることが可能です。
AI予測により削減した工数を、次のヒット商品となり得る商品開発に投下することも可能です。
加えて、成約率や売上の向上も期待が持てます。売れる商品や購買層などを分析して、適切な商品の品ぞろえや、効果的な広告の打ち出しが可能です。
ビジネスにおける予測では、属人的な予測ノウハウに頼っているというケースもまだまだ多く存在しています。
例えば「このくらい稼働したらこのくらい生産できるだろう」といった個人の経験を元にした計画などが該当します。
AI予測なら、データに紐づいた客観的な視点での予測が可能なので、より正確な計画を組むことができるようになります。
便利なAI予測ですが、デメリットと注意点があります。実際に活用してみたいと感じている方は、十分に注意してください。
AI予測の正確性はデータの量に比例します。そのため、より正確な予測・分析を行うためには、膨大なデータを準備する必要があります。
新規開発品やこれまで実績のない商品といったデータの蓄積が少ないものに関しては、精度の高い予測はできません。最低でも数十個のデータをAIに読み込ませることが必要と言われています。
AIはすべてを自身で動かすことはできません。アルゴリズムやデータを揃えて、はじめてその力を発揮しますので、導入初期には最適化まで時間がかかります。
具体的には、データの収集や欠損をクリーニングすることに時間がかかったり、AIにフィードバックしていくことに時間がかかったりします。この欠点については、AI活用を前提としたデータ蓄積の仕組みを整えることで対策可能です。
アルゴリズムについてもその仕組み自体を人間が整理しないといけません。
自社内のエンジニアが組むことができれば問題ないですが、外注する場合はその分コストが掛かってしまいます。
また定期的なメンテナンスも必要なため、初期費用だけではなくランニングコストも発生することを覚えておいてください。
ここからは、Ai予測がどのようにビジネスで取り入れられているのか?を業界別に詳しくご紹介していきます。
飲食業や小売業といったビジネスモデルでは、新規出店場所の決定がその後の売上を大きく左右します。
AI予測を活用することで、既存店の売上・集客数を分析し評価できます。その評価結果を新規出店の集客・売上予測に用いれば大きな効果が見込めます。
飲食業界で深刻な問題となるのはフードロスです。見込んでいた来客数を下回った場合、廃棄しなければいけない食材が出てしまいます。
「雨の日なので来客が少ないため仕込みの量をこれくらいにセーブする」などの経験則に基づいた予測は、経験豊富なオーナーやスタッフしかできないケースが多いです。しかし、AIを活用すれば誰でも同じようにデータから来客数を予想することができ、フードロスの確率を減らすことが見込めます。
AI予測を活用することで、需要に見合った発注システムを構築することができます。
価格や商品陳列の列数、天候、曜日ごとの特性、客数などの情報を分析し、最適な販売予測数をAIが提案してくれます。発注担当者はこのデータを踏まえ、発注判断を行うことが可能です。
地価や物件価格の予測は担当者やアナリストが人間の手で調査を行い決定しています。しかし、この方法だと時間がかかってしまう上に、担当者によってバラつきが発生してしまいます。Ai予測であれば、膨大なデータから正確かつ迅速に結果を出すことが可能です。
製造業において、生産ラインを止めてしまうということは深刻な問題につながります。
生産量・品質を確保するためには、生産ラインの品質保持ということが最大の課題と言えます。
Ai予測を用いることで、過去の故障記録から稼働データ・メンテナンス記録といったデータを元に故障予測・異常検知が可能となります。
また、故障の予想時期だけでなく、どういった条件で故障するといった要因まで分かるので、より本質的な改善ができる点も大きなメリットです。
AI予測の活用で、製品の品質予測と生産効率向上が可能です。
とある企業では、今まで作業者の経験と予測に頼っていた管理を、AI予測を活用することで人員削減かつ品質・生産効率向上に成功したという事例もあります。
製造業におけるAIを活用した需要予測について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
製造業におけるAIを活用した需要予測 導入ステップや事例などの基礎を解説
タクシー業界では、顧客とのマッチングが深刻な課題となっています。
その課題を受け、とある企業ではAI予測を活用して30分後までの乗客需要予想を実現しました。
AI予測を活用した結果、実車率が約3%アップし、新人ドライバーのケースではタクシー車両1台あたり平均で1日に3,000〜4,000円アップ。また、予測の正解精度は92.9%と驚異的なデータもあります。
宣伝・広告を打ってもなかなか集客につながらない、といった悩みをAI予測は解決できます。
AI予測を活用することで、顧客が応答しやすい日時に配信が可能になり、応答率が1.3倍になったというデータがあります。
また、人間の手で頼っていた連絡業務が簡素化され、生産性も向上しました。
AI予測は今やビジネスに必須のものになりつつあります。なぜなら、盛衰の激しい時代で素早く正確に意思決定をすることがなによりも大切だからです。
最近は詳しい知識がなくても扱えるAIの難しい知識が無くても、AI予測ができるサービスも出ていますので、ぜひ注目して活用してみてください。
当コラムを運営している「Deep Predictor」も専門知識不要でAI予測・意思決定を行えるサービスとなっております。
データの整理やクリーニングといった細かい作業まで幅広くサポートしておりますので、AI予測を活用したいと感じている方は、ぜひお問い合わせください。