BLOG
店舗を新規オープンする際に重要となるのが、出店場所選びです。
本記事では、出店場所を決める際の考え方や選び方のポイントを、「出店エリア」と「具体的な物件」の2つに分けて解説します。
新規出店の判断にAIツールを活用する企業が増加中。
まずはAIを導入すべきかこちらの資料で判断してみませんか。
→資料を見てみる
新規で店舗を出店するにあたって、まずは出店エリアを決定した後に具体的な物件を絞り込んでいくパターンと、不動産会社などから提案された具体的な物件から判断していくパターンの2つのパターンがあるかと思います。
本記事では、まず出店エリアを選ぶにあたって押さえておくべき情報や、確認すべきポイントから解説をします。
人口・年齢・世帯・最寄駅の乗降者数など、エリアごとの基本的な情報のリサーチは必須です。
そもそもの人口や世帯数が少ない、最寄駅の利用者数が少ないといったエリアでは、集客は見込めません。商圏調査にもつながる重要な情報であるため、入念に調べておきましょう。
「商圏」については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
https://aicross.co.jp/deep-predictor/blog/blog1/
出店エリアを検討する際には、このエリア特性にも注意を払うことが重要となります。
なぜなら、ターゲットとする顧客層、店舗コンセプト、エリアの特性が合致した場所が、最適な出店場所となるからです。
各エリアが持つ特性について、代表的な例をご紹介します。
繁華街は、老若男女問わずさまざまな人が訪れ、幅広い客層での集客が見込める場所です。
また、ほかのエリアに比べて、曜日・時間帯もあまり関係なく常に人が集まるため、営業が安定しやすいというメリットもあります。
ただし、雑多に人が集まる分、治安があまりよくないというデメリットもあります。治安は客層にも影響するため、店舗のコンセプトやターゲット層にマッチしない場合があります。
加えて繁華街は、土地代や物件費用が高い傾向にあります。繁華街を選ぶ際は、維持費が多くかかる可能性があることを考慮にいれるようにしてください。
繁華街と同様に、多くの人が集まるため高い集客力が見込めるのが駅近エリアです。
駅を利用するついでや、電車に乗る前にふらりと立ち寄るといった、一見客も多いのが特徴です。
どこまでの範囲を「駅近」と判断するかは、周辺の施設が駅からどの程度まで離れているかが一つの目安になります。徒歩数分離れていても、商業施設が続いているかつ人通りの見込める場所であれば、駅近エリアと見て良さそうです。
注意点として、駅近エリアも繁華街同様に、土地代や物件費用が高騰していることがほとんどです。そのため出店の際には、オープン後に採算が取れるかの慎重な検討が必要です。
オフィスやビルが立ち並ぶビジネス街は、ビジネスパーソンの集客面で圧倒的なアドバンテージを持ちます。ビジネスパーソンをターゲットにする店舗であれば、需要はぴったり合致するでしょう。
また、ビジネス街では飲食店も重宝されます。特に平日のランチタイムは集客が多く見込めるため、飲食店にとって非常にやりやすいエリアといえます。
反面、土日祝日といった日は会社員が出勤していないため、来客が大幅に減少します。
加えて、ビジネスエリアはターゲットが明確な分、競合が多い点にも注意が必要です。
郊外は、都市中心部と比較すると人口が少ない代わりに、土地代や物件の賃料が安いという利点があります。そのため、広い敷地を必要とする大型店舗を建てる際に、郊外が選ばれることが多いです。
郊外は都市中心部から離れていることから、顧客の来店手段は車がメインとなり、駐車場完備は必須項目です。
そもそも、郊外の店にわざわざ車でやってくるからには、顧客は目的意識を持って来店することがほとんどです。繁華街や駅近の店舗と違い「たまたま目についたので入ってみた」というケースは少ないでしょう。
これらの内容から総合すると、郊外の店舗に来店する層の多くは、近隣の住民のほかには、マイカーでやってくるファミリー層。なおかつ、フリー客ではなく「この店を目的にやって来た」という人になります。
学生街は文字通り学生が集まるエリアで、周辺に大学や予備校といった学校が多く存在します。
そのため、若年層向けの店舗であれば学生街に出店するのも手です。
学生や若者が多く集うゆえに、あまり高単価な店は敬遠されるので気をつけてください。
学生街は、夜間よりも昼間のほうが賑わうのも特徴です。
主に平日、それも授業がおこなわれている期間は集客が見込めるものの、土日祝日や長期休暇の時期は集客が落ちます。
このように学生街では、学生のスケジュールに売上が左右されることを考慮しなければならない点に注意しましょう。
住宅街のメイン客層は、その地域で生活している人たちです。
近隣に根付いた地域密着型の営業となるため、地元の人たちにリピーターになってもらいやすいという特徴があります。
平日昼間は住民も学校や仕事に出ていることが多いため、夜間のほうが人が集まりやすいです。また、平日よりも土日祝日のほうが集客が見込めます。
ただし同じ住宅街でも、エリアごとに単身者が多いかファミリー層が多いか、男女どちらが多いか、どの年齢層の人が住んでいるかなどに差があります。
ターゲット層とマッチした場所を選ぶためにも、エリアと住民の基本情報は入念に調査しましょう。
前項「エリア特性」でも触れたとおり、曜日や時間ごとに人の流れは各エリアによって異なります。
平日に人が集まるエリア、土日に人が集まるエリア、夜間に人が集まるエリア…等々、その地域にどのような人たちが集まるかによって、集客が見込めるタイミングはばらばらです。
そのため、曜日や時間ごとの人流は必ず調査するようにしましょう。
また、天気の影響もチェックするのがおすすめです。
例えば、同じ商店街でも、雨の日には集客が落ちるエリアもあれば、駅と直結していたり屋根があったりなどの理由で、集客にあまり影響がないエリアもあります。
あらゆる条件下での人流の差を把握し、情報の精度を上げておきましょう。
出店場所の隣に大型のショッピングセンターや商業ビルがあると、お店にも立ち寄ってもらえる可能性が高いです。
また、大きな施設が近くにあることによって、人流の増加が期待できるのはもちろん、ターゲット層にアプローチしやすくなるというメリットもあります。
具体的な例でいうと、女性向けのカフェを開店するにあたって、近くに女性向けのファッションビルがあるエリアを選べば、ターゲットとなる女性の流入確率が上がります。
しかし、これがもし男性向けファッションビルであれば、思っていたほどの流入は見込めないかもしれません。
このように、大型施設の存在の有無だけではなく当該施設の利用顧客層や年代なども調査し、店舗に及ぼす影響がどの程度になるかを見極めることが大切です。
リサーチの際には、施設の出入り口の位置や、駅からの導線なども確認しておくと良いでしょう。各導線を結ぶ間に店舗を建てることで、さらなる集客につなげることが可能です。
「商圏バリア」とは、来店の妨げとなり得る地理的な障害のことです。
店舗までの道のりに大きな河川があり迂回しなければならない、駅から店舗までの間を幹線道路が分断している、急勾配の坂が存在する…等々。
来店に余分に手間がかかる、あるいは来店を困難にする地理的な障害が存在することで、集客がうまくいかなくなるおそれがあります。
このような商圏バリアの有無を把握し、集客に不利な立地ではないかを確認しておくことが重要です。
エリア内に競合が多くひしめくエリアでは、顧客が取り合いになり、いわゆる激戦区と化します。そのため、事前の競合調査は必須です。
ただし、競合店がすでに存在する地域は、裏を返すとそれだけ集客が見込める地域であるとも推測できます。
そのため調査の際は、競合の有無や店舗数だけではなく、業種・業態やコンセプト、商品・サービス内容なども詳しく調べましょう。
店舗のコンセプトが他店と違えば、同じ業種の店でも競合しない可能性があります。
同じコンセプトの店が多い場合は、「あえてこのエリアに自社が出店する理由はあるか」「競合と比較した際にお客様に選ばれる強みはあるか」といった、勝機があるか否かの観点から判断しましょう。
出店先で長く営業を続けるためには、該当エリアが今後も長く発展する土地であるかどうかを見極めることも大切です。
今後の発展が見込めないエリアでは、過疎化が進み、人流が変わる場合もあります。再開発の計画や、大きな施設の建設予定の有無を確認しておきましょう。
エリアの開発計画に加え、人口の流出や出生数などの統計から、将来的な見込み人口も算出しておけるとベストです。
人口が増え続けているエリアでは、出店後も集客を維持できる見込みがあると考えられるでしょう。
新規出店のエリア分析について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
新規出店におけるエリア分析!基本の流れを事例をもとに紹介!
出店戦略にAIを活用するメリットとは?
従来の出店方法との違いはこちらから確認
→資料を見てみる
続いて、より具体的な出店場所(物件)を選ぶ際のポイントを解説します。
ここで指す立地とは、店舗を構える具体的な場所のことです。
路面店にするのか、ビルに入居して空中店舗とするのか、道路沿いを選んでロードサイド店にするのか。これら物件の立地条件によって、店舗の集客率や客層が大きく左右されます。
それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
店舗やターゲットの特徴に合わせて、物件選びは慎重におこないましょう。
地上1階にある、道(路)に面した店舗。
メリット
・人が店の前を歩いている状態のため、気になったときにそのまま入店しやすい
・人の目に留まりやすいため、看板やロゴが目に入るだけでも宣伝効果となる
デメリット
・人気の立地なため物件が少ない。あるいは賃料が高い
・ターゲットとなる層が通らない場所では入店につながらない
ビル内の2階以上に入居している店舗。
メリット
・賃料が安い物件が多い
・道に面していないため、プライバシーを確保した落ち着いた店舗をデザインしやすい
デメリット
・ビルの中にあるため、顧客に店舗の存在に気づいてもらいにくい
・階段やエレベーターなどを使わないと入店できない点がハードルになりやすい
幹線道路沿いに建つ店舗。車やバイク、自転車などの乗り物を使って来店することが多い。
メリット
・敷地面積が大きいため、大型店舗を構えられる
・集客力が高く、遠方の顧客も集客できる
デメリット
・店に車を入れやすいか、店が目に留まりやすいかなど、道路や交通の状況に集客が左右される
・敷地が広い分、メンテナンスの手間と費用がかかる
物件選びで重要な項目となるのが、賃料です。
高い収益が見込める繁華街や駅前などのエリアは、その分物件や土地の価値が高く、比例して賃料も高いことがほとんどです。逆に、駅から少し離れたエリアや住宅街などは、賃料が低い傾向にあります。
店舗のターゲットやコンセプトに合わせてエリアを選ぶのはもちろんのこと、店舗の想定売上と賃料との兼ね合いも考えながら出店場所を決めましょう。
また、都道府県・市区町村によっても家賃相場は違います。出店を考える地域周辺の相場を把握しておき、複数候補を挙げながら考えていく必要があるでしょう。
一見良さそうに見える物件でも、短期間での入居・退去が続く物件には要注意です。
せっかくオープンした店を畳んで退去せざるをえなくなった理由が、物件や立地そのものに潜んでいる可能性があるからです。
駅近であっても、人の導線から外れていて集客が伸びなかった。
人通りは多いが、実は極端に治安の悪い場所だった。
周囲の大手競合が顧客を独占状態で、他店の勝機がなかった。
上記例のような、店舗が長く続かない何らかの理由が隠れていることがあります。
物件を決める際には、短期間で頻繁に入退去が繰り返されていないか、以前はどのような店舗が入居していたのか、なぜ退転したのかなどの理由を、可能な限りリサーチしておくことが重要です。
ファサードとは、建物を正面から見たときの外観を指します。ファサードは、特に路面店やロードサイド店で重要となってきます。
店舗の前を通ったときに、顧客が最初に目にするのが建物の外観です。
建物としての見栄えももちろん大切ですが、もっとも重要なのは顧客から見た印象と視認性です。
極端な例ですが、パッと見たときにボロボロで崩れ落ちそうな外観の店舗に、わざわざ入りたいと感じる人は少ないはずです。
あるいは「一見して何の店舗かわからない」「店舗が入っているのかもわからない」「そもそも店舗があることに気づけない」といった、視認性の低い状態では集客は見込めません。
ファサードは店舗の顔とも呼べる部分です。
たとえ看板設置や改装である程度の手を入れるとしても、まずはしっかりと外観を確認しておきましょう。
新しく店舗を出店する際の戦略について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
出店戦略とは?手順や具体的な方法について徹底解説!
店舗の出店計画を立てる際にチェックするべき点は、出店するエリアと、具体的な出店場所に分かれます。
それぞれの情報を詳細に調査することで、オープン後の売上見込みや経営戦略も設定しやすくなります。
立地がさほど良くなくとも、店舗のイメージやコンセプトとマッチしていれば集客につなげることも可能です。
新規出店の際には、綿密な調査に基づいた、総合的な判断による計画を立てましょう。