近年、顧客関係(CRM)やマーケティングオートメーション(MA)の重要性が注目されてきています。
今回紹介するLTV(Life Time Value)は、それらの新しいマーケティング手法と関わる重要な指標の一つです。
ここでは、LTVの意味やクロスセル・アップセルとの関係性について解説します。
【LTV(Life Time Value)とは?】
まずはLTVとはどんな意味を持つワードなのか、どのように計算するのかなど基本的な内容について改めてご紹介します。
●LTV(Life Time Value)は顧客生産価値を表す指標
LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)のことで、日本語に訳すと「顧客生涯価値」を意味します。
わかりやすく言い換えると、「一人、または一社の顧客との取引開始から取引終了まで得られる収益の合計」となります。
LTVには、同一のサービスや商品のリピート購入はもちろん、関連製品の購入、上位プランサービスへのアップグレードなど全て含まれるのが特徴です。
元々は、サブスクリプションモデルのビジネスやSaaS(Softwear as a Service)で頻繁に利用されており、事業の継続性や成長性の分析に役立つことで注目を集めてきた指標です。
もちろんサブスクリプションモデルでなくても、顧客との関係性が長期間維持する業種であれば表示に有用な指標となります。
●LTVの計算式
実はLTVの算出方法は一つではなく、業種やビジネスモデルにより異なります。
ここでは、サブスクリプションモデル向け、断続的な単発取引が中心の一般的なビジネス向けに分けて、それぞれ最も簡単でわかりやすいものを紹介します。
・【サブスクモデル向け】LTV算出式
毎月の継続した利用課金を見込むサブスクリプションモデルでは、下記の計算式でLTVを算出します。
LTV=【一顧客の月間平均取引額】×【粗利率】×【平均継続期間】
例えば、顧客の月間平均取引額が10,000円、粗利率が50%、平均継続期間が36ヶ月の事業があったとしましょう。
その場合LTVは、10,000×0.5×36=180,000円となります。
つまり、獲得する一人の顧客から180,000円の収益を期待することができる、ということです。
・【一般的なビジネスモデル向け】LTV算出式
対してサブスクリプションに特化していない、単発での取引が中心の一般的なビジネスモデルでは、下記の計算式で算出します。
LTV=【平均購入単価】×【粗利率】×【平均購入回数(購入頻度×継続期間)】
例えば、平均購入単価が5,000円、粗利率20%、一顧客が平均して月に2回ずつ1年間継続して購入するという状況を仮定します。
その際、LTVは5,000×0.2×24=24,000円となります。
【なぜ近年LTVが重要視されているのか。その背景とは?】
説明してきた通り、LTVは一単位の顧客からの売上や収益に着目した指標です。
つまり、「LTVを改善する」ということは「既存顧客からの収益増加を目指す」というニュアンスが強い点がポイントになります。
もちろん新規顧客が増えることでLTVが改善することは間違いないですが、「いかに新規顧客を効率よく獲得するか」という意味合いは薄いです。
従来のマーケティングの考え方とは少し毛色が異なるLTVが、なぜ重要視されてきているのでしょうか。
その背景は下記の2点だと考えられます。
・市場の成熟に伴い、新規顧客獲得コストが増加した
少子高齢化の影響もあり、国内市場においてはモノやサービスの供給が過剰になりつつあり、価格競争もますます激化しています。
それによりいわゆる「1:5の法則」と呼ばれる通り、新規顧客獲得のためには、既存顧客維持の5倍ほどのコストを要することが明らかになっています。
既存顧客との向き合い方が、企業の成長を左右するようになったことが、LTVが注目された大きな要因の一つです。
・購買行動の変化に対応する手法にシフトチェンジする必要性が生まれた
市場の成熟や需給のバランスのみならず、情報技術の発展により顧客の目が肥えたことも大きなポイントです。
様々な商品やサービスの比較が容易になり、ニーズもかつてないほどに多様化・細分化され、求められる品質も高まり続けています。
まだ顧客になっていない不特定多数に向けてのマーケティングではなく、既存顧客一人一人にフォーカスしてアプローチできる企業でなければ、なかなか評価されない時代です。
LTVが重要視されているのは、そんな顧客行動の変化に伴う最適なマーケティング手法にシフトチェンジする企業が増えてきた証拠といえるでしょう。
【アップセル・クロスセルの増加がLTV改善に直結する】
それでは、効果的にLTVを改善するにはどんな施策が必要でしょうか。
考え方は一つではありませんが、計算式を見ていただくとお分かりの通り、LTV改善のためには顧客の平均単価を向上させることが必須です。
単純に商品原価を抑えたり、値上げを実施して販売単価を上げることでも可能ですが、これらは比較的ハードルが高い方法になります。
ほとんどの企業にとって既にできる限りのコストカットは検討されているはずですし、値上げは顧客の離脱や反発を招いてしまうリスクがあるからです。
よって、LTV改善のためにまず取り掛かるべきポイントとしては、顧客の購買頻度を高めていくことになるでしょう。
中でも既存顧客に対してアップセル・クロスセルを誘導できれば、ベストな手法となります。
最適なラインナップを準備し、既存顧客にうまくPRすることが出来れば、社内のリソースを奪われることなくLTVを改善できるためです。
・最適なタイミングでPRするレコメンドエンジンは、LTV改善に有効
情報収集段階の顧客にいかに魅力的なオファーを提示できるかは、ジャンル業種問わず非常に重要になっています。
AIによる高性能なレコメンドエンジンにより、最適なタイミングでPRができれば、少ないリソースでLTV改善を達成可能です。
企業サイトやランディングページからの離脱率も下がり、新規顧客獲得にも繋がる一石三鳥の手法となるでしょう。
【LTVは業種を問わず注目すべき指標。最適なツールで改善を目指そう】
LTVはサブスクリプションビジネスやSaaSの発展に伴い、注目された指標です。
市場が成熟して顧客の行動が変化した現在となっては、業種・業界問わずあらゆるビジネスにおいて重要性が増してきています。
魅力的なコーポレートサイトやランディングページなどが整備されており、導入が可能な環境であれば、レコメンドエンジンはLTV改善に最適な手法となりえます。
AIによる高性能な顧客アプローチが実現できるため、コストパフォーマンスも優れている点も魅力です。
自社の条件に最適なツールを検討し、LTV改善を目指しましょう。
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